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北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

東京から軽井沢へ:JR東日本のえきねっとトクだ値がない列車は,JR西日本のeきっぷが安い

東京↔軽井沢にもあるJR西日本の割引きっぷ

首都圏から北陸新幹線で1時間のリゾート,軽井沢。その北陸新幹線がJR東日本と西日本にまたがることが生む,謎の現象があります。

東京・軽井沢間はJR東日本ですが,条件によってはJR西日本の割引きっぷの方が安くて,役に立つ,という裏技です。結論を先に:

  • JR東日本の割引きっぷ・えきねっとトクだ値は,軽井沢まではあさま限定で,はくたかに設定がない。発売は原則当日未明までで,直前には買えない。
  • JR西日本のeきっぷは,あさま・はくたかともに設定され,約1割引。当日の発車6分前まで購入と変更が可能。北陸新幹線停車駅ならJR東エリアでも受け取れる。
  • トクだ値のない列車(はくたか全てと,あさま完売後)は,紙のきっぷではJR西日本のeきっぷが最安になる。とくに,あさまのない時間帯では役立つ。
  • 発車6分前まで購入できる最安のきっぷに,モバイルSuica特急券があるが,1席に1端末が必要。

JR東日本と西日本の割引きっぷを比較すると

東京・軽井沢間はすべてJR東日本で,割引きっぷなら,えきねっとのトクだ値を考えるのがふつう。しかし,割引きっぷは,JR西日本にもあります。それらをすべて比較すると,こちら。

東京・軽井沢間の割引きっぷ(円)
割引きっぷの種類 対象 合計 特急券 乗車券
通常の運賃・料金 みどりの窓口・
指定席券売機など
5910 3320 2590
えきねっと
トクだ値10, 15
JR東日本
えきねっと会員
5310,
5020
あさま限定・席数限定
当日の午前1時40分までの購入
メンテ時は前日23時40分まで
お先に
トクだ値30, 35
4130,
3830
あさま限定・席数限定
13日前の午前1時40分までの購入
メンテ時は14日前23時40分まで
モバイルSuica
特急券
(モバトク)*1
JR東日本
モバイルSuica会員
5150 席ごとにモバイルSuicaが必要
eきっぷ JR西日本
J-WESTカード会員
5250 2660 2590

JR西日本のeきっぷは全駅間・全列車に設定

知られていないのは,JR東日本で完結する東京・軽井沢間にも,JR西日本のeきっぷの設定があることです。上の表のeきっぷのリンク先は,JR西日本のeきっぷの説明ページですが,そこには主な区間だけが乗っていて,見落とすところ。

ところが,金額のところにリンクを付けた,設定区間すべての料金表のpdfを見ると,北陸新幹線の全駅間に設定があることがわかります。また,eきっぷは席数限定でもなく,無割引の席と同じ管理です*2

トクだ値の東京↔軽井沢は,あさま限定

東京から軽井沢なら,まず調べる,えきねっと・トクだ値は,長野止まりのあさまに限られます。佐久平・上田へも同じです。理由は,各駅停車のあさまと通過駅もあって少し速いはくたかの乗車率を,平準化するためでしょう。はくたかにトクだ値の設定があるのは,長野・飯山から先です。

JR東日本えきねっとでは,はくたかに割引なし

現在の北陸新幹線は,長野以遠の乗車が好調で,あさまがなく,はくたかが続く時間が結構あります。たとえば,平日の朝8時以降で,昼前に軽井沢へ着こうとすると,こんな感じ。 

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たしかに,はくたかは,灰色のーマークで,トクだ値が買えません。そして,臨時列車のない平日は,午前8時台から9時44分まで,無割引のはくたかが続きます。ようやく割引のあるあさまの普通車は,無割引のものは○マークですが,トクだ値は△マーク。理由は,トクだ値が席数限定だからで,どこかで完売の可能性が大です。

JR西日本e5489では約1割引のeきっぷが買える

同じ時間帯を,eきっぷが買えるJR西日本のe5489で見ると…

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eきっぷが,はくたか・あさま両方とも○表示で,残っています。eきっぷは席数限定ではなく,無割引の特急券と同じ残席になります。乗車券込みで,無割引なら5910円のところ,5250円との表示です。

この状況で軽井沢まで最安はJR西日本のeきっぷ

平日朝8時から9時台に東京駅を出て,軽井沢にもっとも早く着く列車は,はくたか。それに乗れる紙のきっぷで最安なのは,JR東日本ではなくJR西日本のeきっぷです。

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JR東日本なら紙の特急券では割引がなく3320円する列車が,JR西日本のeきっぷなら2660円。自社より他社の方が安くなる謎です。券面のように,JR西日本e5489によるeきっぷは,発売箇所はJR西日本の予約センター,しかし発券は東京駅のMV(指定席券売機)です。

購入はJ-WESTカード会員限定だが,使えば年会費無料

購入の条件は,JR西日本のクレジットカード,J-WESTカード会員で,事前に加入しておく必要があります。しかし,ベーシックタイプなら,前年に1回でもショッピング利用があれば年会費は無料

会員が購入する限り,複数人分でも買えます。ただし,発券と発券後の変更や払い戻しにはカードが必要なので,赤の他人の分を買うのは無理です。

発券は北陸新幹線の駅と東京都区内駅で可能

eきっぷはJR西日本のきっぷですが,乗車前の受取りは,北陸新幹線の駅すべて(JR東日本管内を含む)と東京都区内の駅の指定席券売機と窓口でできます。たとえば,東京,新宿,大宮,軽井沢などで受け取れます。気になる方には,JR東日本の指定席券売機の設置駅ページに,駅ごとにe5489のきっぷ(eきっぷなど)を受け取れるか表示があります。

また,吉祥寺,川崎,船橋,浦和など東京都区外から新幹線駅まで,JRに通して乗る場合は,東京や大宮など新幹線乗車駅の乗り換え改札近くにある指定席券売機で発券できます*3

モバイルSuicaは当日直前まで最安だが,1席1台

なお,安さで言えば,(トクだ値の高割引率のものがない限り)発車直前までモバイルSuica特急券(モバトク)が最安です。東京から軽井沢まで,はくたか・あさまともに設定があります。

ただし,モバイルSuicaが1席に1端末必要で,グループでの購入や,事前にきっぷを渡す使い方ができません。  

変更と払戻し:発券前ならネットで完結するが

JR東日本の区間なのに,JR西日本のeきっぷが安い場合があるという話。唯一のリスクは発券後の払い戻しです。eきっぷには,変更・払戻しの細かな説明がついています。

まず,発券前の変更や払戻しは,ネットで発車時刻6分前までできるので,無問題。変更は,eきっぷが発売されているすべての区間へ可能で,1か月先までの列車に変更できます。払戻しも発券前ならネットで手続きが完結し,手数料330円が差し引かれてカードへ返金されます。

発券後の変更も,同日の違う列車へは,eきっぷ発券駅で可能

発券後の変更でも,同一区間で,同じ日の違う列車に替える場合は,金額が変わらない限り,発券できる駅すべてで可能です*4。たとえば,1本早いとか遅い列車への変更なら,発券後でも東京駅,大宮駅,軽井沢駅などで可能です。もともと発券できない,吉祥寺,川崎,浦和などではだめです。

なお,特急券の変更全般に,遅い列車に替える場合,券面の発車時刻までに窓口での手続きが必要です。

発券後の払戻しはJR西日本の駅だけ

面倒なことになるのは,発券後の払戻しで,JR西日本のみどりの窓口だけです。首都圏からは最短で,糸魚川か米原。主要駅では,富山・金沢・京都・新大阪などです。

券面の発車時刻までに,これら窓口に行けないときは,JR東日本の駅のみどりの窓口で不乗証明をもらい,その1年後までにJR西日本の窓口に行く必要があります。

払戻しは,購入に使ったJ-WESTカードへの返金で,窓口にそのカードの持参が必要。それで,関西に行く人に払戻しを頼むこともできません。そういうわけで,時間以外の変更がありえる用途では,乗車が確実な時点まで粘って発券が無難。むしろ,eきっぷは,発車時刻6分前まで,ネットで購入・変更・払戻しできる強みを活かすものなのでしょう。

*1:モバトクをさらに割り引いたスーパーモバトク(スーパーモバイルSuica特急券)がJR東日本の新幹線では最安な商品として提供されていますが,東京・軽井沢間では設定がありません。北陸新幹線でスーパーモバトクの設定があるのは,東京・上野・大宮から富山・新高岡・金沢間だけです。

*2:JR西日本のネット予約で,席数限定となっているのは,早特系のWEB早特1とe早特1ですが,もともと東京・軽井沢間に設定がありません。

*3:わずかに残る,発券できない例外は,JR東海区間を含むものなどで,東京・軽井沢の単純な往復では無関係。その事情は過去記事に。

*4:eきっぷは,区間ごとに一律の料金体系なので,同一区間の列車変更だけで金額が変わる事態は,グランクラスでフルサービスからシートサービスに変わるか,その逆ぐらいでしょう。その変更ができずに困る事態は,まれと思われます。

狛犬が逆立ちする金沢:ひがし茶屋街奥の宇多須神社や21世紀美術館向かいの石浦神社などに

逆立ちしている狛犬が,なぜか多くある金沢。すでにいろいろ紹介されていますが,観光スポット近くで,立ち寄りやすい2社を,回ってみました。

ひがし茶屋街の北東端:宇多須うたす神社

ひがし茶屋街の北東の端にあたる場所。観光客がメインストリートを進んで,突き当たりを左,左と曲がる角の山側にあります。神社の名前は,ガイド本や旅行アプリなどにも出ていて,場所は簡単にわかります。ひがし茶屋街へのアクセスはこちら

しかし,観光用の案内には,狛犬の紹介がありません。私も気付かずに何度も前を通り,お参りしていました。その狛犬は,鳥居をくぐってすぐ右にあります。

逆立ちする狛犬(宇多須神社:金沢市)

奥に本殿が見えています。老獪な顔立ちで,怖いタイプではありません。足を上げるところを,下から見上げるように撮ると…

ドヤ顔で足を蹴り上げ,逆立ちしている狛犬(宇多須神社:金沢市)

威厳というより,余裕を感じさせるドヤ顔。しゃちほこのような姿勢で,足を別方向へ蹴り上げています。このポーズで崩れない彫りも見どころです。

振り返って写真をとると,MEGUMIさんのパンケーキ・カフェ,多聞たもん

宇多須神社の逆立ちする狛犬は,パンケーキ・カフェ多聞のすぐ前

店の玄関から10mくらいの位置で,あれ,この場所に逆立ち狛犬があったのかというところ。この鳥居の影で狛犬に気付きにくく,私も以前パンケーキを食べたときに気付いていませんでした。

店のお客さんの出入りが結構ありますが,皆さま気付かず通り過ぎていきます。ヨーロッパ風の外国人の観光客も,とくに足を止めず,健脚で参道の階段を登っていきました。彼らはよく歩きます。

この神社は,節分にひがし茶屋街の芸妓さんの豆まきがあるところ。それで,NHKの「鶴瓶の家族に乾杯」で,鶴瓶さんが訪れて,豆まきをされた回がありました。ブラタモリのような街歩きなら,この狛犬はツボですが,あいにく触れられませんでした。

なお,境内の一部は,ひがし茶屋街を訪れる観光タクシー・ハイヤーなどの契約駐車場になっていて,車の出入りにはご注意を。

尾山神社の前身ともいえる神社

この場所は,金沢城の鬼門(北東方向)にあたるところ。その守護の意味も込め,加賀藩二代藩主の前田利長が,初代・前田利家をお祀りした卯辰八幡宮がありました。

そこから二百年以上が経ち,明治維新で禄を失った旧加賀藩士は,前田家の顕彰の意味も込めて,初代・前田利家と正室まつを祀る神社を,金沢城に続く敷地に建立します。それが,明治6年(1873年)に創建された尾山神社。文明開化で取り入れたステンドグラスのある神門が珍しく,重要文化財となっています。

その時点で,前田利家の祭神は尾山神社に移り,藩主を祀る役割を終えたこちらは,地名由来の宇多須神社に改まりました。尾山神社のウェブサイトでも,ここにあった卯辰八幡宮からの歴史に触れてあり,その前身の役割もあった神社です。

21世紀美術館向かい:石浦神社

金沢で,観光客も含めて参拝客がもっとも多い尾山神社は,士族が建立した経緯で,当初は町人が氏子にならなかったものです。では,金沢の現在の中心部の町人が,古くから氏子だった神社はと言うと,金沢に前田利家が乗り込む前からある,こちらの石浦神社です。建物は,明治時代にこの場所に移転したときのものですが,歴史は加賀藩・金沢城・兼六園のどれよりも古いものです。

場所は,市役所と旧県庁(しいのき迎賓館)のある広坂通りの奥,広坂交差点の角です。今では,21美の向かいと言う方が通りがよく,兼六園真弓坂口も向かいです。

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写真左下に見える参道両脇の狛犬は,足を前に揃えた標準形。逆立ちする狛犬は,そこではなく,この参道左手奥に併設されている,広坂稲荷の前にあります。 

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こちらには来歴が説明してあって,明治24年(1891年)の建立で福嶋伊之助作とのこと。跳ね上げた足がほどよく揃い,顔は蹴り上げた方向を振り返るものです。表情にも,先ほどのような余裕ではなく,狛犬本来の睨みがあります。

すし塚

この広坂稲荷の参道の左横には,変わった塚が。

すし塚(金沢市の石浦神社)

ちょうどツツジの花がきれいな季節。あえて金沢弁の説明の前に,一句添えられています。

加賀の鮨 つやつやと良き 燈下かな 雪

掛けているのかもしれませんが,後ろに江戸後期に建てられた常夜燈台の瓦屋根が見えます。当時は,日本海から金沢の街中の燈台として見えたというもの。ここから日本海の海岸線までは標高が下がり続けるため,町家の灯りがすべて消えた深夜の江戸時代なら,そうとも思わせます。

この塚は,鮨店の組合が現代に奉納したもので,史跡ではありません。そのかわり,寄進した店名がずらり。組合に入っていない新しい鮨店も増えているものの,地場で営業をつづける店は,多くをカバーしています。観光客にも有名どころでは,乙女寿司,千取寿し,宝生寿し,太平寿し。そして,小松弥助さんが,金沢に移る前,小松の欄に入っているのがわかります。

位置関係のわかるマップが地元用に

逆立ち狛犬のネット情報もすでにたくさんありますが,おやと思って参考にしたのがこのプラン。地元向けのウォーキング用です。

出典:http://www.pref.ishikawa.jp/seikatu/kouryu/undou1PDF/aruku/osusumecouse/map9komainu.pdf|石川県

金沢駅から10km,3時間のウォーキングで,逆立ち狛犬6つが見られるもの。このうち,ひがし茶屋街から兼六園・金沢城を抜け,21美の向かいまでは,観光の定番です。

そこから金沢駅までの帰りでは,逆立ち狛犬はないものの,上に書いた尾山神社(重要文化財)と尾崎神社(重要文化財),近江町市場も通ります。すべて歩いて3時間(観光時間抜き)と計算されると,歩く観光客が増えるのもわかります。

観光とあわせてなら,金沢駅からひがし茶屋街まで直行すれば,約30分短縮できて,ほかの観光スポットやお店の切れる区間もなくなります。ウォーキングが習慣の方には,ちょうどよい街歩きでしょう。

バスでも行ける各神社

観光スポットから離れた以下の神社でも,どれもバス停から徒歩数分。ただし,観光客をほとんど見ないところです。

  • 浅野神社:周遊バス小橋町下車徒歩4分
    以下は路線バスだけが通るところ。金沢駅からはJRバス・東長江または森本方面行,香林坊など市内各所からは,北鉄バスの橋場町経由柳橋・東金沢方面行で,山の上・春日町・鳴和の順に止まります。
  • 児安こやす神社:鳴和下車徒歩6分
  • 鹿島神社:春日町下車徒歩7分
  • 小坂神社:山の上下車徒歩6分

このうち,小坂神社は,松尾芭蕉が「奥の細道」で金沢を訪れたとき,句会を開いた場所で,碑が建っています。また,鳴和バス停から児安神社の間には,江戸時代から続くやちや酒造があって,予約すると酒蔵見学ができます。300円ですが,お酒購入の場合は同額分割引くので,何か買うなら実質無料です。

逆立ち狛犬は石川県の神社113箇所に

上のコースマップによれば,石川県には逆立ち狛犬が113あるそうです。数の多さもそうですが,1桁までカウントされていることが,また驚きです。

めいてつエムザ・黒門小路エリアで1日乗車券による5%割引開始:酒と工芸品も割引がうれしい

周遊バスなどに乗る観光客がよく買っている1日乗車券の特典が,2017年4月から増えました。めいてつエムザの1階にある,おみやげ用の品を集めたエリア・黒門小路の5%割引です。1日乗車券を買うともらえる時刻表の下に,小さい広告が載っています。

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この話,ネットでほとんど見ないのは,はじめての観光だと,めいてつエムザがどういうお店か,想像しにくいからでしょう。金沢にあるデパート2つのうち1つで,名鉄が持株比率で87.8%になる連結子会社です*1

周遊バスの北陸鉄道も名鉄グループの関係

周遊バスを運行する北陸鉄道も,名鉄が筆頭株主で,名鉄グループの一社*2。ここに長らく回数券・定期券の売場を置いていて,1日乗車券も買えます。それもあっての割引です*3

近江町市場の対面で,地下道も接続

場所は近江町市場の対面で,観光で寄り道しやすい立地。近江町市場のエムザぐちを出て,横断歩道を渡ったところです。上は18階までホテルのANAホリデイ・イン金沢スカイで,目立つ建物です。

両側は地下道でつながっていて,前の周遊バスなどの武蔵ヶ辻バス停も屋根付き。雨や雪でも,金沢駅との往復や,めいてつエムザ・近江町市場間の行き来は,濡れません*4

割引は1階の黒門小路部分だけ

売場には,こんなポップが掲げられています。

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対象となる売場は,めいてつエムザのうち,1階の黒門小路部分だけ。このほかに,海鮮系を含めた食料品とカフェ・レストランがあるデパ地下がありますが,そこは割引の対象外です。

めいてつエムザとは別の包装紙

買ったパッケージはこんな感じ。

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包装紙は,黒門小路専用のものになります。もちろん,デパートなので,のしや包装紙は,慶弔・名入れなどがリクエストできます。

価値ある割引:工芸品

5%割引であえて足を運びたくなるのは,割引がそれなりの額になる品。そこで,たまに買いたくなる器を選んでみました。現代の九谷焼で,遊び心のある盃です。

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器の縁を登っている人を,一閑人いちかんじんといい,料理や酒に笑みを与える装飾です。様々な窯が手がけられている中,九谷焼では,上出長右衛門窯がカジュアルなものを出されています。

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この小皿,鱗に見立てた凹凸もおしゃれです。

以前,金沢の複数の料理店で出会った上出長右衛門窯の器が印象的で,機会があれば買おうと思う窯元の一つ。その例として,同じ一閑人がいる祥瑞柄の皿で出されたお造りです。

九谷焼・上出長右衛門窯の染付祥瑞一閑人で出されたお造り(金沢の料亭・金茶寮の懐石料理)

上の写真は,金茶寮で出されたもの。改めて調べてみると,手描きの大皿なので,なかなか買えない価格です。なるほど,海老や赤身のお造りが引き立てられる藍色の染付で,冬なら蟹が映えそうな器。食と工芸が響き合うのが,この街の楽しみです。

陶磁器の価格差:手描きと印刷は使い分け

ところで陶磁器では,同じようなサイズと絵柄でも,大きな価格差があります。たとえば,1000円ほどでも,かなり綺麗な絵柄のものが揃う一方で,上はきりがありません。その差の多くは,絵付けが印刷や印判か,手描きかによるものです。

手描きは,プリントに比べて,複雑な曲面や凹みでも描画ができ,造形の細部まで引き立てられます。一閑人の部分など,その典型です。また,線画に自然なゆらぎがあって,規則正しい印刷よりも,心が安らぎます。高価なものでは,釉薬の秘伝の配合やかけ方による微妙な発色があって,プリントで再現するのが困難です。

一方,プリントでは,色の豊富さや柄の鮮やかさに優位性があり,キャラクターなど絵柄の自由度も拡大。じっくり見ると印刷とわかるものの,普段使いできるコスパはそれを凌ぐ魅力です。

そんなわけで,シンプルな形だが鮮やかな皿を多数揃えるならプリント,複雑な造形のもの,一枚の大皿や気分で選びたい酒器・豆皿をこつこつ揃えるなら手描き,と買い分けるのがよさそうです。

人間国宝などの工芸品が奥に

黒門小路の奥には,九谷焼だけでなく,大樋焼や加賀象嵌,蒔絵を施した漆器などの工芸品が並べられています。数点ですが,人間国宝などの作品があって,そこは美術館水準。ほとんど観賞のためのエリアで,撮影禁止です。

ちなみにもっとも高いものは,人間国宝の先生の象嵌の花器で540万円でした。それも割引になるのかは,事前に店と相談を。

価値ある割引:日本酒

そして,いくら買っても困らない日本酒です。棚は他にもあるのですが,冷蔵用のケースの一つはこちら。

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生酒を集めた,この冷蔵ケースの写真を何気なく撮っていて,帰ってからあることに気付きました。ひとまず,いつも飲んでいる手取川の,この時期はあらばしりがあったのでゲット。

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通年出荷されている吟醸酒は,大都市圏に広く出ていて,買って帰ろうとまで思いにくいもの。しかし,あらばしりなど,季節ごとのお酒で要冷蔵のものは,あまり出回りません。

手取川の良さは,淡麗でありながら,酸味が抑えられていて,甘みと旨みがほどよく調和することだと思います。とくに,酸味の少なさは,もともと淡泊な魚の白身や甘えび・かにの旨みを消さない利点があって,そういう食材の多い北陸で伸びるのもわかります。また,昆布だしを主とした,淡味のお椀にも合います。これには,後に書く,酵母の特性が寄与していそうです。

冷蔵ケースにあったお酒の共通点は

加賀鳶ブランドが主力となった福光屋も,地元向けに残る福正宗ブランドの生酒をこちらに出していました。福光屋は大きな蔵で,酵母は使い分けられていますが,この生酒は金沢酵母との表示。一方で,写真右手には,吟醸酒で定番の黒帯が写っています。

後で気付いた冷蔵ケースのお酒の共通点は,偶然でしょうが,金沢酵母の酒か,金沢酵母をよく使われるお蔵でした。能登の竹葉,小松の神泉もそうです。

金沢酵母,それは隠れた金沢ブランド

知る人ぞ知る金沢酵母。それは,国税庁の金沢国税局鑑定官室で培養されていた酵母のうち,有望なものの特性が分析され,日本醸造協会で頒布されているものです。その「きょうかい14号」と「きょうかい1401号」の通称が,以下で名付けられた金沢酵母。成り立ちと特性は,以下の原典に。

こういう資料が,全文pdfで読めるようになったのは,よいことです。

局内で培養されていた酵母は,当地の蔵付き酵母を採取したもの。北陸の酒蔵では,これと類似の酵母が,意識せず,文字通り自然と使われてきたことになります。

1401号の記事では,試験醸造などに関する謝辞がその手取川の吉田酒造と,富山の増寿泉の枡田酒造にあります。どちらも東京で手に入る好きなお蔵ですが,なるほど似たようにはまります。

金沢に あってよかった 国税局

この酵母が金沢酵母と名付けられたのは,培養と分析が金沢国税局だから。国税局が金沢になければ,分析は行われなかったかもしれません。また,北陸国税局のような名称なら,この名前ではない可能性も大でした。

ネーミングは,予算ゼロでできるブランディングの第一歩。地方創生には,各地の酒蔵独特の酵母でめぼしいものを特定し,名前を付けることです。「名もない花には名前をつけましょう」(コブクロ)です。

5%は現金で戻る

肝心の割引ですが,いったん現金,クレカ,Suicaなどで払った後,売場中央の工芸品カウンターにレシートと1日乗車券を提示する方式。

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レシートの裏にスタンプが押され,現金で5%分が返ってきます。返金分のレシートが欲しいところですが,それは売場に残され,手元にはもらえません。これ以上の証憑がないので,経費等の場合は注意を。

上の九谷焼と日本酒は,ネット販売等と(割引前の)店頭価格は同じで,そこから5%割引のありがたみがあります。また,店の前のバス停まで,1日乗車券が使えますから,はまるものがなくても損はしません。

*1:(株)金沢名鉄丸越百貨店,平成28年2月期有価証券報告書

*2:ただし,持株比率は13.6%にとどまり,名鉄の連結対象ではありません。

*3:金沢のバスとデパートの1つが名鉄系であることは,東海地域以外の方には,意外と言われます。実は,加賀藩初代藩主の前田利家は,仕えていた豊臣秀吉と同じく,現在の名古屋市出身。また,このデパートの対面は近江商人由来の近江町市場ですが,その東隣は前田利家に関連して尾張からの人々が移住した尾張町で,明治時代までは金沢で一番の繁華街でした。要所にその地名が残るのが,東海・近畿と人の往来が盛んだった証しです。

*4:観光で雨や雪のときのおすすめは,という質問がよくあります。近江町市場はほとんどすべて屋根付きで,そこから地下道でめいてつエムザを回ると,時間がつぶせます。近江町市場内だけでなく,めいてつエムザの地下と1階,上階に,スタバを含めてカフェとレストランが複数あります。

周遊バスなどに使える1日乗車券500円,JR東日本主要駅のびゅうプラザで買うと450円

まったり旅ブログのはずが,アクセスの多い記事は,何かが安くなる方法になってしまいました。それならと,ツアーのパンフをつらつら見ていると,観光客がよく利用する周遊バスなどの1日乗車券が,JR東日本のびゅうプラザなら単品で発券できることに気付きました。そこで,半分は趣味的な小ネタです。

JR東日本のツアー・びゅう

JR東日本の主要駅なら,必ず置いてあるツアーパンフ。

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内容はこちらで読めます。

びゅうデジタルパンフレット『北陸 金沢』|JR東日本

このツアーは,JR東日本の主要駅にある「びゅうプラザ」の窓口などで買えます。契約のある一部の旅行会社でも,購入可能。

びゅうのツアーの多くは,すでにネット購入対応になっていて,えきねっとでの購入,カード決済後に,指定席券売機での受取ができます。しかし,今回のチケットも含めて,北陸関連のツアーやオプションはネット購入ができず,窓口などでの購入のみです。

北鉄バスの1日乗車券が単独発売可に

この種のパンフでは,オプションのチケットが並んでいて,読むのは楽しいもの。ツアー商品とセット購入のものが多い中で,単独発売可,1名からOKの表示がここに。

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ということは,500円する北陸鉄道バスの1日乗車券は,びゅうプラザのあるJR東日本の駅などでは,450円で買えるのか。窓口では,上の写真のパッケージコードがわかれば発券できるので,パンフが手元になくても,この写真を見せれば十分です。

なお,パンフの割引施設表示は市立のものだけで,ほかに入場者の多いものに,成巽閣(100円割引),武家屋敷跡野村家(50円割引),ひがし茶屋街の志摩(50円割引),懐華楼(100円割引)があります。割引対象の詳細は,上のリンクへ。

買ってみた

駅に行く時間が作れたので,買ってみましたよ。 

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みどりの窓口での発券と同じ紙で,バウチャーが出てきます。とはいえ,指定席券売機やみどりの窓口では買えません。発売は,JR東日本の主要駅にある「びゅうプラザ」などの窓口のみ。なお,発券の駅名だけ消しています。

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びゅうプラザで450円の支払いだったのも,はじめて。注意点は,利用日が指定されて,バウチャーに表記されること。金券ショップ等への転売防止のためでしょう。

別の旅行商品を買うついでなら

1人につき50円安くなるものの,窓口に並ぶ面倒があって,このためだけに買いに行く実用性はありません。また,金沢駅の1日乗車券の売場での引換えが必要で,金沢での手間も減りません。

ということで,何か別のツアーや宿泊プランなどをびゅうプラザで買うときの,ついでならという小ネタでした。

引換えは周遊バス乗り場のすぐ後ろ

金沢駅兼六園口(東口)には,周遊バスが発車する7番乗り場の後ろに,写真のブースがあります。

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券面では金沢駅前センター(1番乗り場側の高速バスの発券のできるビル)での引き換えとなってますが,こちらでできました。他のツアーのオプション券等も受けているので,手慣れたものです。パンフのように,引換は利用日の3日前からできます。

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なお,上のブースの写真中央の掲示でわかるように,この1日乗車券の購入にだけ,Suicaなどの全国交通系ICカードが使えるようになりました。端末はmanacaです*1

他の大手では単独発売がない

この1日乗車券は,これまでも様々なツアーのオプションになっていましたが,単品で発券可のものを見たのは,JR東日本のものがはじめて。

改めて,大手旅行会社のサイトでツアーパンフを確認したところ,JTB,日本旅行,近畿日本ツーリスト,阪急交通社,名鉄観光,JR西日本の範囲で,この価格で単独発券できるところはありませんでした。

1日乗車券で増えた特典はどうかな

実は,2017年4月1日から,北陸鉄道バスの1日乗車券の特典が増えました。近江町市場の対面にはデパート・めいてつエムザがあるのですが,その1階のおみやげ物エリア・黒門小路で5%割引です。詳細は別記事に。

*1:北陸鉄道の筆頭株主は名鉄で,名鉄グループです。

新幹線が金沢を女子旅の街に:宿泊客は男性より女性が伸びて,女性の割合は京都・奈良の水準へ

彼女が行きたいと言ったから

突然ですが,まずはこの方のインタビューを。

どうして金沢かというと,「彼女が行きたいと言ったから」だそうです。

映像では,記憶に残ったものがありのままに答えられていて,いい感じ。やはり定番の,庭や城(palaceと言われてましたが),そして茶屋街に行かれたようです。

誘われてちょっと金沢まで,でよいのです。それが今度の週末でもと気軽になったのが,新幹線の絶大な効果です。

昔旦那衆の街,今女子旅の街

金沢に3つある茶屋街の中で,最も客を集めるひがし茶屋街。それは女子旅の街になりました。3月の平日,みぞれの日の様子。

金沢のひがし茶屋街では女性の観光客が増え,着物のレンタルの利用も多い(2017年3月の平日・みぞれ)

同じ3月の平日で晴れの日はこちら。天候がよいと,写真もきれいにとれ,人出も増します。

金沢のひがし茶屋街では女性の観光客が増え,着物のレンタルの利用も多い(2017年3月の平日・晴れ)

和服のレンタルと着付けのできる店が増えて,若い女性ほど街歩きの楽しみになっています。着こなしもさまざまで,それをスマホで記念撮影や自撮りすることが,SNS時代の付加価値です。

グループから一人旅まで女性が多く

写真のように,現在のひがし茶屋街で多いのは女性のグループで,次がカップル。さらに,女性の一人旅もよく見ます。片方向毎時4本(両方向で毎時8本)が循環する周遊バスで金沢の観光地を一通り回れることが,一人旅も気楽にしています。

また,茶屋街の昼のカフェなどは,人の流れから推測される通り,多くが女性。予約が必要なレベルの鮨店でも,女性一人旅を見かけるようになりました。カフェ,割烹,鮨店などのカウンターは,人数によらず横並びで,おひとり様が浮くことがなく,実は気が楽です。

工芸品店はお連れ様以外ほぼ女性

そして,女性比率がもっとも高くなるのは工芸品店で,ほとんどが女性客とそのお連れ様です。

石川県には,人間国宝や文化勲章などの重鎮を擁する輪島塗,九谷焼,大樋焼などの産地があります。そして金沢では,国内の生産シェア約99%をもつ金箔が作られます。また,公立美大では全国でも3番目と,戦後早い時期に創設された金沢美大に,工芸系の学科が充実。さらに,金沢市立の卯辰山工芸工房で,若手作家の育成が続きます。

そういう背景で,普段使いのできるかわいい器が千円前後から揃います。ひがし茶屋街や金沢駅のあんとなどにもお店があって,予算に応じた品が選べることが,女性に受けているようです。

経産省のデータで男女別の宿泊客数がわかる

さて,本当に金沢は女子旅の街になったのか。宿泊客の地域別統計でもっとも使われる観光庁の宿泊旅行統計調査では,調査票に性別の項目がなく,調べようがありませんでした。

一方,経済産業省が2015年12月から公表している観光予報プラットフォームは,各種宿泊予約チャネルで得られたビッグデータから宿泊客数を推計したもの。予約時の情報を利用するため,大規模な宿泊統計ではじめて性別の宿泊客数がわかります。

女性の方が伸びている金沢の宿泊客

その月次集計を用いて,金沢の男女別の宿泊客の推移をグラフにしたのがこちら*1

金沢市の男女別宿泊客数を北陸新幹線開業前後にみた推移

開業後の宿泊客は,男性に比べて女性が大きく伸びたことが,よくわかります。開業前は,宿泊客の男女差はあまりなく,女性が増える3月と夏から秋だけ,10%ほど女性が多くなる程度でした。

新幹線開業後には,女性と男性の差が拡大しています。客全体が落ち込む12月,1月以外は,女性は男性より毎月5万人ほど多い情勢。大人の宿泊客に占める女性の比率は,60%を超えました。男性は40%未満で,その差が2割ついています。

代表的な地方都市とリゾートの女性比率は

遅れてやってきた新幹線ですから,気になるのは,観光で思い浮かぶ他の都市の女性比率。そこで,観光に注力する都市いくつかの宿泊客のうち,女性の比率をグラフに描いてみます。

女性の宿泊客が多そうな場所としては,街中観光の都市だけでなく,リゾートも考えられるところ。そこで,ビーチ,高原とアウトレット,テーマパーク,温泉の代表格を入れてみました。知名度の高いところで,リゾートホテルが集中する沖縄県恩納村,長野県軽井沢町,浦安市,そして新幹線駅すぐの有名温泉地である熱海市を比較しています。

女性の比率と大人の比率で散布図を描くと

ところで,この調査では,子供(宿泊が子供料金となる小学生以下)の性別がわかりません。リゾートでは子供の割合が高く,それも比較したいところ。そこで,都市ごとに,女性の比率を横軸に,大人の比率を縦軸に描いた散布図がこちら。

国内の地方都市や代表的な観光都市の宿泊客のうち女性の比率と大人の比率の関係

右に行くほど女性が多く,上に行くほど大人が多いことを表した図。右上ほど女性・大人の観光地であることを意味します。

きれいに読み取れるのは,金沢が京都と奈良の特性(女性・大人の観光地)に近づいたこと。新幹線開業前後の比較のために,金沢だけ開業前の位置も入れています。以前の金沢は,地方都市の平均的な位置でしたが,開業2年で京都・奈良の近くへと進みました。

金沢は地方都市の平均から京都・奈良へ近づく

全般的な傾向として,ビジネスの宿泊に加えて,女性に人気の観光スポットが増えるほど,女性比率が高まります。たとえば,すでに世界遺産登録されている明治時代のグラバー園や,登録をひかえる大浦天主堂などのある長崎市の女性比率は,やや高い方。佐世保にあるハウステンボスを目指す宿泊も多いでしょう。新幹線開業前の金沢は,道後温泉と江戸時代の天守の残る松山城などが見どころの松山市と同じポジションでした。

とりわけ,長崎市や松山市が気になる理由は,両市も人口が40万人台の後半で,金沢市と人口と財政力が同水準。できることと無理なことが似ていて,勉強になる都市です。観光資源にも類似性があって,江戸時代前後からの建築物や街並み,漁港があって魚介類が豊富,独特の料理やお菓子などです。

一方で,仙台や新潟は,女性より男性の割合が高い宿泊地であることがわかります。すでに内部の情報でわかっていることと思いますが,JR東日本が首都圏からの新幹線の旅を訴求するなら,この男女差は重要。現状では,仙台・新潟には男性向けのツアーを,金沢には女性向けのツアーを企画するのがよさそうです。

有名観光地で女性が多いのは浦安

もっとも,有名どころで女性の比率が最高になるのは,街中観光の都市ではありません。ディズニーリゾートを擁する浦安で,大人の宿泊客のうち,女性は66.5%,ほぼ3人に2人です。全市町村を比較したわけではありませんが,よく知られた宿泊地では,浦安が女性比率の特別に高い都市といえそうです。

ただし,散布図でわかるように,リゾート全般に子供を連れた家族旅行も増えるため,同じく女性が多い京都・奈良とは客層が異なります。当然ながら,リゾートでは,ファミリー向けのサービスが重視されるところ。逆に京都・奈良そして現在の金沢では,それが手薄なところです。

女性の比率は開業2年目も増加,秋は京都の水準へ

開業前後で女性比率が10%ポイントも上昇したことについて,その経過がわかるようなグラフを最後に。大人の宿泊客のうち女性の比率の推移を,京都と金沢で比べたものです。

宿泊客のうち女性の比率の推移(京都市と金沢市の比較)

新幹線開業までは,10%ポイントの差がありました。開業後に詰めていって,現在の差は数%ポイント。客数全体としては反動減のある開業2年目も,女性の比率は微増傾向です。

女性比率のピークは11月で,京都と同傾向

差がもっとも小さくなるのは,兼六園など街中の紅葉が美しく,かに漁が解禁となる11月。そこが女性比率が最も高くなる月です。建物や庭園だけでは,千年の都にはとてもかないませんが,そこに紅葉,プラス他にない魚介類とその料理があると,「合わせ技」で迫れることがわかります。

女性が増えた原因は:観光資源に大きな変化なく

女性の比率が高まったことは事実として,疑問が残るのは,その理由です。新幹線が開通してから,文化財が発掘されたり,街並みが急に整備されたわけではありません。

新幹線開業前後で,新しい景観が整ったのは,玉泉院丸庭園かなざわ玉泉邸ぐらい。増えた観光客が全員,これら新しい観光スポットに行ったのではありません。両方とも定番のコースから少し逸れるところで,兼六園やひがし茶屋街,21美とは異なり,SNSであまり写真を見ません。

増えた新店は女性客増加の原因ではなく結果で

ひがし茶屋街と主計町かずえまち茶屋街には,新幹線開業前後から,鮨,和食,カフェ,酒,工芸品などの新店が,あわせて2桁ほどできました。ただし,これらは茶屋建築の内部のリノベーションがほとんどで,開業前後で伝統的な街並みが蘇ったのではありません。

この点は,店の増加と女性客の増加の因果関係が逆で,女性が訪れる街になったから,女性向けの新店が増えたと考えるのが正しそうです。

原因は首都圏から見た競合観光地との特性の違いか

女性が増加したのはグラフのように新幹線開業後。観光地側の店の変化が需要に合わせた結果とすれば,原因はやはり交通機関の進化(速さと乗り換えなし)でよいのでしょう。それに加えて,首都圏を起点としたときに競合する観光地の中で,金沢の観光スポットや食と工芸などが,比較的女性向きであったことが効いていそうです*2

それなら,女性が増えたことは一時的ではなく構造的な変化で,ホテルなどでは客室やサービス,飲食店ではメニューやサービスなどの進化が,次の課題です。

女性が増えたことに応えるなら

たとえば,下の写真は,ひがし茶屋街の和カフェの新店で,最近出されるようになった抹茶アフォガード。温かい抹茶を,冷たいアイスクリームにかけて楽しみます。

金沢・ひがし茶屋街の和カフェ・波結(はゆわ)にある,抹茶をアイスにかけて楽しむ抹茶アフォガード

若い女性が増えるほどに,リーズナブルなメニューも求められるなか,その範囲で写真も楽しめる趣向は大切と思われます。そしてこちらも,ひがし茶屋街の新店。

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茶屋街には珍しい新しい庭に,ガトーとスパークリングワインが映えます。これも女性向けの進化です。日本料理で言えば,接待に向く伝統的な個室での懐石料理より,上質なカウンター割烹や居酒屋が混んでいるのも,その志向でしょう。

考えてみれば明日が,新幹線開業2周年。桜の季節も近いので,昨年撮影した主計町茶屋街と浅野川にうつる桜を。

金沢・主計町(かずえまち)茶屋街で,浅野川に映る満開の桜(2016年4月)

この桜が今年見られる頃には,開業3年目。北陸新幹線もこの先,福井・京都・新大阪と人口が集中する大都市へつながります。これまでの整備新幹線で,人口がもっとも多い区間で,思い立った旅行も双方向で増えそうです。

*1:性別のわからない子供(宿泊予約なので子供料金となる小学生以下)を除いています。

*2:開業した北陸新幹線によらず,金沢はもともと関西・中京から直通2時間台で,旅行の候補地でした。それでも,新幹線開業前は,女性客はこれほど多くなかったところ。
  関西を起点に考えると,京都・奈良に歴史的な観光資源が集積するのに加え,山陽・山陰・四国に国宝の城や特別名勝の庭園をもつ城下町が連続します。たとえば,大阪出発を考えると,金沢は,岡山・倉敷・尾道・広島・松江・高松・松山などと,観光資源の種類,時間と費用の点で競合します。
  一方,首都圏を出発地とすると,JR東日本の新幹線沿線の城下町は,それぞれが大きく離れていて,国宝や特別名勝も散在。金沢と競合する目的地は,西日本ほど連続的ではありません。