乗客数の動向はJR西日本の投資家向けページで月次で速報
「北陸新幹線,利用者数」といった検索ワードが続いています。まったり旅ブログを目指していたのですが,報道も平穏になり,他にこんなことをフォローしているブログもないようで,記録のために書いてみます。
北陸新幹線の利用状況の簡単な数字は,JR西日本の投資家への情報開示(IR)サイトから月次で公表されます。一方,JR東日本の月次の開示は,他路線とまとめた全体の数字なので,北陸部分だけの実績がわかりません。
JR西日本から4月3日に発表されたのが,3月の速報値でこちら。
月次ご利用状況・2015年3月期(JR西日本)
(なお2015年4月からは,次の決算期に入るため,URLの数字が変わって続くはずです)
内容を,以前のブログ記事に書いた開業直後の数字と並べてみます。
上越妙高・糸魚川間 上下線合計 |
3月14日(土) | 3月15日(日) | 3月16日(月) | 3月14日~31日 |
通過人数 |
35000
|
28000
|
21000
|
*
|
在来線前年比(倍) |
3.74
|
2.81
|
2.54
|
2.73
|
人数の数字が開示されておらず,昨年の在来線で対応する区間の特急の利用者人数との比のみ挙がっていて,それは2.73倍です。*の箇所の数字は開示されていませんが,推測はできそうです。
ポイントは,3月をならした2.73倍は,平日3月16日(月)の2.54倍より大きいこと。14,15日は初乗り目的の乗車とその帰りが集中するために,特に上振れしているので,今後の動向の目安にならず,平日16日の2.54倍が重要な指標と考えていました。
その3月後半をすべてならしても,いったんお客さんが去った16日よりは持ち直しているということは,まだ土日に当初の入り込みが続いていることになります。(そうでないと,平均して2.54よりも低い値になります。)
この指標,曜日ごとに前年対応日が勘案されているようで(同じ日付でも,日曜日を前年の平日と比較するのは無意味),通過人数は正確には逆算できません。ただ,上限と下限はわかるわけで,開業日以降の3月後半をならして,1日平均21000人~28000人の利用が続いていることになります。
これは,上に挙げた過去記事に書いたように,2013年の九州の熊本・鹿児島中央間の13900人,同年度の東北の盛岡・八戸間14919人は大きく超え,上越の越後湯沢・新潟間20763人をわずかに超える位置になります。この位置づけも,沿線人口と,起点となる大都市からの距離からみて,ごく自然とみます。
開業前のJR両社の需要予測は当たっている
この実績値は,特急料金の認可のために運輸審議会にJR両社が提出した需要予測1日23000人とほぼ同じです。過去のデータが揃っている現代の需要予測は,かなり当たりますね。
その根拠は,日経の記事にある特急料金認可のための運輸審議会に提出された資料,
http://www.mlit.go.jp/common/001062049.pdf
の18ページで確認できます。
これからどこまで積み上がるかは,他の地方の新幹線沿線と同様に,人口が増えるわけでもないので,資料の17ページにあるように,航空路線からのシフト次第です。
JR両社の予測では,羽田・富山便からは,航空対鉄道のシェアが9:1になるとみて,1568人/日のシフトと読んでいます。また,羽田・小松便からは同様に8:2になるとみて,2835人/日のシフトとの読み。航空便は意外にも小型機化されただけで,便数は維持していますが,さて乗客はどう推移するでしょうか。
写真がないと寂しいので,小松空港ランウェイ06に着陸する羽田小松便から写した,北陸新幹線白山車両基地です。この写真が撮れるのも,最長であと8年でしょうか。(逆方向からの着陸では見えません)