北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

金沢までの新幹線,満席ならどうするか:長野で乗り継ぐと,空席のある確率は増え,料金は同じ

北陸新幹線では,ふつうの3連休でも,満席の列車が続くことがあります*1

そんなとき,金沢へ指定席で行くにはどうするか。長野で乗り継ぐと席が増えて,料金は同じ。そのネットでの買い方です。なお,駅で直接買うときは,指定席券売機ではできないので,みどりの窓口へ。

3連休では東京発金沢昼前着は,ほぼ満席

たとえば,この3連休,ちょっと金沢へと,1週間前にえきねっとを調べると…

昼までに金沢に着く新幹線は,満席です。大型連休はもちろん,ふつうの3連休でも,直前の予約は難しいのです。

この状況では,席の少ない航空機(羽田―小松)の方が早く満席になり,運賃も割高です*2。キャンセル狙いでも,定員で航空機1便の約5倍,本数で約3倍の新幹線が得策です。

念のため,上野始発・終着の空席を確認

まず,わずかな本数ですが,最混雑期に走る上野始発・終着の臨時がないか,上野ー金沢でも検索を*3。えきねっとや指定席券売機では,東京ー金沢で照会すると,上野発着の列車は外れています。

昼過ぎ着なら空席が…

そして,3連休程度なら,金沢着が昼過ぎの列車から,空席があります。遅く出るなら役立つのが,金沢市営の観光施設で開館を夜まで延長する金沢ナイトミュージアム。たとえば,21世紀美術館は,金・土曜だけ午後8時まで開館(チケットカウンターは30分前で終了)です。

遅い観光の注意は近江町市場で,観光客向けでない水産会社ほど,午後4時すぎから店仕舞いをはじめます*4

東京駅で自由席に並ぶか,立席特急券も…

指定席が満席なら,ふつうは自由席です。はくたか号に4両ありますが,速いかがやき号には,自由席がありません*5。指定席が満席のかがやき号では,指定席券売機と窓口で,立席特急券が枚数限定で発売されます。しかし,着席はできません。

その状況なら,はくたかの自由席は,始発の東京駅で埋まる可能性が高く,上野・大宮で着席は難しいところ。自由席の席の多い車両などは,後で書きます。

新幹線を長野で乗り継ぐと空席が増える

実は,新幹線で東京—金沢が満席といっても,それは通して座れる席がないだけです。かがやき号では半分弱が長野で降りますし,軽井沢停車のはくたか号なら,軽井沢ですでに半分が降りていることもあります。

他の新幹線の末端と同様に,長野—金沢も満席ということは,開業直後や異常時以外,ありえない話です*6

そして,東京—長野には,区間運転のあさま号があります。停車駅が多く,車内販売がないですが,東京—金沢の通し乗車に比べて,指定席がとれる確率は増えます。

東京―長野にあるあさまの空席

最初にあげた3連休,東京—長野では,1週間前でも次のような空席があります。

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東京→長野乗り継ぎ→金沢でも料金は同じ

空席のある列車を長野で乗り継ぐと,料金はどうなるのでしょうか。幸い,新幹線では,同じ方向の列車を改札を出ずに乗り継ぐときだけ,特急料金を通算できます*7。つまり,

  • 東京→金沢
  • 東京→長野(新幹線改札内乗り継ぎ)→金沢

は同料金です。

上の3連休で,乗り継げば席がある実例を。

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同じ日に,空席のある直通列車まで時間を遅らせると…

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たしかに同額です。金沢着がここまで遅くなると,直通のかがやきにも空席が残ります。昼前に着きたいなら,乗り継ぐ裏技が使えます。

注意:東京→長野→金沢をまとめて買う

乗り継いでも同額となる条件は,東京→長野→金沢の特急券を,まとめて買うことです。

特急券を別々に買うと,特急料金は通常期で東京→長野4200円,長野→金沢4960円,計9160円。運賃7340円を足して合計16500円で,通しの特急券より2380円も高くなります*8。もし,長野で改札の外へ出て観光するなら,その金額です。

ネットで買えて券売機で受け取れる,JR東日本のえきねっとでも,以下の乗継ボタンからの操作が必要です。別々に予約しても,自動で通算はされません。

なお,長野乗り継ぎの通しの特急券では,えきねっとトクだ値などの割引きっぷはなくなります。とはいえ,トクだ値は席数限定で,ふつうに買える指定席が満席なら,トクだ値は完売済みです。満席時の対策なら,乗り継ぎに損はありません。

えきねっとでは(PC用表示で)乗継ボタンから

以上のきっぷは,窓口だけでなく,えきねっとで買って,券売機で受け取れます。それは,きっぷ予約>乗継ボタンからです。ただし,このボタンは,PCやタブレット用です。スマホの場合は,ブラウザのメニューから,PC用の表示に替える必要があります。

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新幹線→新幹線の乗り継ぎも買える

すると,新幹線→新幹線の乗り継ぎが現れます。

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注意書きのように,この乗継ボタンでは,新幹線改札口を出ないときに特急料金を通算できる特例が適用されます。

乗る列車は,先と後のどちらからも選べて,先→後の順に選んでいくと…

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東京→金沢が満席の列車も,長野→金沢の席はある

乗り継ぐ先の長野→金沢の空席が現れます。

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結局,東京→金沢では満席だった,はくたか555号,かがやき507号とも,長野→金沢なら空いていました。以上を合わせて乗車券も付けると,きっぷが確定します。

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あとは,決済用に登録してあるクレジットカードを持参して,駅の指定席券売機で受け取るだけです。クレカの暗証番号もお忘れなく。

発券は,乗車前まで,JR東日本の駅と(JR西日本区間を含む)北陸新幹線の全駅でできます*9

後で直通列車の指定席が見つかれば,こちらは310円でキャンセルできる

なお,乗り継ぎで席を確保しても,誰かのキャンセルで,後で直通列車に空席が出ることもあります。そのときは,このきっぷのキャンセルを後回しにして,すぐ購入を。

幸い,この東京ー長野乗り継ぎー金沢の特急券は,発券前なら,えきねっと特典で,発車6分前まで手数料310円でキャンセルできます*10。それは,え特払戻ボタンから。

特急券の変更は,発車前まで無手数料が基本ですが,えきねっとでは,乗り継ぎから直通列車への変更はできません。もちろん,(トクだ値などの割引きっぷ以外なら)発券後,窓口で無手数料の変更は可能です。しかし,その間に,空席は拾われてしまうでしょう。

それで,都合のよい席が買えてから,乗り継ぎの特急券をえきねっと特典で払戻すのが安全です。

e5489でも「その他の特急・新幹線予約」から買える

JR西日本のe5489でも,同じものが買えます。その他の特急・新幹線予約>乗り換え指定>乗り換えせず利用する区間を指定,と進めばよいです。北陸新幹線の予約ボタンから進むと,変わった乗り継ぎのきっぷは買えないので,ご注意を。

e5489の購入分も,JR西日本の駅のほか,北陸新幹線の全駅と東京都区内駅でも発券できます*11

e5489は(後で空席が出れば)直通列車へも変更可能

e5489では,予約の照会・変更>予約の詳細>きっぷを変更するとたどると,後で直通列車へ変えることもできます。ネットで直通列車↔乗り継ぎ列車間の変更ができる点は,えきねっとより高機能です。変更で済めば,通常の特急券なら無手数料です。

後でキャンセルするときの手数料は,e5489でも割安です。発券前なら,発車時刻まで,(割引きっぷでない)特急券は手数料330円,乗車券は手数料220円で払戻せます*12

えきねっとやe5489を使わず,駅で直接買うなら窓口へ

なお,上のように,直通列車があるのに,あえて乗り継ぐような特急券は,(えきねっとやe5489の予約なく)駅の指定席券売機の操作だけでは買えない仕様です。ネットを使わず,駅で直接買うのなら,みどりの窓口などへ。

東京-長野も満席なら上野発着臨時の確認後…

残念ながら,最混雑時には,東京—長野を分けても,指定席がないことがあります。そういう時期には,上野始発・終着の臨時列車がわずかにあるので,まずは上野—金沢や上野—長野—金沢の残席の確認を。

えきねっとでは,上野始発・終着の列車は,東京発着の検索から外されていて,列車の存在に気付かないことがあります。e5489では,一部で乗り継ぎも提案されますが,ダイヤ次第です。上野発着でも,再度調べた方がよいでしょう。

なお,上野始発・終着列車と臨時列車には,車内販売がないことにもご注意を。

自由席なら席の多い2,4号車,逆張りの1号車

それもなければ,やむなく自由席です。速い「かがやき」には自由席がなく,どうせ並ぶなら,金沢まで直通する「はくたか」の自由席4両へ。

並ぶ車両は,席の多い2号車と4号車(一部列車は指定席に割当て)が狙い目。端の1号車は座席が少ないことが知られてきたので,1号車の列が他の半分以下なら,逆張りで1号車狙いもありです。

北陸新幹線の自由席の座席数:座りやすい車両はどれか。

始発では(1号車を除き)1ドア当たり40人余りが座れる

前後の列車も指定席が満席なら,始発の東京駅に発車30分前で座れるか,というところ。(席の少ない1号車を除いて)1ドア当たり,40人ほどが座れる読みができます。もちろん,後から来るお連れ様を含んでです。

東京駅のJR東日本の新幹線は,発車を16分サイクルで繰返していて,先発列車の列がある時間から並ぶことになります。先発と後発の列が別にできているので,表示にご注意を。

始発の東京駅までは,在来線を折返すように乗ることも,東京都区内発や東京山手線内発と表示された長距離の乗車券なら,認められています*13。ただし,特急券は東京発が必要で,上野発より210円高くなります。

列を選ぶなら,荷物が少なく,乗り慣れた出張・通勤客が多い方へ

新幹線は(一部を除き)車両の両端に乗車口があるので,進みの遅い列は不利です。人数が同じ位なら,荷物が少なく,連れもないような,出張や通勤客が多い方へ並ぶのが賢明。

乗り慣れていて荷物の少ない人ほど,車内への流れと席取りが速くなります。人に比べて荷物の多い列では,後でお連れ様が現れることもあります。

無理なら,軽井沢まで立つ前提であさまに

指定席が満席の列車が続くときは,上野・大宮乗車で座るのは困難でしょう。途中まで立つ前提なら,軽井沢に停まるあさま号の自由席に乗り,長野駅ではくたかに乗り継ぐのがよさそう。

あさまは,自由席がはくたかより1両多い5両。そして,長野止まりのため,連休などは,乗客の半分以上が軽井沢で降りてしまいます。

それで,最初は自由席に座れなくても,軽井沢から先は座れる可能性が大です。立っている時間は,大宮―軽井沢なら50分ほどです。

立つ時間を短くするなら,さらに自由席が多い新潟方面のMAXとき・たにがわで,高崎まで座って進んでおく手もあります。そして,高崎であさまか,はくたかへ。すると,立つのは高崎―軽井沢約16分だけです。この場合,高崎通過列車にご注意を。

長野→東京の自由席は長野始発あさまに余裕

なお,逆方向,長野→東京のあさま号の自由席5両は,軽井沢から東京側で満席と見てよく,始発の長野では座れることがほとんどです。長野始発のあさま号は,軽井沢駅で東京方面の積み残しがないよう,長野ー軽井沢に空席が残る前提で設定されているからです*14

ということは,金沢→東京の指定席が埋まっていても,金沢→長野なら指定はいつでもとれ,長野からあさま(指定席満席なら自由席)と乗り継げば,ほとんど並ばずに,座って帰ることができます。

金沢→東京の自由席確保も,金沢は始発で,行きより簡単

帰りの金沢→東京では,直通するはくたかの自由席に並ぶのでも,行きより安心できます。

混雑時,東京発の自由席は東京か上野で満席になりますが,金沢発の自由席は,富山県内など途中の停車駅からも相当が乗り込む前提での設定です。それで,始発の金沢駅で東京方面の自由席が満席になるのは,まれな事態といえます。

はくたかの自由席は上の図のように338席で,始発の金沢なら,(席の少ない1号車を除き)ドア1つ当たり40人あまりが座れる読みができます。大型連休や帰省の帰りのピークと大阪・名古屋方面の異常時を除けば,30分前から並べば十分でしょう。

東京―長野だけグリーンという手も:繁忙期ならプラス2370円

追加で払ってもよいなら,東京―長野だけグリーン車にすると,残席は増えます。東京―金沢のグリーン料金は5150円ですが,長野で乗り継いで東京―長野だけグリーンにすれば3090円で済み,2060円も違います。

なお,グリーン車の場合は,自由席の特急料金相当額にグリーン料金が加算されているため,繁忙期の普通車指定席との差は,3090-(520+200)=2370円です。

一部区間自由席やグリーン席もネットで買える

以上のように,普通席の指定がつながらず,一部区間だけ自由席やグリーン車という,変わった乗り継ぎも,えきねっとの乗継ボタンや,e5489から買えます。席の種類が変わる乗り継ぎも,特急料金部分は通し計算できるため,まとめて買うのがお得です。

長野乗り継ぎは(あさまの一部以外)同ホーム

乗り継ぐきっぷは,えきねっとやe5489で買えるとして,実際の乗り継ぎはどうでしょうか。

新幹線の長野駅は上下各1つのホームで,一部を除き,同ホーム乗り換えです。写真は,下り金沢方面11・12番ホームで,東京からの長野止まりあさま号で11番線に到着後,12番線に入る金沢行かがやき号を待つところ。

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例外は,あさまが折返しのため,通常の反対側ホームからの発着となる場合。それでも,隣のホームに移るだけで,エスカレータで5分とかかりません。エレベータが必要なときだけ,10分の余裕が安全でしょう。

どちらのホームにも,写真のように空調のある待合室があります。金沢方面の待合室は空いていて,待ち時間もほとんど座れます。東京方面のホームは乗客が多く,直前では座れません。その場合は,ホーム上の階の待合室へ。

同料金で新幹線乗り継ぎ:途中で喫煙する裏技にも

2本のホームとも,待合室とは別区画に,喫煙ルームがあります。東北・北海道・上越・北陸新幹線は全席禁煙で,(東海道・山陽・九州と違って)車内に喫煙ルームがありません。えきねっとなどで買えて,同料金の乗り継ぎは,途中で喫煙する手法にもなります。

新幹線改札外には出られないが,コンビニあり

ホーム上階の改札内側には,小さなコンビニの付いた待合室(57席)があります。改札内には,多目的トイレのほか,授乳室もあります。そのため,改札外に出られない不便は,ほとんどないでしょう。

同じ列車でも,移動すれば席がある可能性?

以上の,乗降の多い駅で,空いた列車を乗り継ぐ手法ですが,よく考えると,同じ列車の中でも,席を移るだけで,空席にありつける可能性に気付きます。

たとえば,席Aが東京→長野で,席Bが長野→金沢で予約され,両席にそれ以外の予約が入らなかった場合です。もちろん,後で入った予約を同じ席に移動できれば,他方の席を東京→金沢全区間で空けられ,座席効率は上がります。

しかし,現在は,乗客が席を選びたい場合,ネットや券売機では,シートマップで選べる席を提示しています。そこで,JR側の座席効率だけで席を詰めさせると,途中区間の乗客が選べる席が大幅に減ってしまいます*15。そうした理由で,一部区間利用の乗客を詰める席割りも,完全にはできません。

席だけ移動は,えきねっとや券売機で買えない

ということは,同じ列車に乗り続ける場合でも,乗降の多い途中駅で席移動すれば,指定席に座れる可能性はわずかにあるのです。

しかし,現状では,えきねっとの「乗継」ボタンから進んでも,「同一列車乗り継ぎ」はエラーとなります。指定席券売機では,直通列車がある区間をあえて乗り継ぐことに,対応していません。

みどりの窓口では,同一列車の途中停車駅で席を移動するという発券も,できることにはなっています。ただし,区間ごとの「まだらな」空席があったとしても,混雑時ほど,一部区間だけの乗客にすぐ拾われてしまうため,可能性は低い話です。

*1:北陸新幹線だけを切り出した乗客数の推移は,JR西日本の月次ご利用状況でわかります。それによると,2017年11月から2018年9月まで,(2018年3月と5月を除き)前年同月比プラスを維持しています。初物需要につきものの反動減の時期は,すでに脱したと見られます。

*2:羽田―小松便で最も使われる機種はボーイング737-800型の165席で,片道10便です。一方,新幹線の東京―金沢間は,E7系かW7系の1編成924席,片道最大30本です。
 そのため,新幹線が満席になるような混雑時は,航空機が先に満席になっています。キャンセル数は予約済みの席数におおむね比例するので,それを狙うとしても,新幹線を主眼にした方がよいでしょう。
 なお,航空機では,需要に応じて割引運賃を大きく変動させるので,混雑時に直前に予約が入っても,新幹線よりは割高になります。それで,価格なら,空いた時期は航空機,混んだ時期は新幹線が有利です。
 東京ー金沢と羽田ー小松での価格を,安い順に並べると,
航空機の早期購入割引運賃<航空機の閑散時の割引運賃<新幹線の割引きっぷ<新幹線の正規運賃<航空機の混雑時の割引運賃<航空機の正規運賃
です。

*3:上野始発・終着の臨時は,上野ー金沢のかがやきが1往復ほど,上野ー長野のあさまには複数あります。ピーク時の臨時に上野止まりや始発がある理由は,東京駅のJR東日本の新幹線ホームが2面4線だけで,それを共用する東北・上越・北陸の列車で埋まるからです。
 なお,新幹線の上野駅には,車内販売のベースがないため,上野始発・終着列車では,かがやき号でも,車内販売やグランクラスの飲食サービスがないことにご注意を。

*4:近江町市場では,観光客向けの飲食店も増えて,それらは街中の店のような営業時間です。
 しかし,店頭に並ぶ魚介類など,市場ならではの光景を見るなら,老舗の水産会社です。とくに,11月上旬から3月下旬までは,ずわいがにが金沢港など県内各漁港に水揚げされ,(ボイル前の)活きたかにが並びます。
 そういった水産会社ほど,顧客は一般人より,食材を買付けに来る飲食店が多くなります。それで,朝早くから営業して,午後4時ごろから店仕舞いに入ります。

*5:自由席のない新幹線は,東京―金沢のかがやきのほか,東京―仙台―新青森—新函館北斗のはやぶさ・はやて,東京―秋田のこまちです。
 その理由は,少ない本数に対して,途中の停車駅までの需要も多いことから,乗車区間により指定席数を分けて管理するためです。そうしないと,新函館北斗や秋田まで足を伸ばす,希少なはやぶさ・こまちの席などが,需要が突出する仙台までの乗客で埋まってしまいます。それで,長く乗る客の席は,ある程度よけておく必要があります。
 これは,かなり先の混雑日のはやぶさ号で,出張客も多い時間帯に,東京-仙台は満席なのに,東京-新青森・新函館北斗なら空席があるという現象で確認できます。かがやき号でも,かなり先の混雑時では,東京ー長野は満席で,東京ー金沢なら空席という場合があります。
 もちろん,長距離客用に「よけてある」席も,乗車日が近づくと短距離の乗客にも開放されます。長距離の客が見込めなくなった時点で,発車までには,短距離の乗客でも売り切ってしまうのが得策だからです。
 この記事で扱うのは,乗車日が近づいて,そうした調整が終わっても,満席のままの場合です。

*6:長野—金沢でも空席がなくなり,当日に臨時列車が増発されたのが,17年ぶりの大雪の後,3連休の帰り客が集中した2018年2月12日でした。
 大雪のため,金沢から京都・大阪・名古屋方面の特急は全面運休。それでも通常運転をしていた北陸新幹線に,金沢→東京→名古屋・京都・大阪と迂回して帰る乗客があふれたからです。
 このとき,ダイヤ通りの列車では席が不足するため,臨時のはくたか金沢発長野行が設定されました。金沢駅近くの白山総合車両所に使える編成があれば,長野まではJR西日本の乗務員だけで往復(帰りは回送)できることと,長野—東京は,本文のように区間運転のあさまの座席に余裕があるからです。また,長野からは,中央線の特急しなので多治見・名古屋へも進めます。
 長野—金沢も満席となるのは,そうした異常時くらいです。現在でも,大阪方面のサンダーバードや名古屋方面のしらさぎが長時間運休すると,東京へ迂回する客で,北陸新幹線の指定席は急速に埋まります。そういうとき,東京への新幹線は通常運転だから,乗る直前に買おうと思っていると,2時間ほど先まで,満席続きの事態になります。

*7:特急券は,列車ごとに1枚で,その乗車区間で料金が決まるのが基本です。
 しかし,新幹線では,速いタイプと各駅停車タイプが混在するダイヤです。そこで,速い列車が停まらない駅の乗降客を救済するために,各駅停車型の列車と乗り継ぐときの特急料金を通算できるようにしています。
 その目的からして,通し計算できるのは,同じ方向へ進む場合に限られます。たとえば,大宮駅で仙台方向から高崎方向へ乗り継ぐ場合は,戻る方向となるため,通算できません。
 ただし,少し高い特急料金が設定されている「のぞみ・みずほ・はやぶさ・こまち」では,他の新幹線と乗り継ぐときでも,割増しのある計算方法が決められています。それでも,乗り継ぐ列車の特急券を別々に買うよりは,かなり安くなる設定です。
 在来線でも,乗客に対して直通列車が不足したり削減された区間で,乗り継ぎ列車でそれを補完させる場合に,特急料金の通し計算が認められているところがあります。
 金沢周辺では,大阪・名古屋方面ー金沢の特急(サンダーバード・しらさぎなど)と金沢ー和倉温泉方面の特急(能登かがり火など)を金沢駅で乗り継ぐときです。また,対象となる乗客が多いのは,JR四国の瀬戸大橋近くの分岐に関連するものです。

*8:大型連休などに設定される混雑期では,特急料金が200円増しで,差額は2580円です。また,閑散期では200円引きで,差額は2180円です。

*9:えきねっとはJR東日本の予約サイトですが,北陸新幹線の停車駅すべてと北陸エリアの拠点駅では,JR西日本区間でも発券ができます。その場合には,JR東海など他社線区間を含むきっぷは,受け取れません。

*10:えきねっと特典の適用は,JR東日本・JR北海道と北陸新幹線全線の範囲に収まるきっぷに限られます。北陸新幹線関連でえきねっと特典がなくなるのは,金沢から先のJR西日本の在来線(たとえば,加賀温泉・福井や和倉温泉方面)への乗り継ぎまで買った場合などです。

*11:e5489はJR西日本の予約サイトですが,JR東日本管内でも,北陸新幹線の停車駅すべてと東京都区内駅なら発券ができます。その場合は,クレジットカード払いに限られ,JR東海など他社線区間を含まないという条件がつきます。

*12:e5489で,直前まで安い払戻し手数料が適用されるのは,JR西日本・JR東日本・JR四国・JR九州に収まるきっぷです。
 窓口と同じ手数料になってしまい,直前では高くつくのは,JR東海区間にかかるものです。たとえば,東海道新幹線,しらさぎの米原ー名古屋,ひだの猪谷ー高山ー名古屋・米原,しなのの塩尻ー名古屋などが該当します。

*13:新幹線の始発・東京駅まで,在来線を折返すように乗車することを認める特例は,JR東日本の旅客営業取扱基準規程第150条第1項にあります。「特定都区市内発着又は東京山手線内発着となる普通乗車券を所持する旅客が列車に乗り継ぐため,同区間内の一部が復乗となる場合は,別に旅客運賃を収受しないで,当該区間について乗車の取扱いをすることができる。」
 この特例では,追加料金なく折返し乗車できる対象を,東京都区内発や東京山手線内発という中長距離の乗車券に限っています。それで,東京都区内→金沢の乗車券では,たとえば赤羽からでも,赤羽→京浜東北線→東京→新幹線→金沢と乗ることができます。この場合,新幹線が並行在来線と同一視される赤羽ー東京が,折返しての往復乗車となりますが,乗車券については,追加料金が要りません。もちろん,特急券は東京から必要で,それは,東京駅の新幹線乗り換え改札で判定されます。
 それ以外の乗車券や定期券,SuicaなどのICカードでは,往復乗車となる区間の運賃が必要です。それが原則のため,始発駅近くの駅では,(定期券などで)席に座るために,始発駅に戻って乗るなら,往復分の運賃が必要といった注意があります。

*14:軽井沢駅の乗降客は,繁閑の変動が大きく,現状で折り返しの清掃ができる設備と人員がありません。そのため,軽井沢で乗客の多くが乗降するときでも,長野ー軽井沢に空席が残る覚悟で,長野折り返しとしています。なお,平日朝に1本だけある軽井沢始発の長野行も,清掃済みの編成を,長野新幹線車両センターから長い回送で送り込んでいます。

*15:座席効率を極限まで高めるなら,たとえば東京→長野の指定席を求める乗客に,長野→金沢だけの乗客の席がある限り,先にそこから割り当てていく手法がありえます。
 しかし,東京→長野の席を求める乗客がシートマップを見た場合,長野→金沢区間乗車の客の席がある限り,まずそこだけを空席として提示するのでは,選択肢があまりに狭いと不満をもつでしょう。そのため,一部区間利用者にも,全区間空いている席を表示することになり,完全に詰めさせることはできません。