北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

北陸新幹線に無料Wi-Fi付き車両が登場:つながる区間は携帯と同じで,再起動待ちとなる所にも注意

北陸新幹線では,無料のWi-Fiサービスが使えるよう,1編成ずつ工事中です。プレスリリースのように,車内でメールアドレスを登録すれば,誰でも使えます。

ただし,車外の携帯の回線を車内でWi-Fiルーターに接続しているため,利用できるのは,携帯がつながる区間と同じです。それは,東京ー長野ー飯山と糸魚川ー富山ー金沢です。この区間内でも,再起動待ちとなる地点があります。

Wi-Fi付きの見分け方:車内ドア横にステッカー

1編成目の登場は2018年7月8日で,2019年4月現在では,約8割の編成で使えます。全編成の完備は2019年9月の予定です*1

Wi-Fiが使える車両には,車内からデッキに出るドアの横に,写真のようなステッカーがあります。車外やデッキからは,わかりません

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上の写真は,JR東日本のE7系で,JR EAST FREE Wi-Fiのステッカーがあります。

JR東日本と西日本で別のWi-Fiが付く

北陸新幹線には,JR西日本のW7系もあって,それにはJR西日本のWi-Fiがついています。ステッカーは,写真のように,JR WEST FREE Wi-Fiです。

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接続はブラウザで,駅と同じ画面から

このWi-Fiサービスでは,指定のSSID(JR-EAST_FREE_Wi-FiかJR-WEST_FREE_Wi-Fi)に接続してブラウザを開くと,以下の画面に移ります。画面の例は,JR東日本の車両です。この後,メールアドレスを登録すると,ネット接続ができます。

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この仕組みは,JR東日本の主要駅(東京・新宿など)の無料Wi-Fiと同じ。JR西日本の車両では,JR西日本の主要駅(大阪・金沢など)と同じです。

つながるのは車両の所属会社で,境界超えも引き続き使える

つながるのは車両の所属会社(JR東日本か西日本)で,場所ではありません。たとえば,JR東日本の車両E7系では,金沢などJR西日本区間でも,JR-EAST_FREE_Wi-Fiに接続します。

乗車後に接続して初回登録をすれば,(3時間以内なら)降りる駅まで操作は不要。

ただし,トンネル内に携帯の基地局がない区間では,Wi-Fiの電波も停まります。トンネルを出ると復活します。また,客席の電源が瞬断する地点では,ルーターも再起動待ちとなります。

アプリJapan Connected-free Wi-Fiからも

スマホでは,全国の交通機関や公共施設などの無料Wi-Fi接続をまとめたアプリ,Japan Connected-free Wi-Fiがあります。そこからの接続も可能で,どの接続先にも使えて便利です。

このアプリでは,金沢駅のバス乗り場や21世紀美術館,ひがし・にし茶屋街,長町武家屋敷周辺で使えるKanazawa_Free_Wi-Fi(運営:金沢市)にも接続できます。

Wi-Fi付きに当たる確率は約8割に向上

北陸新幹線の車両は,JR東日本の長野に19編成,JR西日本の白山に11編成の計30編成です。Wi-Fiが使えるのは,2019年4月時点で,24編成まで増えました。それに当たる確率は,単純計算で8割ほどに向上しました。

どの列車がWi-Fi付きか,事前にわからない

ただし,Wi-Fi付きがどの列車になるかは,事前にはわかりません。各編成とも,毎日複数の列車をこなして,何日もかけて所属に戻る運用だからです。さらに,臨時列車や各種検査などで,運用変更があります。

東海道新幹線では,前日にTwitterでお知らせ!?

乗る新幹線が無料Wi-Fi付きか,乗るまでわからない問題は,乗客が最多の東海道新幹線でも,悩みの種です。

東海道では,無料Wi-Fi付きとなる列車が,その前日夕方ごろに,なんとTwitterの専用アカウントで流されます。

Twitterとは,ゆるい告知方法ですが,2020年3月には東海道の全列車にこのWi-Fiが完備される計画で,それ以降不要になる案内に,新たなシステムは作れないのでしょう。

無料Wi-Fiは,東海道ではまだ4割ほど

東海道では,無料Wi-Fiがある列車は,まだ4割ほど(2019年4月現在)。無料Wi-Fiの遭遇確率は,先行する東北や北陸よりも,東海道の方が低く,あまり話題になっていません。

ただし,東海道では,事前の契約による有料のWi-Fiが全編成に完備しています。この有料Wi-Fiでは,docomo Wi-Fi,BBモバイルポイント,UQ mobileなどのアカウントが必要です。

もっとも,東海道では全線で携帯が通じるため,それほど速くないのに有料のWi-Fiの方は,あまり使われていません。

このWi-Fiがつながる区間:携帯電話と同じ

北陸新幹線の無料Wi-Fiは,車外の通信に携帯電話の電波を利用しています。連続してつながるのは,結局携帯と同じで,以下の通りです。

北陸新幹線で携帯電話・スマホで通信できる区間(2019年3月31日から)

トンネル内の基地局工事は,東京・金沢の両側から進んでいます。2019年3月31日には,上田ー長野ー飯山のトンネル内まで連続通信が可能になりました。残るは,上越妙高駅を挟む区間のトンネルのみです。

東京-金沢の乗車時間では,速いかがやき号約2時間30分のうち,約92%の時間で通信が可能です。このほか,地上を走る区間は,開業当初からすべて携帯が通じます。

トンネル内に基地局がないとWi-Fiは…

では,このWi-Fi,携帯の基地局のないトンネルに突入すると,どうなるのでしょうか。

一例として,トンネルが断続する糸魚川-黒部宇奈月温泉で,このWi-Fiの挙動を見てみます。(なお,この区間は,2019年2月22日にトンネル内の基地局工事が完成し,現在は連続通信可能です。)

以下は,その信号強度が見えるアプリ,Wi-Fi Analyzerで,トンネル突入時の信号強度の推移を示したもの。横軸は時間,縦軸はWi-Fiの信号強度です。

北陸新幹線の無料Wi-Fiは携帯の通じないトンネルでは切れる

この席では,もともと4つのSSIDが見えていましたが,トンネル突入後,時間差をおいて,Wi-Fiの電波も停まります。上流の回線がつかめなくなると,Wi-Fiも停波する設定のようです。

停波に数秒ある時間差は,4G回線をとらえるアンテナの位置の違いによるものでしょう。トンネルを抜けると,時間差を付けて復活します。

いきなり消えるWi-Fi…

そういうわけで,基地局工事が未完成のトンネルに入ると,このWi-Fiは予告なく落ちます。2019年3月末以降は,飯山-上越妙高ー糸魚川のトンネルです。その区間では,トンネルを出るまで途切れても構わない使い方に限られます。

携帯はつながるが,Wi-Fiは切れる場所も

また,携帯なら連続して通信できるのに,このWi-Fiでは接続が切れる場面もあります。Wi-Fiだけ切れてしまう場所は,各席1個付いている電源が,瞬間的に落ちるところと同じです。

それは,客席に1個ずつある電源が瞬断するところ

それは,車両への送電系統が切替わる区間があるところ(変電所や電区分所など)です*2。そこでは,携帯やPCなどを充電していると,充電中のサインが一瞬消えることでわかります。

車内に設置されたWi-Fiルーターも,これと同じ電源のために,いったん停止し,再起動に時間がかかります。なお,車内の照明等は,消えない対策がされています。

とはいえ,変電所や饋電区分所を避けてWi-Fiを使うのは無理でしょう。このWi-Fiは,通信可能な区間でも,ルーターに再起動がかかってもよい使い方が安全です。

パケット代節約やテザリングを使わないなら

結局,このWi-Fiが使える区間は携帯と同じで,さらに客席の電源が落ちるところで,再起動待ちとなります。

それなら,誰得?とも思えるところ。もともと,このWi-Fiサービスのターゲットは,日本の携帯をもっていない訪日外国人向けとなっています。

しかし,日本の携帯がある乗客も,使える区間を知っていれば,パケット代節約というメリットは活かせます。

また,ふだんはWi-Fi接続で使っているPCやタブレットで,携帯のテザリングが有料の場合には,移動中のわずかな通信のために,テザリング・オプションに課金したくないこともあるでしょう。そんな場合に,この無料Wi-Fiが役立ちます。

4Gより遅いWi-Fi:車外の4Gを車内で分け合う

では,速さはどうでしょうか。ふつうのWi-Fiなら,4G回線より速いことが期待されます。しかし,このWi-Fiの上流の回線は,まさに携帯の4Gです。それを車内で分け合うので,通信速度は遅くなります。

たとえば,見通しのよい平野を高速走行中,スマホのRBB SPEED TESTで通信速度を測定すると,以下の通りです。左がWi-Fi,右がLTE(4G)です。

北陸新幹線車内での無料Wi-Fiの速度 北陸新幹線車内でのLTE(4G)回線の速度

高速走行中は基地局との位置関係がめまぐるしく変わるため,通信速度も大きく変動を続けます。上の結果は,比較的条件のよい区間の一例に過ぎませんが,全区間でも,このWi-FiがLTEの4Gよりも遅くなる傾向がありました。

なお,車内のスマホよりも有利な車外に,4G回線をとらえるアンテナがあれば,それを分けたとしても,Wi-Fiの通信速度は向上しそうです。しかし,このWi-Fiのある編成の車外に,特別なアンテナは見当たりません。

それで,通信の速度を求めるなら,このWi-Fiよりも,スマホなどで4G回線をそのまま受けるのが得策。SIMのないPCやタブレットでも,スマホのテザリングの方が確実です。プレスリリースが訪日外国人向けなのも,その誘導といえます。

E7系次の新車は神戸で製造中で,新潟へ

北陸新幹線を走るE7系とW7系では,このWi-Fi対応のための改造が進みますが,E7系には現在も新造車があります。それは,上越新幹線E4系の置き換え用となるE7系F20編成で,川崎重工業兵庫工場(神戸市)で落成間近です。所属は,新潟新幹線車両センターとなります。

川重でのF20編成の現状が伝えられる限り,上越専用のカラーリングではなく,現在のE7系と同じ外観。編成番号も長野所属のF1~F19に続く,F20が設定されています。そこで,一部でも,長野・北陸方面への運用(間合い運用)が予想されます。運用が区別されるほどの仕様の差があるときは,異なる編成記号(F以外)が付けられるのがふつうなのです*3

上越↔北陸の運用ができれば増発の余地も

現在は上越専用のE4系ですが,それが北陸にも入れるE7系に置き換えられると,その運用上の制約から,東京駅から回送で引き上げている部分に,増発の余地が生まれます。東京駅へ回送で送り込んでいる部分も,同様です。

現在の東北・上越・北陸新幹線のボトルネックは,東京駅での折り返しです。2面4線のホームは,あわせて4分間隔,12分で折り返す車両で,ほとんど埋まっています。臨時列車に,上野止まりや上野始発があるのは,これが理由です。

折り返しの回送を長野方面の営業列車に替えられる

たとえば,朝の高崎から東京への通勤輸送をこなしたE4系2階建て16両編成は,すべて新潟へ折り返すと,朝の下りでは過剰な輸送力となるため,一部は回送で引き上げています。かといって,60Hz区間の走行や急勾配での性能の制約で,長野方向への折り返しはできません*4

E7系に置き換わり,折り返しが新潟方向だけという制約が外れれば,朝早くから下りの行楽需要が旺盛な軽井沢・長野方面へ折り返すことができます*5

また,夕方には,東京からおもに高崎までの通勤輸送をこなす必要がありますが,その車両の東京駅への送り込みを,すべて新潟方面からの営業列車とすれば,今度は上りで過剰な輸送力となります。それでやむなく,回送での送り込みが一部にあります*6。この回送での送り込みが,その時間に行楽帰り客の多い長野・軽井沢からのあさまなどに替えられれば,東京駅着の枠が1つ増えます。

以上のような回送部分を営業列車とする増発は,長野・北陸方面へも乗り入れられるE7系への統一でできること。それにつれて,両新幹線ともに,Wi-Fi利用機会が拡大していくでしょう。 

東海道よりも東北・北陸が先行する無料Wi-Fi

無料Wi-Fiサービスは,ほかの新幹線でも設置が進行中です。ただし,その進捗は,東海道が先行するのが当然だった,これまでのサービスとは異なる展開です。

1編成目の投入は,東北新幹線(北海道へ乗入れ可)が2018年5月24日,北陸新幹線が7月8日で,東海道・山陽が7月25日でした。九州では2018年秋,上越では,現在神戸で製造中のE7系F20編成が初となります。

また,全編成への完備は,東北と北陸のJR東日本所属分は2019年5月,北陸のJR西日本所属分は2019年9月の計画ですが,東海道・山陽・九州では2020年3月です。

需要が突出する東海道でのサービスが,他の新幹線より遅れるのは珍しいことです。その理由は,国内のビジネス客とインバウンド客の構成の違いや,外国人観光客の多くが使うJR線乗り放題のJapan Rail Passへの対応の違いとされ,詳しく報じられています*7

*1:北陸新幹線には,ほぼ同じ仕様のJR東日本とJR西日本の車両があって,Wi-Fi対応工事は両社で進められます。JR東日本の車両E7系には2019年5月に完備,JR西日本の車両W7系には2019年9月に完備の計画です。

*2:電車への送電系統の切り替えで,原始的な方法は,切替わる区間に,架線に送電のない「デッドセクション」を挟むことでした。日本の鉄道に存在するデッドセクションをまとめたサイト「日本のデッドセクション」によれば,新幹線では,送電のない区間を挟む古い方法ではなく,車両の通過時に,地上の設備の側で,きわめて短い時間で別系統の送電を切替えていく方法がとられています。
 北陸新幹線(東京ー金沢)では,電力会社の管轄と,送電される交流の周波数や位相の違いに応じて,こうした切替セクションが20か所存在します(東京ー高崎の他新幹線と重複区間を含む)。たとえば,50Hzの東京電力から60Hzの中部電力へは,軽井沢ー佐久平間にある新軽井沢饋電区分所で切り替わり,そこで客席の電源も一瞬落ちて,Wi-Fiは再起動待ちとなります。

*3:上越新幹線のE4系置き換えで新潟に配属されるE7系が,北陸新幹線での運用も予想される本質的な理由は,上越専用ならば不要である,60Hzでの受電や安中榛名-軽井沢に存在する急勾配区間での加減速性能が,あえて採用されているからです。これらは相当のコストアップ要因ですが,それでも装備する理由は,その性能が必要な路線での運用以外に,考えにくいといえます。

*4:厳密には,E4系のうち2編成だけは,60Hz受電が可能ですが,60Hz区間に入る軽井沢以西への営業運転の実績はありません。

*5:たとえば,東京駅8時20分着のMAXたにがわ474号(2階建て16両)は,8分前にも同系列のMAXときが新潟へ折り返していて,そのまま新潟方面へ折り返すと,下りでは輸送力の過剰となります。現在の編成では,新潟方面以外に行き場がなく,東京駅から回送で引き上げています。
 通常なら折り返しとなる12分後に需要があるところは,8時32分発のあさま653号長野行ですが,これは東京駅まで回送で送り込んでいます。この発着枠は,平日はたにがわ474号→回送で,土曜・休日は回送→あさま653号で,半分を回送として使われています。両者をE7系で運用できれば,無駄な回送を削り,毎日高崎→東京→長野と折り返すことができます。
 同様に,東京駅8時48分着MAXとき302号(2階建て16両)も,8分前に着いた同系列のMAXたにがわが,MAXときとして新潟へ折り返すため,新潟方面では輸送力が過剰で,回送で引き上げています。東京駅9時発は出張客や行楽客の出発が重なる貴重な出発枠ですが,これが回送でつぶされています。

*6:たとえば,東京駅18時4分着も設定できないのは,東京駅18時16分発のMAXたにがわ409号(2階建て8両)を回送で送り込んでいるためです。回送にせざるをえないのは,その4分前に同系列16両のMAXとき332号東京着があって,4分間隔で営業運転とすれば,新潟方面からの上りの輸送力が過剰になるからです。E7系に置き換えれば,長野方面からの上り営業列車で送り込むことができます。
 これに近い時間には,17時28分上野止まりで,東京駅が埋まっているので進めない,金沢発かがやき340号があります。東京駅に進めれば17時34分着なので,30分の調整をすれば,東京駅着の1本の増発が可能です。

*7:全国の新幹線で外国人観光客がもっとも多いのは,東海道の東京ー京都です。しかし,速くて,ビジネスなら当然ののぞみは,訪日外国人向けのJapan Rail Passの対象から外されています。
 そこで,東京から京都観光を考えるJapan Rail Passの利用者は,遅いひかりのほか,このパスだけで最速列車を乗り継げる北陸経由の周遊(東京←かがやき→金沢←サンダーバード→京都)も検討することになります。