金沢は,この30年間にはじめて新幹線が開通した(する)都市で,もっとも観光客が多い都市というところに特徴があります。これまでの新幹線開業イベントを振り返ってみると,金沢を超える観光客のある都市への新幹線開業は,今から33年前,1982年に東北新幹線がはじめて通った仙台まで遡ります。
金沢の歴史的な特徴は,
- 江戸時代に日本で最大の石高であった加賀藩百万石(支藩も含めると120万石)の城下町
- 太平洋戦争の空襲を受けていない都市として,京都に次ぐ都市規模
という点につきるでしょう。
その遺産として大名庭園・兼六園があり,江戸時代からの遊郭である茶屋街(ひがし・主計町・にし)が街並みとして維持されています。そのほかにも,戦前に建造された木造建築がいくつか残り,今でも料亭などとして使われています。
そうした百万石の財力が,外様大名のために,戦力ではなく文化・芸術とくに美術工芸品に使われたことも,この街のもう一つの特徴です。国内99%のシェアを産する金箔と,茶道に用いる楽焼として一目置かれる大樋焼を育て,市外になりますが九谷焼,輪島塗を,それぞれ陶器・漆器の頂点の一つに登らせました。
文化・芸術を重んじる土壌は,伝統工芸にとどまらず,地方都市では有数の現代美術館である金沢21世紀美術館などに結実しています。
城下町の遺産は,庭・城・茶屋街
そういう歴史を踏まえて,ここにしかないものを観るとすると,定番は次のスポット。
兼六園
大名庭園として日本三名園の一つ。江戸時代幕末に建造された奥方の御殿・成巽閣や,隣接する次の金沢城公園とあわせて,徒歩で1 時間以上は回遊できます。
金沢城公園
兼六園側の門は重要文化財の石川門。城内は復元が進み,2015年3月には玉泉院丸庭園が開園しました。園内の玉泉庵では,お庭を眺めながら,お抹茶をいただけます。
茶屋街
ひがし,主計町,にし,と3地域にあるうち,とくにひがし茶屋街の景観は,金沢の観光写真に頻繁に登場するビューポイントです。
武家屋敷
江戸時代の武家の邸宅がいくつか残っているのが,長町武家屋敷。
そのうち,内部とお庭を観られるものに野村家庭園があります。縁側から,足下の池に泳ぐ鯉が眺められるお屋敷です。
現代の見どころは21世紀美術館
加えて現代の見どころとしては,先に挙げた,
が外せないところです。現代美術だけに,驚かせる展示もあって,カップルや子ども連れも飽きさせません。
城下町らしいお寺さんも
このほか,お庭やお城の美しさが受けない若い層には,内部に面白いからくりのある
を混ぜてもよいかも。こちらは予約制(空きがあれば当日予約可)であることに注意してください。後は好みに応じて,そのうち書き足します。
近江町市場は目的次第
一方,ガイドブックでは必ず登場する近江町市場は,AKB(甘えび,かに,ぶり)や,のどぐろなど,地物の鮮魚を買って帰るつもりか(ほとんどは冷蔵での宅配も可),この周辺の料理店のどこかに特別なあてがあるときだけでよいでしょう。
というのも,他の日本海側の都市にも同様の小売の市場がありますし,食事なら市内各所に,お鮨や日本料理をはじめ,多様なジャンルの有力店が散在してますので。
飲食店にとくにあてがなければ,多様な価格帯の飲食店が集まる,昔からの繁華街,片町から香林坊を歩きながら店を探すのをおすすめします。