北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

東京↔金沢の割引きっぷ:モバイルSuicaなら最安12030円,紙のきっぷ最安はe早特1で12130円

割引きっぷはJR東日本と西日本で別設定だが

北陸新幹線は,JR東日本とJR西日本にまたがる新幹線です。割引きっぷも,JR東日本のえきねっと会員用モバイルSuica会員用と,JR西日本のe5489会員用,そのクレジットカード・J-WESTカード会員用に分かれます。

相手先の新幹線駅でも受取れ,安い方を選べる

これら割引きっぷは,相手先会社も含めた北陸新幹線の駅の指定席券売機や窓口で受け取れます。東京では東京都区内駅,北陸では小松・加賀温泉・福井なども含みます。

そこで,安さで選ぶことができます。受取れない例外は,JR東海などJR他社にもかかるきっぷや,沿線外の私鉄・第三セクターなどを含むもので,詳細は後で。また,JR西日本ではできる,クレカ以外の支払分(コンビニ払など)も,自社限りです。

東京・金沢両駅で発券できる割引きっぷを比較

東京・金沢間片道で,両社の割引きっぷを比較すると,以下の表のとおり。この距離では往復割引はなく,往復では単に倍額です*1

東京・金沢の正規運賃・料金と割引きっぷ(通常期:円)
割引きっぷの種類 対象 合計 特急券 乗車券
通常の運賃・料金 みどりの窓口
指定席券売機など
14120 6780 7340
えきねっとトクだ値 JR東日本
えきねっと会員
12700 購入は当日午前1時40分まで
(メンテ時は前日23時40分まで)
席数限定・当日変更に注意点*2
モバイルSuica特急券 JR東日本
モバイルSuica会員
1席に1台必要
13380  
スーパー・モバイルSuica特急券 12030 購入は前日23時40分まで
席数限定・変更不可
eきっぷ JR西日本
J-WESTカード会員
13480 6140 7340
e早特1 12130 購入は前日23時30分まで
席数限定・変更不可
WEB早特1 JR西日本
e5489会員
12700 購入は前日23時30分まで
席数限定・当日変更に注意点*3

以上の他に,東京→金沢方向ではJR東日本の「びゅうツアー」があります。前日18時までにえきねっとで購入,乗車前に駅の券売機で受け取れて,割引きっぷと同じ利便性です。1泊付でツイン27600円~,シングル31000円~,2人揃えば日帰り23600円~と,片道の割引きっぷよりお得です。説明は別記事に。

最安はモバイルSuicaを使うスーパーモバトク

モバイルSuicaだけで乗れるモバトクは,紙の発券コストがない分,安く設定されています。中でも,前日までの購入で変更不可の,スーパーモバイルSuica特急券(スーパーモバトク)が最安。

1席に1つモバイルSuicaが必要:グループ利用に難

ただし,モバトク系は,席ごとにモバイルSuicaが1つ必要です。同行者の分も買って,事前に渡す使い方ができません。グループでの旅行なら,全員が各自のモバイルSuicaで,席を揃えてとる面倒があります*4

紙のきっぷはe早特1が最安:えきねっとより安い

紙のきっぷでは,JR西日本のe早特1が最安です。首都圏から乗る場合,JR東日本のえきねっとを利用しがちですが,それよりもJR西日本の割引きっぷが安くなります。しかも,東京駅などで受け取れます。多くのまとめサイトが見落としている点です。

その理由は,説明されていません。現在の料金体系から推測すると,長野―金沢の延伸時に,その区間で新規発売をしなかった回数券に相当する割引を,どこに設定したかの違いでしょう*5

転売できない強みをもつ,モバイルSuica特急券があるJR東日本は,代わりの割引を,そこに最大限設定できたところ。それがないJR西日本では,紙のきっぷに,(発券コスト分だけ上のせされた)同程度の割引を残した,ということでしょう。

東日本のえきねっとトクだ値と,西日本のWEB早特1が同額なのも,両社で割引に条件が付いていることを意味します。

J-WESTカードは,使えば年会費無料

ただし,e早特1を買うには,事前にJ-WESTカード会員になる必要があります。とはいえ,東海道・山陽新幹線のエクスプレス予約機能のないベーシックタイプなら,前年の利用があれば,年会費は無料です。利用は,JR以外の買物でも構いません。

東海道も乗るなら,JR東海と同じ年会費でエクスプレス予約機能付にできる

なお,北陸新幹線に加えて東海道新幹線も乗るのなら,この機会に東海道新幹線の割引のあるエクスプレス予約機能の付いたJ-WESTカードをつくるか,切り替えるのが,結局は得です。両新幹線に対する割引と年会費は,次の通り。

割引の有無と年会費の比較
  JR東海
エクスプレス予約
JR西日本J-WESTカード
エクスプレス
カード
プラスEX エクスプレス ベーシック
東海道・山陽新幹線 *6 ×
北陸新幹線 × ×
年会費(税込) 1080円 1080円 1080円 前年の利用で
無料を継続

東海道・山陽のエクスプレス予約で割引を受けられるJR東海とJR西日本のエクスプレスタイプは,年会費が同額。それでいて,JR西日本のものだけ,北陸新幹線の割引きっぷがあります。

後述のように,北陸新幹線といっても,東京―軽井沢・長野間でもJ-WESTカードの割引きっぷがあります。それで,利用はほとんど東海道,年1回は軽井沢や長野へ行く場合でも,JR東海のカードよりJR西日本のカードが有利です。

当日乗車前まで購入や変更できるのはモバトク,eきっぷの順

当日乗車前に購入できるものでも,最安はモバイルSuica特急券です。ただし,前述のように,席ごとにモバイルSuicaが1つ必要。

紙のきっぷで当日最安なのは,J-WESTカード会員のeきっぷです。JR東日本にはこのタイプの紙の割引きっぷがありません*7。えきねっとトクだ値は,上の表のように,原則として当日午前1時40分が購入期限で,当日の乗車前の購入ができません。

東京・長野間でも当日購入や変更ならJ-WESTカード会員にメリット

実は,北陸新幹線の東京—軽井沢・長野・上越妙高などJR東日本で完結する区間でも,JR西日本がeきっぷを発売しています。この区間でも,当日乗車前に買える,紙の割引きっぷはJR西日本のeきっぷだけ。そして,北陸新幹線の駅なら,東京・軽井沢・長野などでも,受取れます。

また,当日の変更でも,eきっぷに利点があります。えきねっとトクだ値は,当日乗車前でも変更できますが,当日の別の列車に変えると,通常料金の適用となって,当初の割引分が追加徴収されます*8。ところが,eきっぷは,当日の購入や別列車への変更でも,割引料金のままです。

結局,東京から軽井沢や長野往復でも,当日の購入や列車の変更が続くなら,JR西日本のカード会員になってeきっぷを買うのが得です。

東京・長野間で,速いはくたかに乗れる紙の割引きっぷは,JR西日本だけ

さらに,東京から軽井沢・佐久平・上田・長野駅までは,トクだ値の設定があさまだけ。一方,eきっぷは,速いはくたか・かがやきにも設定されています。この点でもeきっぷに利点があります。

以上は,北陸新幹線を運行する2社での割引運賃の違いを利用した裏技です。JR東日本区間での,JR西日本のeきっぷの意外な利用価値については,長くなるので別記事へ。

東京・金沢間の回数券は発売されない

ところで,新幹線に安く乗るなら,ネット割引以外で考えるのが,金券ショップなどでの回数券のバラ売りでしょう。しかし,今回の開業区間(長野・金沢間)にかかる範囲では,回数券が設定されません

そこで,金券ショップにも,東京↔富山・金沢などの回数券のバラ売りはありません。東京など大都市の金券ショップでは,東海道などビジネス需要の多い新幹線の回数券のバラ売りが売れ筋ですが,北陸の長野より先は,そもそも回数券がないのです。

北陸新幹線の回数券は,金沢開業前からある東京・長野間までのものが,継続発売されているだけです。

相手先会社でも受取れる提携に一部例外が

北陸新幹線の金沢開業以前は,JR東日本のえきねっと予約分,JR西日本のe5489分の受取りは,自社の駅だけでした。開業日からは,相手先会社でも,北陸新幹線停車駅と東京都区内駅など特定駅の指定席券売機や窓口で受け取り可能になっています。詳細は公式サイトへ:

受取れない例外1:JR東海など他社線が絡むきっぷ

ただし,この提携は,JR東日本と西日本の2社間でのものです。この提携で受け取れるのは,JR東海など別会社区間を含まないものという制約が残っています。

たとえば,JR東日本のえきねっとでJR東海の列車(東海道新幹線や特急しらさぎの米原・名古屋間を含むものなど)を予約すると,それをJR西日本の金沢駅や富山駅で発券することはできません*9。同様に,JR東海区間を含む特急券などをJR西日本のe5489で予約したものは,JR東日本の東京駅などでの発券が不可能です。JRが3社以上からむと,基本的にだめです。

以上とは別に,JR東海とJR西日本は,共同で東海道・山陽新幹線のエクスプレス予約を運営しています。東海道新幹線のきっぷでも,エクスプレス予約のものは,金沢駅で発券できます。これは3社目のJR東日本がからまないからです。

受取れない例外2:クレカ以外の決済手段

e5489では,2017年5月16日から,クレジットカード以外の支払が可能になりました。事前のコンビニ払いや銀行のATM払いなどです。しかし,e5489予約分をJR東日本エリアで発券できるのは,以前からあるクレカ払いのものだけです。

以下は,券売機の実際で,現在は,どのネット予約で購入したかの選択画面が挿入されています。

例:金沢駅のみどりの券売機(えきねっと予約分も多くが受取可)

金沢駅の指定席券売機(みどりの券売機)

JR各社のネット予約(e5489,えきねっとなど)を選択させる画面|金沢駅

えきねっと,エクスプレス予約の選択画面

東京駅の指定席券売機(e5489予約分も多くが受取可)

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株主優待や50歳以上の会員割引なども自社だけの発売

このほか,相手先JRの窓口や券売機等で発券できないきっぷは,各社独自のきっぷです。たとえば,各社ごとの株主優待,大人の休日倶楽部(JR東日本),おとなび(JR西日本)など。

株主優待では,JR東日本・西日本にまたがる北陸新幹線に適用する場合,境界駅の上越妙高で分割された乗車券・特急券が発券されます。詳細は,別記事へ。

金沢・福井→米原→新横浜・東京往復の割引きっぷは残る

新幹線金沢開業まではよく使われていた,東京から北陸往復の北陸回数券(1枚当たり10950円),北陸から東京往復の首都圏往復フリーきっぷ(往復22950円)などは,開業時点で販売を終了しています。(リンク先ページは,すでにJR東日本,西日本のサイトから消えています。)

北陸新幹線開業後も残るのは,金沢・小松・加賀温泉・芦原温泉・福井などから設定され,米原乗り換えの東海道新幹線で東京往復できる,東京往復割引きっぷです。たとえば,金沢発往復26000円,福井発往復25590円などが,このルートで引き続き利用できます。

とくに,福井・東京間では,片道をふつうに買うなら,金沢経由よりも米原経由の方が安く,速いまま残ります。そして,福井から東京往復では,(エクスプレス予約機能のあるJ-WESTカード会員で,両方の割引を駆使しない限り)上の東京往復割引きっぷが最安のままです*10

逆方向の割引きっぷは設定がない

ただし,東海道新幹線米原乗り換えルートの割引きっぷは,北陸→東京だけの発売で,東京周辺→北陸がありません。東京・新横浜発を設定できるのは,東海道新幹線を運行するJR東海です。

東海道新幹線は,京都・新大阪までのビジネスや観光需要が旺盛で,つねに高い乗車率です。その手前の米原で降りて北陸に向かう乗客を,自社線を大きく割引してまで増加させる誘因は乏しいでしょう。

そのかわり,東京→福井往復は東海道・北陸を一周すると安い

実は,東京から福井往復は,片道東海道,片道北陸と一周すると安くなります。その説明は長くなるので,別記事に。

50歳以上の会員限定割引きっぷも

以上のほか,50歳以上の会員限定の割引きっぷが,JR東日本,西日本それぞれにあります。JR東日本は大人の休日倶楽部,西日本はおとなびです。それには,最混雑期以外なら使える,北陸フリーきっぷ,首都圏往復フリーきっぷがあります。

東京から金沢往復,金沢から東京往復ともに,行き先のフリー区間を含んで,22000円と驚くような安さ。それについても,別記事に。

*1:往復割引の適用は600km超で,東京・金沢間は450.5kmです。
 往復でも倍額になるだけですが,乗車券と特急券が別の発券なら,乗車券を往復きっぷで買うと,ちょっとしたメリットがあります。
 東京都区内→金沢の片道乗車券は,有効期間4日間ですが,往復乗車券の有効期間はその倍の8日間。それが行き券・帰り券ともに適用されます。
 たとえば,片道乗車券で8月1日から4日まで有効なら,その往復乗車券では,行き券・帰り券とも,8月1日から8日まで有効になります。経路のどこかで途中下車を考えるときには,有効期間が延びる分,有利になります。
 なお,途中下車を考えるとき,有効期間を延ばすことのメリットは,別記事にも書いています。

*2:変更時に,変更先の列車のトクだ値が新規に発売されているもののみ,トクだ値の料金が継続適用されます。
 乗車当日に,列車を早いものや遅いものへ変更すると,そのトクだ値の発売は終わっているため,無割引の特急料金との差額が徴収されます。
 つまり,当日の変更は可能ですが,無割引になります。

*3:変更時に,変更先の列車のWEB早特1が新規に発売されているもののみ,WEB早特1の料金が継続適用されます。
 乗車当日に,列車を早いものや遅いものへ変更すると,そのWEB早特1の発売は終わっているため,無割引の特急料金(J-WESTカード会員は,少し有利なeきっぷ)との差額が徴収されます。
 つまり,当日の変更は可能ですが,ほぼ無割引になります。

*4:モバイルSuica特急券をグループで利用するなら,席の分だけ各自がスマホなどを用意して,各アプリで出てくる座席表から,隣り合わせの席を選ぶ面倒があります。その間に希望の席が埋まれば,やり直しで,混雑時は大変です。
 また,変更や払戻しも,そうなる人の端末で個別に行うことになります。とくに減員で,席の真ん中の人がキャンセルする場合,その席に他の客が入らないようにするには,他の席の変更も必要となります。

*5:紙の回数券は,金券ショップやアプリなどで転売されると,複数回利用で割引く狙いどおりになりません。その場合,通常運賃との差額分の多くは,金券ショップであれ,ネットアプリであれ,転売者の儲けとなります。そのマージンのコントロールを,鉄道会社ができなかったことは,営業戦略上の大きな課題でした。
 それで,北陸・北海道など,新幹線の新線区間では,開業時から紙の回数券をまったく発売しない傾向です。
 なお,航空券はすべて記名式で,さらにマイレージ会員などで,利用頻度も判別できます。利用回数に応じて,割引や特典を設定しても,その部分だけ転売されて別人に使われるという問題がおきません。

*6:プラスEXには,乗車区間に応じてグリーン車に乗れるポイントがたまる,グリーンプログラムがありません。

*7:JR東日本に,当日ネットで購入できる紙の割引きっぷがないのは,その区間では回数券が継続発売されていて,当日の座席指定や変更もできるからです。当日購入で,JR西日本のeきっぷと同程度の割引を受けたいなら,金券ショップなどで,回数券のバラ売りを買う手法があります。

*8:正確には,変更先の列車にえきねっとトクだ値の新規発売があるときに限って,トクだ値の割引料金が継続適用になります。それ以外は,無割引の特急料金との差額が徴収され,当日でも割引価格で買えるeきっぷよりも高くなります。

*9:自然な行程なのに,発券できない事例を一つ:
 東京からの金沢出張で,次の用務先の名古屋に寄ってから,東京へ帰るような行程をたまに聞きます。その際,JR東日本のえきねっとで,金沢→名古屋のしらさぎの特急券を予約することがありそうです。
 この金沢→名古屋の特急券を,変更の可能性を考えて,金沢駅からの乗車時に発券するつもりで,金沢まで来てしまうと,発券する方法がありません。JR東日本で予約したきっぷをJR西日本の駅で受け取るのに,JR東海運行区間を含むからです。
 スマホで払戻しをしても,前日と当日は手数料30%が差引かれます。払戻し操作が間に合わなければ,購入代金すべて流れます。もっとも,予約したえきねっとサポートセンターへ電話すると,誤解が初回などの事情によっては,払戻し手数料の減免などの便宜的措置もあるようです。
 当然ながら,金沢→名古屋の特急券をJR西日本のe5489で予約していれば,金沢駅で発券可能です。
 なお,金沢から先が,JR東海区間に入る名古屋でなく,JR西日本だけで行ける京都・大阪・山陽新幹線方面の特急券なら,えきねっと予約分も金沢駅で発券できます。このとき,JR東海区間を含まないためには,新幹線に京都ではなく新大阪で乗り換えることが必要です。京都・新大阪間は,在来線はJR西日本,新幹線はJR東海だからです。

*10:J-WESTカードでエクスプレス予約ができるものであれば,片道東海道,片道北陸新幹線と一周して,乗車券は一周の通し(福井→金沢→東京→米原→福井)とし,特急券をJR西日本区間はJ-WESTカードのeきっぷ,東海道新幹線はエクスプレス予約のe特急券で固めると,東京往復割引きっぷよりも,わずかに安くなります。