北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

JR東日本の株主優待:東京-金沢も指定席券売機で使えて,普通車2470円引,グリーン車4050円引

20年から4割引,指定席券売機で適用可に

JR東日本の株主優待券は,有効期間が2020年6月~のものから,割引率が2割引から4割引に向上。自社駅の指定席券売機で割引きっぷが買えるようになりました。

JR東日本の株主優待割引券には、2020年分から指定席券売機対応のQRコードが付いている。価格は,東京の金券ショップで,2021年4月現在1850円ほど。では,北陸新幹線の東京-金沢で使うと,どれほどお得でしょうか。この計算,少し手間がかかります。

北陸新幹線は東京-上越妙高がJR東日本,上越妙高-金沢がJR西日本に分かれます。JR各社の株主優待は自社区間だけに有効なので,乗車券と特急券は境界駅で分割され,東京側にだけ割引が適用されるのです。

新幹線・東京-金沢も指定席券売機だけで買える

計算は面倒ですが,使うのは簡単になりました。会社境界を越える東京-金沢の新幹線でも,JR東日本の指定席券売機で,実例のような割引きっぷ(この例はグリーン)が買えます。

株主優待の他に,ネットで買える割引きっぷもあります。そこで,2021年4月現在の価格の比較と,きっぷの実例を紹介してみましょう。

株主優待券の購入費用(または売却)も考えた結論は,次の通りです。

  • 普通車では,割引きっぷ(トクだ値・早特)が完売や終売の場合だけお得
  • グリーン車なら,いつでもお得

なお,グリーン車に乗るなら,株主優待券の購入と適用が最も安い買い方といえます。

東京-金沢・普通車:株主優待の料金比較

ではまず,普通車で,通常の料金と株主優待や他の割引運賃の比較です。

東京—金沢の株主優待と他の割引の比較(普通車通常期:円)*1
きっぷ 区間 合計 運賃 特急料金
通常の運賃・料金 東京-金沢 14380 7480 6900
JR東日本株主優待
東京-上越妙高
で有効
東京-上越妙高 9440

5660
5170
4割引↓
3100
4270
4割引↓
2560
上越妙高-金沢 6250 3080 3170
両区間合計 11910 6180 5730
他の割引きっぷ 購入方法 合計 購入期限など
eチケット JR東日本
えきねっと
14180 発車定刻4分前かつ22時54分
トクだ値10 12760 当日午前1時50分
メンテ時は前日23時50分
お先にトクだ値30 9920 13日前午前1時50分
メンテ時は14日前23時50分
eチケット JR西日本
e5489
14180 発車定刻4分前
eチケット早特1 12760 前日23時30分
eチケット早特14 9920 14日前23時30分
J-WEST eチケット J-WESTカード
会員専用
13630 発車定刻4分前(当日最安)

注意:トクだ値・早特は席数限定です。変更時は,変更先のきっぷとの差額が徴収されます。

実際の計算では,運賃・特急料金の別に,対象区間分が4割引され,10円未満の端数は切り捨てられます。

その結果,東京-金沢の普通車に,JR東日本の株主優待を適用すると,通常期で11910円。割引額としては,駅でいつでも買えるきっぷと比べて,2470円引となります。

金券ショップなどでの株主優待券の実売価格は1850円ほどなので,損ではないのですが,手間をかけるほどの割引にはなりません。優待券が手元にあって,他に使い途がないのなら,使ってよい程度の割引といえます。

14日前まで設定の3割引運賃の方が安い

ただし,東京-金沢間では,2020年から割引きっぷも増えています。JR東日本ではえきねっとトクだ値,JR西日本では早特です。どちらもeチケットで,14日前までの設定で約3割引,前日までの設定で約1割引です。

なお,えきねっとのトクだ値は,メンテがない日だけ,購入期限が翌日未明の午前1時50分まで伸びます。

株主優待券の購入費用も考えると1割引運賃の方が得

それらと比較すると,株主優待券が手元にある前提では,安い順に次の通りです。

14日前までのトクだ値30 < 株主優待券の利用 < 前日までのトクだ値10

優待券をこれから金券ショップなどで買うのなら,1枚1850円ほど経費がかかります。その費用も勘案すると,以下の大小関係になります。

14日前までのトクだ値30 < 前日までのトクだ値10 < 株主優待券の購入利用

これから優待券を買うのなら,トクだ値30はもちろん,前日まで買えるトクだ値10の方が安いわけです。普通車では,トクだ値10が買える限り,株主優待券を買ってまで使う価値はありません。

トクだ値が完売・終売なら株主優待がお得

ただし,トクだ値・早特は,割引率に応じて席数が限られています。

とくに,14日前までのトクだ値30・早特14は,1か月前の発売開始早々に完売傾向です。また,大型連休や週末の旅行に都合のよい時間では,前日まで発売のトクだ値10・早特1も,1週間前くらいから席がなくなります。

このように,トクだ値・早特が完売や終売のときには,株主優待が唯一の割引の手段となります。JR各社の株主優待の残席は,無割引のきっぷと同じで,席がある限り割引が適用できます。また,除外日の設定はなく,大型連休でも有効です。

株主優待:航空会社は席数限定,JRは通常のきっぷと同じ残席

これは,航空会社の株主優待が,席数限定で設定されているのよりも,好条件です。航空便では,普通運賃に空席があるのに,株主優待運賃は満席となることがよくあります。

一方,JRの株主優待は,通常のきっぷと座席管理が同じです。それで,多くの列車のトクだ値が早々と完売する大型連休では,株主優待券は,買ってでも使う価値のある割引手段となります。

東京-金沢・グリーン車:株主優待の料金比較

この株主優待券はグリーン車でも有効で,グリーン料金も自社区間では4割引となります。そのため,株主優待券はグリーン車で使う方が,割引額が大きくなります。

そして,東京-金沢ではネットで買えるグリーン車用の割引はわずかです。トクだ値・早特は,東京-金沢のグリーンには設定がありません*2

では,グリーン車の利用で,通常料金と株主優待,他の割引を比較してみましょう。

東京-金沢の株主優待と他の割引の比較(グリーン車:円)
きっぷ 区間 合計 運賃 特急料金 グリーン
料金
通常の運賃・料金 東京―金沢 19100 7480 6370 5250
JR東日本株主優待
東京-上越妙高
で有効
東京-上越妙高 12060

7230
5170
4割引↓
3100
3740
4割引↓
2240
3150
4割引↓
1890
上越妙高-金沢 7820 3080 2640 2100
両区間合計 15050 6180 4880 3990
他の割引きっぷ 購入方法 合計 購入期限など
eチケット JR東日本
えきねっと
18900 発車定刻4分前かつ22時54分
eチケット JR西日本
e5489
18900 発車定刻4分前
J-WEST eチケット J-WESTカード
会員専用
18670 発車定刻4分前(当日最安)

割引きっぷは,当日も買えるeチケットしかなく,18900円。J-WESTカード会員専用のものでも,18670円です。

グリーンでは株主優待が最安の買い方に

一方,株主優待をグリーン車に適用すると,15050円。割引額は4050円です。優待券を1850円ほどで買ったとしても,十分な割引といえるでしょう。そしてこれが,東京-金沢のグリーン車に乗る最安の買い方になります。

なお,ツアーで追加料金を払うとグリーン車に乗れるものもあります。この追加料金はかなり変動しますが,2021年4月現在,JTBのダイナミックパッケージでの片道追加料金は4200円ほど。現状では,株主優待の方が有利といえます。

グランクラスで使うと,割引は乗車券部分だけで不利

さて,高い料金となるほど株主優待の割引額も大きいのなら,もっとも高額のグランクラスで株主優待を使った方が,お得に思えます。

しかし,グランクラスでは,株主優待は乗車券部分しか割引にならない決まりです。つまり,特急料金,グランクラス料金とも無割引となります。これでは,普通車やグリーン車で使うのよりも,割引額は少なくなってしまいます。

東京-金沢の株優適用も指定席券売機で買える

以上のように,東京-金沢での割引額の計算は面倒ですが,買うのは簡単です。

JR東日本の株主優待券は,2020年6月~21年5月有効のものから,券面にQRコードが付きました。航空会社の株主優待券と同じで,スクラッチを削ると現れるものです。

まずQRコードの読取りボタンを

JR東日本の駅の指定席券売機では,まずQRコードの読取りを選びます。そして,右下の読取り部に,券面のQRコードをかざすと,株主優待でのきっぷの購入モードになります。

(なお,その左のボタン「乗車券>株主優待」からも買えます。遷移は増えますが,スクラッチを削らずにシートマップと価格まで確認できる利点があります。)

JR東日本の指定席券売機には,株主優待やツアーのチケットを購入できるQRコード読み取りボタン。 JR東日本の指定席券売機にある,株主優待券やツアーのQRコードを読み取り部。
右下にあるQRコードの読取りボタン 株主優待券のQRコードを読取らせる

この券売機では,1回で片道8席分(優待券8枚分)まで購入でき,シートマップで並び席が取れます。

会社境界を越える区間については,JR東日本のウェブサイトにある株主優待券の説明と同じ注意が表示されます。

※当社営業路線とJR他社路線をまたがって乗車する場合は、当社の割引区間とJR他社区間を別々に発売することになります。なお、この場合、割引券を利用したことにより、むしろ割高になる場合もあります。

要するに,「発売はできますが,それで得かどうかは,ご自身で計算を」ということです。会社境界をまたぐ場合は,この記事のような計算で,損得がわかります。

シートマップと金額の確認までなら,優待券が手元になくても,乗車券ボタン>株主優待の手順で,券売機で試せます。自分の計算に自信がないときは,この後で,(優待券がないときは入手して)スクラッチを削って,利用するのがよいでしょう。

横浜や千葉などからの乗車券通しも割引に

この後の選択は,出発駅:東京周辺の駅,到着駅:金沢,出発日時などを選ぶと,適当な列車が提案されます。出発駅は,横浜や千葉でもよく,その方が乗車券が横浜や千葉から4割引になるので,少しお得です。

列車が決まると,普通車・グリーン車の選択,座席の選択と進みます。席を決めるときは,シートマップも見られるので,混みすぎなら,別の列車に替えてもよいでしょう。

株主優待適用例:東京-金沢グリーン車

決済のために,人数分の株主優待券を読み取らせ,クレジットカードか現金で支払いを済ませると,以下のきっぷが発券されます。

北陸新幹線・東京-金沢にJR東日本の株主優待を適用した乗車券・特急券(会社境界駅・上越妙高で分割されている)

東京-金沢グリーン車で最安の買い方に

金額は合計15050円で,東京-金沢グリーン車の正規料金19100円より4050円お得。株主優待券を1850円で買ったとしても,満足できる割引でしょう。

結局,JR東日本の株主優待券の使い途として,「グリーン車で金沢へ」というのは,お得な行先の一つといえます。また,東京から金沢にグリーン車で行く場合,株主優待券をこれから金券ショップなどで買うのでも,これが最安の方法です。

分割は自動的に行われ,予備知識は不要

この発券は,東京周辺-金沢の区間と時刻→列車と席の選択だけで自動で行われ,会社境界の予備知識は不要です。株主優待券は,最後の決済(クレカか現金投入)のところまで,使ったことにならないので,空席と金額の確認だけでも試せます。

応用のため,券面を説明しておきます。乗車券・特急券・グリーン券は会社境界駅・上越妙高で分けて発券され,東京側のJR東日本区間だけに,株主優待割引の表示,東・優4割53が入ります。

この特急券は,料金の計算のために分割されたもので,座席の利用区間とは異なっています。通常のきっぷのように,特急券に座席を指定できないため,全区間の指定席だけを示す「指ノミ券」が,別に発券されています。

注意:買えるのはJR東日本の券売機と窓口だけ

JR各社の株主優待で,きっぷが買えるのは,自社の駅だけです。JR東日本では,券面のQRコードで指定席券売機で買うこともできますが,これもJR東日本の駅だけです。

そして,金沢駅はJR西日本で,JR東日本の株主優待のきっぷを買うことはできません。帰りのきっぷに,JR東日本の株主優待を使いたいのなら,あらかじめJR東日本の駅で買っておく必要があります。

行先が他社の場合,帰りの割引適用は行く前に

JR東日本の新幹線では,行先がJR西日本になる金沢や富山,JR北海道になる函館(新函館北斗)などで要注意です。

そのほか,行先が他社になる例には,伊豆急行線に乗り入れる(サフィール)踊り子の伊東から先,伊豆急下田までと,新宿発で東武線に乗り入れる(スペーシア)きぬがわの鬼怒川温泉,富士急行線に乗り入れる富士回遊などがあります。

なお,東海道新幹線は,東京から全線がJR東海で,もともとJR東日本の株主優待券の利用はできません。JR東日本の株主優待券が意外と安く流通している理由の1つは,そこです。

帰りのきっぷも買ったとき,変更は自社限りに注意

株主優待を適用したきっぷも,通常のきっぷのように,1回限り変更ができるのですが,それも自社でしかできません。ただし,異常時などは,便宜的な取り扱いの可能性もあります。

他社区間で払戻しが必要な場合は,まず他社の窓口で払戻し申し出の証明をもらい,自社窓口に戻って払戻しを受けることになります。払戻しは乗車日に近づくほど,手数料が高くなるため,他社窓口でも証明を早く受けるのがお得です。

払戻しの理由が,運休などJR側にある場合だけ,使用した株主優待券は,JR東日本側の手続きで再度有効になります。その場合,優待券が再発行されるのではなく,元の優待券の番号が再度使えるようになるだけです。

そのため,株主優待券は,目的地に到着して,払戻しの可能性がなくなるまで,捨てないよう注意が必要です。 

*1:この表は通常期の価格の比較です。無割引のきっぷとeチケットは,繁忙期は200円増し,閑散期は200円引きとなります。トクだ値・早特・J-WESTeチケットは,価格に変動はなく,需要に応じて完売が早くなるだけです。

*2:北陸新幹線の割引運賃・トクだ値でグリーン車用があるのは,各駅停車タイプ・あさま号の東京・上野・大宮ー安中榛名・軽井沢・佐久平・上田・長野各駅間だけです。