全国の家庭の所得と支出を調べているのが,総務省統計局の家計調査。地域の文化や嗜好の差がわかるデータです。たとえば,餃子では,1世帯当たりの年間支出額(購入額)で,浜松と宇都宮が首位を争います。
金沢は,和菓子で18年以上連続首位*1。アイスクリームも近年は全国上位で,2017年は首位でした*2。
ところが,アイスの年間支出は,12475円(2017年)から10250円(2018年)と,2225円の減少で,全国15位に後退。
こんな大幅減には,何か理由がありそうです。元データを調べると,理由が推理できたので,書いてみましょう。
このブログですから,北陸新幹線限定のアイスから。
このアイスは,金沢特産のさつまいも・五郎島金時フレーバーで,北陸新幹線の車内だけの販売です。いったん販売を終了していたのが,2019年2月ごろから復活しました。
新幹線の車内販売は2019年3月16日のダイヤ改正で縮小され,車内でアイスが買える新幹線は東海道・山陽・北陸(一部列車を除く)だけになりました*3。JR東日本の子会社NREが担当する車内販売では,アイスはこの春から北陸新幹線だけで,それもあっての復活です。
和菓子から甘いもの全般に好まれてきた金沢
過去記事のように,金沢は甘いものが広く好まれるところ。江戸時代に藩が茶道に注力したことに端を発する和菓子が,長年連続首位。その嗜好の延長で,ケーキ,アイスクリーム,チョコレートなども,入れ替わりつつ全国上位に登場します。
その元データはこちら。
自治体の報道発表や各種記事では,都市別のデータがある,2人以上世帯の1世帯当たり年間支出額が使われています*4。
地域差の検討は,3年以上の平均が勧められるが…
地域差を考えるときは,標本誤差や偶発的な変動が小さくなるように,少なくとも3年分の平均を使うことが勧められています。そのページはこちら。
家計調査 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2016年〜2018年平均)|総務省統計局
1年分のデータだけで,都市ごとの支出の特徴を比較すると,以下で謎を解くような,一時的な要因の影響を受けてしまうという教訓でもあります。
菓子類総額では全国1位をキープ
まず,菓子類の総額はどうでしょう。この調査の菓子類には,和菓子・洋菓子だけでなく,アイスやチョコレート,せんべいやスナック菓子も含まれます。
順位 | 都市 | 金額 (円) |
前年比 (円) |
前年 順位 |
---|---|---|---|---|
1 | 金沢 | 98944 | -5413 | 1 |
2 | さいたま | 98003 | +9660 | 18 |
3 | 奈良 | 93971 | +8749 | 23 |
4 | 岐阜 | 93250 | +8321 | 25 |
5 | 津 | 93212 | -948 | 7 |
全国平均 | 83916 | +829 |
菓子類総額の首位は,キープしていました。ただし,購入額は減っています。菓子の内訳の順位の動きで,目に付くのは,以下のところ。
- アイスクリーム:1位→15位
- チョコレート:1位→2位
- ケーキ:1位→3位
- キャンディ:28位→1位
中でも,アイスの減少が目立ちます。減少額でも,菓子の中でアイスが最大なのです。
和菓子(その他の和生菓子)も首位キープ
長年首位を続けている和菓子は,どうでしょうか。分類としては,ようかん・まんじゅうを除く和生菓子となっています。
順位 | 2017年 | 2018年 | ||
---|---|---|---|---|
都市 | 金額 | 都市 | 金額 | |
1 | 金沢 | 15769 | 金沢 | 14118 |
2 | 山形 | 12657 | 岐阜 | 13558 |
3 | 岐阜 | 12181 | 大津 | 12255 |
4 | 松江 | 12074 | 山形 | 11827 |
5 | 仙台 | 12032 | 津 | 11432 |
全国平均 | 9136 | 8518 |
ここも首位をキープで,全国平均の1.66倍。この支出額は,金沢市民のもので,旅行客の購入分は含まれていません。
金沢の和菓子の需要は,この金額×世帯数に,旅行客のおみやげ分が加わるため,市場規模はもっと大きいでしょう。
ただし,購入額は減少して,2位岐阜との差も縮まりました。岐阜は,織田信長築城の城下町で,鮎をかたどった菓子が銘品。近くの大垣には水饅頭,中津川と恵那には栗菓子の名店が競います。
また,大津の登場は,大都市のデパ地下の和菓子売場のトレンドを反映。東京でもよく見かける叶 匠壽庵,たねや(クラブハリエ)の本店と工場は,滋賀県です。江戸時代からの老舗では,国宝・彦根城のたもとに,いと重があります。
なお,大津駅は京都駅へ電車で9分。京都に通勤・通学して,買物をして帰る「滋賀府民」の行動も重要でしょう。家計調査では,その消費額は大津市に計上されます*5。
すしの支出,外食・弁当とも金沢が全国1位に
もう一つの首位,すしはどうでしょう。すしは,外食と弁当に区分されています。
順位 | すし(外食) | すし(弁当) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2017年 | 2018年 | 2017年 | 2018年 | |||||
都市 | 金額 | 都市 | 金額 | 都市 | 金額 | 都市 | 金額 | |
1 | 金沢 | 24222 | 金沢 | 21512 | 奈良 | 16364 | 金沢 | 16705 |
2 | 札幌 | 22444 | 奈良 | 21085 | 大阪 | 15812 | 奈良 | 16400 |
3 | 福井 | 22098 | 岐阜 | 20627 | 富山 | 15622 | 神戸 | 15993 |
4 | 川崎 | 20237 | 福井 | 20401 | 静岡 | 15423 | 大阪 | 15723 |
5 | 岐阜 | 19891 | 甲府 | 19596 | 金沢 | 15157 | 富山 | 15508 |
全国 平均 |
14677 | 15091 | 12909 | 12963 |
すし(外食)は,減少したものの,首位をキープ。すし(弁当)は増額で,1位に浮上しました。これなら,すしの街・金沢でよいでしょう。
なお,この額は,すしをまったく食べない世帯も含めた平均です。すし好きは,これよりも高額の支出をしていることになります。また,旅行者の支出は含まれていません。
地物のすしとしては,左が,ぶりを巻くような握り方で,柚子おろし載せ。右は,石川県産ずわいがに(加能がに)のかに味噌添えです。
すし(弁当)は富山と関西,とくに奈良に特徴
富山は,全国に知られる鱒寿司の名店が競います。また,関西は,もともと押し寿司文化圏。とくに奈良で進化した柿の葉寿司は,首都圏でも販売され,東京駅や東京のデパ地下などでも,よく買われています。
金沢のすし(弁当)といえば笹寿司
柿の葉寿司は,1枚の柿の葉で直方体のしゃりとネタを包んでいます。一方,金沢で売れている弁当のすしは笹寿司で,正方形の押し寿司を,笹2枚で十字に巻く形です。
和菓子とすしは首位キープだが,気になる減額
結局,金沢の食の特徴とよく伝えられる和菓子とすしは,2018年も全国首位を維持。ただし,すし(弁当)以外,いずれも減額。実は,外食の総額も減額でした。そして,菓子の中で減少幅が最大なのが,アイスでした。
しかし消費支出の総額は増加:買われたものは?
では消費支出の総額は,どうかというと…
都市 | 2017年 | 2018年 |
---|---|---|
金沢 | 4,025,355 | 4,070,101 |
全国平均 | 3,396,330 | 3,447,782 |
菓子やすしなど外食の支出が減る一方で,消費の総額は,全国平均と同様な伸びでした*6。それなら,支出が増えたものがあるはずです。
金沢で購入が倍増,全国首位になったもの…
2018年の金沢で,支出が前年比ほぼ倍増となったものがありました。
順位 | 自動車購入 (中古車も含む) |
自動車等関連用品 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
都市 | 金額 (円) |
前年比 (円) |
前年 順位 |
都市 | 金額 (円) |
前年比 (円) |
前年 順位 |
|
1 | 金沢 | 204518 | +102198 | 16 | 金沢 | 23733 | +11572 | 19 |
2 | 岐阜 | 174241 | +56822 | 11 | 高松 | 22056 | +2328 | 6 |
3 | 長野 | 173524 | +45417 | 9 | 静岡 | 21330 | +18087 | 48 |
4 | 前橋 | 170900 | +63915 | 13 | 相模原 | 20516 | +7646 | 15 |
5 | 福井 | 169505 | +142192 | 45 | 前橋 | 20241 | +11106 | 27 |
全国平均 | 77920 | +8544 | 11594 | +2069 |
なんと,両方とも,突然の全国首位です。
といっても,20万円で車は買えません。この額は,調査世帯のうち一部が,自動車を買って支出された額が,全体で平均化されたものです。つまり,購入しない多くの世帯の支出額ゼロを含んだ平均値なのです。
そこで,自動車関連の平均支出額が増えたということは,車を買った世帯が増えたと考えるのが自然でしょう。では,2018年の金沢で,車やカー用品の購入が,ほぼ倍増した原因は何でしょうか。金沢よりも福井が急増しているのが,ポイントです。
販売側の統計でも全国平均より車が売れた
この調査は世帯を抽出した標本調査で,6か月の調査後に,標本は別の世帯に交代します。2018年の調査で選ばれた世帯が,たまたま車好きだった,という可能性もあります。
しかし,販売サイドの統計でも,金沢のある石川県の新車販売台数は,全国を上回る伸びなのです。
ここで,2月だけ,全国の動きから大きく下ブレしているのがポイント。なお,上のグラフは新車だけで,中古車を含んでいません。これに,中古車の販売を足して,家計調査の数字である,前年比倍増ペースということです。
家計サイドも販売サイドも全国より高い伸びとなると,調査対象がたまたま車好きに当たったのではなく,地域全体の傾向といえます。
2018年の金沢で車が売れた理由:大雪特需?
2018年,金沢で自分の車を運転していた方は,この苦労が蘇るでしょう。
このニュースの後,最深積雪は87cmを記録。17年ぶりの大雪となりました。
大雪による損傷やトラブルが買い替えを早める
大雪の後,なぜ車の購入が増えるのでしょうか。
一つは,乗っている車の損傷でしょう。雪で見えない側溝などへの脱輪,縁石や分離帯,倒木などへの接触があります*7。このニュースでも,山側環状で横転している車や,繁華街の香林坊で,倒木に乗り上げた車が写ります。
雪で速度が出ていなければ,修理できる傷も多いでしょうが,車両保険の状況や車検のタイミングによっては,この際,買い替えとなります。
スタックなどを経験すると,次の冬までに乗り換えたい
また,雪にはまって動けなくなるスタックを経験した方も,多くなります。そういう苦労があると,次の冬か車検のタイミングまでに,4WDや,重い車などに買い替えたくなるかもしれません*8。
新車販売が全国よりも大きく伸びたのは11月で,これはタイヤのスタッドレスへの履き替えを考え出す時期です。昨冬の苦労を思い出し,ホイールとタイヤの現状も見て,車を買い替えるか決断する,最後のタイミングといえます。
金沢より福井の方が,積雪も自動車購入も大きく増加
自動車の支出は,金沢市がほぼ倍増,さらに福井市が約5倍増でした。2都市とも,車好きが偶然,この家計調査で抽出される確率は,きわめて小さいでしょう。
そして,2018年の最深積雪は,金沢市が87cm(前年比+72cm),福井市が147cm(+119cm)です。積雪の増加とその後の自動車購入の増加には,正の相関がありそうです。
大都市の車は高いが,車のない人も多い
それにしても,17年ぶりの大雪特需とはいえ,1世帯当たりの自動車購入で全国首位が金沢とは,驚きの結果です。東京など大都市の方が,もっと高い車が走っているのが明らかだからです。
しかし,走っている車ではなく,1年間に買われた車となると,中身はこうです。こちらも,頻度・平均価格とも,新車と中古車を合わせたものです。
都市 | 100世帯当たりの 年間購入頻度 |
平均価格 (円) |
---|---|---|
東京都区部 | 1 | 2,265,854 |
前橋 | 12 | 1,545,949 |
金沢 | 11 | 1,805,210 |
全国平均 | 5 | 1,547,325 |
比較のため,この調査で2018年に自動車の購入頻度が最も高かった都市,前橋を挙げています。首都圏でも自動車が頼りの地域で,スバルの創業からの基幹工場がある県です。
価格を見ると,たしかに,東京23区では地方より高い車が買われています。ところが,東京では,100世帯あたり年間1台しか車が売れません。全国平均では5台,前橋では12台,(大雪後の)金沢では11台売れるのです。
それで,1世帯当たりの購入額を,ゼロの世帯も含めて平均すれば,ほとんどの世帯が車を買い替えていく地方都市の方が,入れ替わりつつ,全国上位に現れます。
そこに,17年ぶりの大雪で,買い替えサイクルが早まった金沢市が,首位に浮上と推測できます。自動車には17年に1度の大雪特需があったといえます。
スタックなどのトラブルでカー用品も売れる
連動して,カー用品も,金沢が全国首位になりました。北陸では,例年冬になる前にタイヤをスタッドレスに履き替えていて,それだけなら増額になりません。
しかし,17年ぶりの大雪で,珍しくスタックなど各種トラブルを経験して,チェーンや各種ツールを購入した方もいるでしょう。車を買い替えた方は,それに合うカー用品も必要です。
想定外の出費で,ぜいたく品を切り詰め
結局,2018年の金沢では,その他整備等も合わせた自動車関連の費用が,1世帯平均で126,717円もの増額になっていました。それなら,所得の伸びや貯蓄の取崩しがない限り,他の支出が抑えられます。
抑えやすいのはぜいたく品で,それがお菓子や高めの外食,たとえばすし,というのは納得できます。
白く冷たいものが嫌いになった2018年冬
さらに,長時間の除雪や徒歩通勤で,身も心も冷え切った後,アイスを買うのは,心理的に厳しいもの。菓子類の中でも,最大の減少額がアイスなのは,大雪で迫られた節約と,冷えた身体とのダブルパンチといえそうです。
安くて甘いキャンディ:28位→1位
代わりに,キャンディが28位から1位へ急浮上したのも面白い現象。除雪や通勤・通学で時間をとられ,想定外の支出で懐も寒い。それでも,甘いものが食べたいとすれば,早い,安い,甘い,キャンディなのでしょう。
大雪の影響:コートと子供服も増額で全国首位
大雪で買われたものは,他にも読み取れます。実は,コートと子供服も全国首位になりました。
品目 | 2017年 | 2018年 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
100世帯 当たりの 購入頻度 |
平均 価格 (円) |
順位 | 100世帯 当たりの 購入頻度 |
平均 価格 (円) |
順位 | |
男子用コート | 11 | 13832 | 17 | 15 | 36105 | 1 |
婦人用コート | 25 | 15880 | 16 | 29 | 26184 | 1 |
子供服 | 229 | 1956 | 30 | 276 | 2585 | 1 |
理由は,寒さや雪だけでなく,融雪装置による水はねもありそう。
北陸の道路には,散水による融雪装置があります。少しの雪なら便利ですが,排水溝が積雪で塞がる大雪だと,車道に水が貯まります。そこを通る車の水はねで,服がやられるのです。
すると,裾のあるコート類と,慣れない子どもの服が,買い替えとなります。
購入価格が上がるのは,バーゲンを待てないから?
注目点は,買った人が増えただけでなく,1着の平均価格も上がっていることです。
コートなどは,流行を追わない限り,シーズン終わりのバーゲンで買うのがお得。しかし,大雪の最中に,コートがだめになれば,バーゲンを待たず,急いで買うしかありません。その結果,値引きの少ない,割高な価格での購入になります。
そして和服も全国首位:その内容は
なお,アパレルでは,ほかにも金沢が支出トップになったものがあって,それは和服です。効いているのは,この部分でした。
品目 \ 都市 |
婦人用着物 | 婦人用帯 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
100世帯 当たりの 購入頻度 |
平均 価格 (円) |
順位 | 100世帯 当たりの 購入頻度 |
平均 価格 (円) |
順位 | |
金沢 | 2 | 106744 | 8 | 6 | 120107 | 1 |
全国平均 | 2 | 29333 | 1 | 35607 |
借りることもできる和服は,買うなら奢侈品で,大雪との関係はわかりません。仕事で必要な人以外,和服を着るのは,年に数日でしょうから,こちらは雪とは無関係といえそうです。
和服の購入額で金沢が全国上位になる背景には,茶道をたしなむ人の割合が,石川県として全国トップであることが挙げられます*9。というのも,(会社の経費ではなく)家計の出費で和服を買うとなると,茶道などの関係者が,もっとも考えられる対象だからです*10。
また,金沢は,京友禅と同じ源流ながら,独特の特徴をもつ加賀友禅の産地です。これは,購入された着物や帯の価格が,全国平均より高いことに反映されているでしょう*11。
6%の世帯に平均12万円の帯が売れた
ただし,和服は自動車よりも,さらにレアな買物です。1年間に買うのは,婦人用の着物と帯で,全国平均では100世帯につき1~2回,金沢でも2~6回です。
金沢が和服トップになったのは,100世帯あたりで6回,平均12万円の帯が買われたのが効いています。どの都市でも,和服を購入する世帯はわずかなので,金額と順位の変動は激しく,今後の動向は読めません。
自動車やコート購入の急増が大雪の影響なら
結局,金沢の消費で2018年の特徴は,大雪の影響で,自動車の買い替えサイクルが早まり,それに関連する出費が増えたこと,シーズン途中でコートなどを買ったことです。そのしわ寄せが,菓子類や高めの外食などにあったと考えられます。
雪の少ない今年は,菓子や外食も平年並みに
2019年は,平年よりも少ない雪で,今のところ想定外の支出増はないようです。自動車とコートなども,2018年に買い替えを早めただけなら,2019年に続けて買う必要はありません。
その分は,お菓子と外食など,いつもの嗜好を反映した支出に戻ってくるのではないでしょうか。とくにアイスが敬遠された大雪も,雪の苦労がない今年は,「平年並み」の水準に戻ることでしょう。
*1:和菓子は,「その他の和生菓子」という品目分類で評価したものです。ようかんとまんじゅうは,別に項目があり,それを足しても同様の傾向です。それらを簡単に比較できるのは,2000年に調査世帯の区分が変わって以降です。
*2:この項目は,よくアイスクリームと略されますが,正確には,アイスクリーム・シャーベットという分類です。この分類には,金沢のお隣・野々市市などに名店があるジェラートも含みます。
*3:2019年3月16日のダイヤ改正から,北海道・九州新幹線では車内販売がすべて廃止されました。おもに長距離列車で車内販売を残す東北・上越新幹線でも,弁当やアイスなどは搭載されないことになりました。東海道・山陽では動きがありません。
結果として,車内でアイスが買えるのは,新幹線の東海道・山陽区間(こだまを除く)と北陸のかがやき・はくたか(始発や終着が上野か長野のものを除く)になります。
その後,2019年5月1日からは,かがやき・はくたかでも臨時列車では,車内販売が終了と伝えられています。
*4:このページにあるデータのうち,<品目分類>1世帯当たり年間の支出金額,購入数量及び平均価格のところで,都道府県庁所在市別をみると,各市の支出額などがわかります。そこでは,都道府県庁所在市(東京特別区を含む)のほか,府庁・県庁のない政令指定都市5市(川崎・相模原・浜松・堺・北九州)のデータが比較できます。多くの自治体発表やこの記事では,この52都市を順位づけしています。
*5:家計調査は,各市町村で抽出された世帯に家計簿を記入させ,そこに計上された購入額が,その居住地で集計されます。たとえば,大津市民が,仕事帰りや休日に京都で和菓子を買うと,家計調査では大津市の消費支出に計上されます。
では,和菓子店が圧倒的に集積している京都市が,なぜ和菓子の消費支出で上位に登場しないのかといえば,古都とはいえ大都市だからでしょう。
京都市と周辺には,世界的な企業(任天堂・村田製作所・京セラ・オムロンなど)の本社や大学などが集まり,京都以外の出身者や転勤者も多く住んでいます。その結果,市民の食の好みは多様化されてきます。この調査でも,大都市全般に,個別の品目の消費で首位となるものは,わずかです。
それでも京都市で,和菓子や日本料理などの名店が成長をつづけるのは,旅行客や,大津など近隣を含む市外からの客の需要が大きいからでしょう。
*6:ただし,勤労者世帯に限ると,収入が増えているのに,消費支出の総額は減少,貯蓄や借入金返済は増加という結果になります。こちらも,所得は増えているので,悪い内容ではないのですが,(消費ではなく)貯蓄と借入金返済に回している理由は,特定できませんでした。
*7:石川県警察が調べ,警察庁で集計される交通事故統計では,石川県の交通事故は減少トレンドが長く続いていて,2018年も前年比で減少しています。
しかし,警察庁と各都道府県警の交通事故統計は,人身事故だけの集計で,物損事故は含まれていません。この点は,記事を書くまで謎でしたが,交通事故統計の定義を読み返してみて,解決しました。
*8:自動車では,燃費向上のため,徹底した軽量化が進んでいます。しかし,軽量化の数少ないデメリットの1つが,雪でスタックしやすくなることです。
*9:茶道をたしなむ人の割合は,総務省統計局の社会生活基本調査で,都道府県ごとの,趣味・娯楽の種類別行動者率として調べられているものです。直近の2016年の調査では,過去1年で茶道の経験のある方が,年齢15歳以上で,石川県で3.2%, 全国で1.5%,女性に限ると,石川県5.0%,全国2.4%と,いずれも単独1位です。男性は,京都府と同率で1位です。
*10:和服を着る機会が多いのは,旅館や日本料理店の従業員,茶道・華道・邦楽・日本舞踊などの関係者,芸妓さんなどでしょう。
このうち,旅館や飲食店などで,会社の経費で和服を購入し,店員に「制服」として給与や貸与していれば,もともと家計の消費支出には入りません。
自営業の世帯で,(売るや貸すといった)営業用でなく,自家用として和服を買えば,家計の消費支出に入るのですが,実は,この家計調査の対象から,自営業の飲食店や旅館は,除外されています。理由は,食材や光熱費などについて,営業用の支出と自家用の支出が,完全には区別できないからです。そのため,和服を何着も揃えそうな日本料理店(自営)の女将さんは,この調査の対象にはなりません。
飲食店や旅館以外で,和服が必要な方というと,最も多いのは茶道などの先生(を含む世帯)で,こちらは会社での購入でない限り,家計調査の対象となります。
なお,もっとも高い着物を買う芸妓さんも,この統計の分類上は自営業世帯で,旅館でも飲食店でもないので,実は調査対象にはなりえます。しかし,人数はごくわずか(金沢市の人口の約0.01%)で,都市別に集計される2人以上の世帯でない場合も多いでしょう。そこで,芸妓さんが実際に標本として抽出されて,数字が跳ね上がる可能性はほぼゼロでしょう。
*11:西陣織や友禅染の並ぶ呉服店を考えると,全国平均の約3万円で,着物が買えることが不思議と思えます。そうなる理由は,家計調査の着物の分類には,簡単な浴衣なども含まれているからです。
たとえば,20万円の留袖1着と,1万円の浴衣1着が買われると,購入頻度は2,その平均価格は105,000円になります。これが,留袖0で浴衣1なら,平均価格は1万円,留袖1で浴衣0なら,平均価格は20万円です。価格に大きな開きのある品目では,その中で何が買われるかで,平均価格の変動も激しくなります。また,平均価格の品が売れているとは限らなくなります。