北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

金沢のバスで使えるカードは?北陸鉄道は独自のICaだけ,JRバス・まちバスはSuicaなどが利用可

まず,バスとカード・チケットの対応表です。

金沢のバスで使えるカードなど対応表(2020年7月現在)
ICカード,
チケット
北陸鉄道バス JRバス まちバス
土休日
限定
ふらっと
バス
周遊バス 兼六園
シャトル
その他
路線バス
小松空港
リムジン
ICa(アイカ) × × × *1
Suica, PASMO,
ICOCA
など
× × × ×*2 ×
PiTaPa
ポストペイ
× × × × ×
1日乗車券 *3 × *4 × ×
JRぐるりんパス*5 × × × × × ×
Japan Rail Pass*6 × × × × × ×

高速バス(加賀温泉能登高岡富山五箇山・白川郷方面も含む),ライトアップバス*7では,上記すべて使えません。

北陸鉄道バスはSuicaなどが使えない

金沢で本数が最も多い北陸鉄道バスには,ICカードICaアイカがあります。しかし,Suica,PASMO,ICOCAなど全国の交通系ICカードとは相互利用できません*8。地方都市のバスでは,今もよくあることです*9。ICa購入のメリットは,チャージごとの10%プレミアムで,それは最後に書きます。

一方,JRバスとまちバスでは,Suica,PASMO,ICOCA,PiTaPaなどが使えます。しかし,北鉄バスに比べれば本数が少なく,観光では不自由します。

3回以上乗るなら1日乗車券600円

それで,金沢の観光では,ほぼ3回乗車で元がとれる,1日乗車券(600円)がすすめられます。よく使われる周遊バス兼六園シャトルと,並走する一般の路線バスに乗れます。

2020年4月から北鉄・JRバスどちらも乗れるように

この1日乗車券では,2020年4月から北陸鉄道バスとJRバスどちらも乗れるようになりました。以前は北陸鉄道バスしか使えず,JRバスへの誤乗問題があったのですが,これで解消されました。ただし,まちバスには乗れません。

なお,一般の路線バスでは,1日乗車券で乗る時でも,乗ったバス停を示すため,整理券をとります。それを降りるときに運賃箱に入れて,1日乗車券を提示します。

1日乗車券は,乗車日限りですが,21美を含む観光施設の多くで,団体扱いの割引や50円割引などの特典があります。

金沢駅の乗り場後ろでの購入時だけSuicaなどが使える

1日乗車券は(以前はあった)車内売りは終了。購入は,金沢駅兼六園口(東口)7番バス乗り場後ろの窓口や,おもなホテルなどで。

2017年4月から,駅7番乗り場後ろの窓口での購入時にだけ,Suica,PASMO,ICOCAなど交通系ICカード全国相互利用のものが使えるようになりました。物販と同じ扱いのため,電子マネーの方式が違うPiTaPaだけ使えません。買い方と特典などはこちら。

基本:後ろ乗り,前降り,後払い

金沢のバスは,(ドア1つのものを除き)後ろ乗り,前降り,後払いです。区間に応じて運賃が異なる路線がほとんどだからです*10

乗車時に整理券があればとり,前降り時に支払い

後ろから乗車時に,整理券があればとり,前から降りるときに,運賃表にある金額を支払います。周遊バスや兼六園シャトルは均一運賃で,整理券がありません。1日乗車券利用時でも,整理券がある路線バスの乗車時には,それをとります。

両替は千円まで,ICカードは乗るときタッチ,降りるときタッチ

降りるときの支払いは,おつりが出るのではなく,両替によるもので,千円札までの対応です。ICaやSuicaが使えるバスでは,乗るときタッチ,降りるときもタッチで済みます。均一料金の兼六園シャトルにICaで乗るときも,乗るときタッチが必要です。

JRバスはSuica, PASMO, ICOCAなどが利用可

西日本JRバスでは,北陸新幹線開業日から,PiTaPa,ICOCA,Suica,PASMOなど,交通系ICカードの全国相互利用に対応しています。

JRバスは,金沢駅兼六園口4番乗り場から,10~20分間隔の発車。金沢駅発着分全便の時刻表はPDF1枚です(平日土休日)。

本数は少ないですが,全便が武蔵ヶ辻・近江町市場と橋場町・ひがし茶屋街を通ります。また,一部の香林坊経由のバスだけ,広坂・21世紀美術館,兼六園下にも停まります。詳細は別記事へ。

PiTaPaならポストペイとオートチャージに対応

西日本JRバスは,大阪本社のバス会社で,端末はPiTaPaです。そこで,関西の私鉄と同じく,PiTaPaに限って,ポストペイ方式とオートチャージにも対応

写真は,兼六園下に停車中の,橋場町(ひがし茶屋街最寄り)方面行のJRバス。その乗車口のカードリーダーです。PiTaPaをはじめ,使える主要カードのロゴが並びます。

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JRバスも,後ろ乗り,前降り,後払い。乗車時に整理券をとって,下車時に対応する運賃を支払います。

SuicaなどICカード利用時は,乗車バス停の記録のため,乗車時タッチ,下車時もタッチです。JRバスでは,北陸鉄道のICaが使えないことも,各所に表示されています。

Japan Rail PassもJRバスには有効

JRバスは,外国人旅行客向けのJapan Rail Passでも乗ることができます。このパスは,JR全線(のぞみなどを除く)と(高速バスを除く)JRバスに乗れるものです。

土休日限定まちバスもSuicaなどが利用可

さらに,繁華街と観光地の一部に行けるまちバス(土休日限定)でも,Suica,PASMO,ICOCA,PiTaPaなどの交通系ICカードの全国相互利用が可能になっています。これは,JRバスが運行受託しているからです。

まちバスも,JRバスと同じく,PiTaPaに限って,ポストペイとオートチャージ対応。100円均一のため,下車時だけタッチでの支払いです。

ルートは,金沢駅から繁華街だけを一方向にループして,駅に戻るラケット状。金沢駅兼六園口5番乗り場→武蔵ヶ辻・近江町市場→香林坊(長町武家屋敷最寄り)→広坂(21世紀美術館と兼六園真弓坂口最寄り)→香林坊で行きのルートに戻り,金沢駅まで帰ります。

茶屋街以外のおもな観光スポットはカバーします。ダイヤは20分ごとですが,多客時の行きと帰りの時間帯には,10分間隔になる増発便が出ます。

まちバスの専用車には無料のWi-Fiサービス

まちバスは,専用車にだけ,無料のWi-Fiサービスが付いています。

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これは,20分ごとの定期ダイヤに入る専用車だけなのにご注意を。増発便など,運用の都合でJRバスの一般車が代走するときは,このサービスはありません。

まちバスでは,Japan Rail Passは使えません。運用の都合で,受託するJRバスの車両が代走することもありますが,まちバスとして運行されるときは,使えないことにご注意を。

土休日は100円のまちバス,兼六園シャトルが混雑

(周遊バスも含め)通常のバスでは,駅から市内中心部や多くの観光地までは,200円です。しかし,土曜・休日限定のまちバスは100円,競合する兼六園シャトルも土曜・休日だけ100円に値下げです。

この2路線は,安いことを知っている,地元客や近隣からの買物客で混みます。詳細は別記事へ。

Suicaなどの利用:タクシーや観光施設でも

Suicaなどで払いたい観光客が増えるにつれ,街中では使える場所が広がっています。タクシーの石川交通や,兼六園や21世紀美術館などの観光施設です。それは別記事にまとめて,随時更新中。

ICa購入のメリットは10%プレミアム

最後に,長期滞在などで北陸鉄道バスに何度も乗る場合,ここでしか使えないICaの購入を、どこで決断するかという問題です。

ICaのメリットは,1000円単位のチャージのたび,10%のプレミアムがつくことです。では,どれだけ乗るならICaの新規購入を考えればよいのでしょう。

ICaはデポジット500円込で2000円の販売。以降1000円単位のチャージごとに,10%のプレミアムがつきます。また,30分以内の乗継ぎなら,自動的に30円割引されます。

得なのは6000円以上乗る場合

窓口まで出向く面倒のある払戻しは考えず,デポジットを捨てる前提では,購入時の金額を含んで累積6000円目の支出ではじめて得になる計算*11。これが,ICaの購入で得をする「損益分岐点」です。

小松空港へのバスなら3往復目で得

市内のバスで6000円というと,相当のリピーターでしか届かない額です。とはいえ,小松空港を頻繁に利用するなら,そうでもありません。

金沢駅から小松空港へのリムジンバス(1150円)では,3往復目で使い切って元が取れます。このバスを継続利用するなら,ICa購入を検討してもよいところ*12

小松空港線は回数券が得な場合も

ただし,小松空港線では,10枚綴り回数券(9500円)があって,その方が割引率は大。実は,この回数券のバラ売りは,金沢の金券ショップの定番商品で,駅近の自販機で簡単に買えます*13

また,金沢駅と小松空港の乗り場などで売られる金沢駅・小松空港間1150円の乗車券には,金沢駅から200円区間の乗車券がセットされています*14。この200円券を使う機会があれば,その事前購入の方が得です。

この乗車券を発売している金沢駅西口と小松空港にある券売機では,Suica,PASMO,ICOCAなど全国交通系ICカードが使えるようになりました*15。他のバス停には券売機はなく,乗車券を買わずに車内で支払う場合には,現金かICaだけなのにご注意を。

周遊バスや加賀温泉・能登へのバス,電車線では使えない

なお,ICaは,同じ北陸鉄道の運行でも,観光利用の多い周遊バスや加賀温泉・能登方面を含む高速バスには使えません。ただし,兼六園シャトルでは使えます。また,北陸鉄道が運行する郊外への電車線(内灘・鶴来方面)でも使えません。

*1:JRバスが運行受託する長町ルートを除きます。

*2:小松空港と金沢駅金沢港口(西口)バス乗り場の券売機では,空港リムジンバスの乗車券の購入に,Suica,PASMO,ICOCAなどの全国交通系ICカードが使えます。
 この券売機は,他のバス停にはありません。また,物販扱いのため,その方式の違うPiTaPaは使えません。
 乗車券を買わず,車内で支払う場合は,現金かICaだけで,Suicaなどは利用できません。

*3:金沢市内1日フリー乗車券は,2020年4月から北陸鉄道とJRバスで共通化されました。市内中心部の両社路線バスに有効です。
その範囲は,時刻表付きマップの通り,周遊バス・兼六園シャトルのほか,そのルート内側をカバーした250円区間までです。
 有効区間外への乗り越しは,差額ではなく,境界バス停から初乗り時の運賃が必要です。

*4:金沢市内1日フリー乗車券は,2020年4月から北陸鉄道とJRバスで共通化されました。
 JRバスでは,市内中心部の230円区間までの範囲に有効です。北鉄バスの周遊バス・兼六園シャトルと並走区間をすべて含みます。
 有効区間外への乗り越しは,差額ではなく,境界バス停から初乗り時の運賃が必要です。

*5:JRぐるりんパスは,割引きっぷにセットされたり,ツアーと合わせて買えるオプションで,単品での発売はありません。たとえば,関西発の金沢・加賀・能登ぐるりんパス,東海発の金沢・加賀・能登ぐるりんきっぷなどにセットされています。

*6:Japan Rail Passは,JR全線(のぞみなどを除く)とJRバス(高速バスを除く)が乗り放題になる,おもに外国人観光客向けのきっぷです。短期滞在資格の外国籍であることなどを条件に,海外の旅行会社や日本の主な国際空港と駅などで販売されています。エリア限定の外国人向けパス(Hokuriku Arch Passなど)には,この特典がありません。
 昼間の金沢のJRバスで,外国人客の割合が高いのは,Japan Rail Passの利用者が多いからです。同様に,JRバスがわずかに走る京都市でも,同じ傾向です。

*7:ライトアップバスは,土曜と特定日の夜のみ運行で,1乗車300円。ライトアップバス専用の1日乗車券500円がありますが,通常の1日乗車券とは別の扱いです。

*8:バスのカードリーダーには,Suicaが使えないことが書いてあります。誤ってSuicaなどをタッチすると,ふつうのピではなく,ピーと長音の警告音が鳴ります。なお,残高警告はピピピで,ICaなら乗ってから車内で,千円単位の現金チャージができます。

*9:いまどきSuicaなどが使えないのか,とのコメントもネットでよく見ますが,地方都市のバスでは,ICカードの全国相互利用に未対応の地域が,今でも多いのです(Wikipediaの詳細な解説)。
 県庁所在地に限っても,おもなバスで,Suicaなど交通系ICカードの全国相互利用ができない都市は,以下の通りです:青森,秋田,盛岡,山形,福島,宇都宮,水戸,前橋,長野,富山,金沢,福井,岐阜,和歌山,鳥取,松江,山口,高松,徳島,松山,高知,長崎,鹿児島,那覇。
 利用できないのはまだ24県もあり,観光客の多い,長野,松山,長崎,那覇なども含まれています。
 共通点は,そのバス会社が大手私鉄の子会社でないか,子会社でも出資比率の低いところなど。ICカードを全国相互利用とするには,十億円の単位になる設備投資費用が必要ですが,それに見合うほどの,Suicaなど域外の利用者の増加と増収がなければ,この費用は回収できません。多くの地方都市では,新たにSuicaなどに対応しても,増収分は費用負担に比べて限定的で,民間企業の投資判断としては先送りされます。
 金沢では,本数が少ない西日本JRバスと,同社が運行受託するまちバスだけ,SuicaやICOCAが使えます。それは,JR西日本グループ全体では,財務に余裕があり,金沢エリアのバスに設備投資をしても,収益性の高い関西圏と一体で,投資費用の回収が可能だからです。
 全国での改善は少しずつ進んでいて,たとえば2018年3月17日から,広島の私鉄とバスで,Suicaなど全国交通系ICカードの「片利用」がはじまりました。片利用とは,Suicaなどでは支払えるものの,地元のカードPASPYは,Suicaなどのエリアで使用できないというもの。観光や出張の来訪者の利便性は高めつつ,PASPY側の設備投資費用は抑えられる利点があります。
 しかし,他の大都市圏から広島へ転勤や転居される方など,これまではPASPYを新たに購入していた客が,すでに持っていたSuicaなどを使い続けると,PASPYの発売枚数は確実に減ります。それを上回るSuica利用客の増加と増収があるかどうかが,民間企業の投資として成功するかの分かれ目です。
 広島市は人口約120万人で,空港や呉,福山,岩国などに片道千円ほどの高速バスが,毎時数本の頻度で運行されています。それほどの利用がある地域でも,2018年春に,ようやく「片利用」開始ですから,全国のバスへの普及には,まだ長い時間がかかるでしょう。

*10:後ろ乗り,前降り,後払いは,乗車区間に応じて運賃が変わる路線のほとんどで採用されている乗り方です。降りるときにはじめて運賃が確定するため,その後払いを,運転士の前で行う必要があるからです。
 一方,前乗り前払いができるのは,均一運賃が基本の地域です。それができる東京の都バス(多摩地区を除く)や横浜・名古屋の市バスは前乗りですが,長い路線もある札幌,仙台,京都,大阪,広島,福岡などは,大都市でも後ろ乗りです。
 そして,名古屋などは,市バスが前乗り,名鉄バスが後ろ乗りと,同じ区間でも会社で分かれます。実は,北陸鉄道は(連結対象ではありませんが)名鉄グループで,筆頭株主が名鉄です。
 バスの乗り方の地域分布の記事を,参考までに。

*11:2000円で購入した時点で,デポジットに500円とられ,運賃として利用可能なのは(2000-500)*1.1=1650円。以降1000円チャージごとに,1100円分利用可能です。そこで,購入後に4000円チャージすると,支出総額6000円に対し,利用可能額が1650+4000*1.1=6050円となり,デポジット分を回収してはじめて利益が生じます。

*12:ICaの「損益分岐点」である6000円分の支払いで利用できる6050円分を,小松空港線で使い切れるのは,乗車6回分の運賃1150円×6=6900円を支払う時点。その先,継続利用なら,引き続きチャージで構いません。それ以上乗らない場合,不足額は現金で払えるので,ICaの残高をゼロにして,休眠状態としても得をします。
 さらに,窓口に出向く機会があれば,残額をゼロにしたICaを払戻すと,実質無手数料でデポジットの500円が戻ります。払戻し時の手数料は,残額の範囲で充当されるため,チャージ額を使い切っていれば,手数料充当額もゼロになるからです。これはSuicaなどの払戻しと同じで,使い切って払戻せば,実質無手数料でデポジットを回収できます。

*13:金沢駅兼六園口(東口)徒歩圏では,旧金沢都ホテルの裏手に移転したチケットプラザ金沢駅前店の自動販売機が小松空港や富山などまでのバスの回数券をバラ売りしていて,24時間稼働。そのほか,ホテル日航金沢の入るビルの地下1階・チケットバンク金沢駅前店にもあります。

*14:車内での発売はなく,駅や空港などで,乗車前の購入が必要です。なお,2016年10月から,一部の便が,金沢駅から武蔵ヶ辻経由香林坊まで延長運転をしていて,その場合は別の用途で使えます。

*15:小松空港リムジンバスの乗車券を扱う北陸鉄道バスの自動販売機は,Suica,ICOCAなど交通系ICカードの全国相互利用の範囲のものが使えますが,物販扱いのため,決済方法が異なるPiTaPaは使えません。