北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

金沢で着物の自撮りが映える,無料の庭付き和室2選:金沢城黒門前緑地と石川国際交流サロン

屋外の撮影なら茶屋街や武家屋敷の土塀が定番

金沢は,和の風景が撮れる街で,着物での街歩きも増えてきました。撮影スポットの定番は,屋外なら,ひがし茶屋街の街並み(左)や,長町武家屋敷の土塀(右)など。

金沢・ひがし茶屋街の街並み 金沢・長町武家屋敷の街並み

なお,兼六園は,砂利道を草履で歩く慣れが必要。隣に続く金沢城公園の方が,舗装路で楽です。

室内では,茶屋内部,料亭,旅館だが,有料

では,室内ならどこでしょう。インスタなどでよく見るのは,観覧できる茶屋か,料亭や旅館で,それらは有料です。たとえば,ひがし茶屋街の志摩(左)と懐華楼(右)。

金沢・ひがし茶屋街にある江戸時代建造の茶屋建築の一つで重要文化財・志摩 金沢・ひがし茶屋街にある江戸時代建造の茶屋建築の一つ・懐華楼

朱塗りの壁が,金沢のお茶屋さんに独特なもの。志摩の内部は,観光客が切れ目なく流れていることがあり,人物を撮りたければ懐華楼の方がおすすめです。

無料で見学と撮影ができる公営の庭付き和室

幸い,無料で見学できて,写真撮影が可能な和室が,市営と県営であります。ただし,お店ではなく,飲食などのサービスはありません。旧家や展示品の観賞のための施設で,建物や庭での写真撮影も自由です。個展などの場合の展示品は,主催者により撮影が制限されることもあります。

なお,休館日と貸切利用の場合は入れません。貸切は,お茶会や個展などの用途で予約すると,有料でできます。

1. 黒門前緑地(元検事正官舎・旧高峰家)

金沢城の近江町市場側の門である黒門下の緑地。そこに,明治時代に建てられた検事正官舎があって,後で旧高峰家邸宅を移築したものです。利用説明は,貸切の案内をしている,金沢市のページにあります。

旧高峰家|金沢市

見学や記念撮影だけなら,9時から17時まで,予約なく無料で入れます。休館日は年末年始と貸切利用日だけです。

アクセスは,金沢駅兼六園口バス乗り場から,周遊バス(左回りが早い)・兼六園シャトルのほか,3, 8, 9, 10番乗り場のすべてのバスで,武蔵ヶ辻下車,徒歩8分。近江町市場十間町じっけんまち口からは徒歩4分です。

観光用のマップによく出ている尾崎神社の横の道から,金沢城の黒門を目指して東に進むと,武家屋敷風の塀が現れます。

黒門前緑地・旧高峰家邸宅の塀(金沢市)

中の建物の由来などは,別記事へ。

結婚式の前撮りでも

アクセスのよい場所で,明治の和室と庭を背景にした写真が撮れるため,結婚式の前撮りにも使われています。

十畳の座敷は,炉畳のある茶室として使われていて,床の間をしつらえます。

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この構図,金沢市のプロモーションビデオ(2'31")でも,女子ひとり旅の一コマとして使われています。

そこから横に向くと,こんな感じで,庭を眺められます。

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庭に続く外の戸は,季節により開閉できます。天候によっては,庭までが一枚の絵のようです。続きの間もあって,斜めに撮ると,こんな感じ。

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そして,縁側が続いています。

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縁側にたたずんで,庭を背景にするような構図も撮れて,工夫のしどころです。

茶室として貸切利用すると,午前3時間で1080円など。それ以外の見学で,写真を撮るだけなら,無料です。管理人の方が常駐していて,見学に来ましたといえば大丈夫です。たまに,結婚式の前撮りの方がいますが,譲り合ってどうぞ。

2. 石川国際交流サロン

大正時代に建てられた,蔵付きの邸宅を,ギャラリーや茶会,各種集会用に改修したものです。公式ページに,利用案内があります。

石川国際交流サロン|石川県国際交流協会

開館時間は10時から18時。休館日は月曜と年末年始。貸切の部分以外は,予約なく無料で見学と撮影等ができます。

アクセスは,周遊バス・まちバスか金沢駅兼六園口3番乗り場のすべてのバスで,本多町下車,徒歩2分。まちバスは土曜休日のみ運行。実は,21世紀美術館の南側で,徒歩3分ほどです。目標としては,料亭・石亭の隣り。

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写真では切れている右側の料亭と,一続きのお屋敷かと思ってしまう家並み。前を通る地元の方でも,この中に無料で入れることを知らない人も多いです。

入って左手の広間には,内庭と床の間,掘りごたつ式の座卓を備えます。

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ギャラリーとして使われる期間も長く,こちらも管理される方が常駐。それで,生け花などのしつらえも整っています。

ふり返ると,反対側の広い庭に続く踏み石が,この広間から伸びています。

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和服がひときわ美しく見える,幽玄の景観。茶室に進むと,こちらにも床の間に掛け軸。時期により,簾戸のしつらえです。

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簾戸越しに,庭と灯籠が透けて見える奥ゆかしさが,この時期の茶室の風情。ぼかし方によって,面白い写真が撮れる空間で,マニュアルフォーカスや絞りを変えられるカメラが役立ちます。

その奥には,角二方が庭に面して,開放感のある八畳間。

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料亭か旅館の離れのように,庭までの眺めが完成されています。21美徒歩3分の好立地なので,旅館か料亭でも営業すれば,それなりの料金になりそうですが,こちらは県営で入館無料。実際,隣は料亭です。

床の間と庭を両脇にして座ると完璧な構図

この和室にも床の間があって,横がすぐに庭と,よくできています。庭と床の間を両脇に入れる,この角度が,和装にはベストな構図でしょう。

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真ん中に,こちら向きに正座すると,定番の絵。そのほかに,庭を振り向く角度で,横顔や後ろ姿,立ち姿などを工夫しても,面白そうです。

正面だけでなく横顔・後ろ姿も絵になる背景

せっかく着物を借りるなら,正面ばかりの構図では,もったいないもの。和服の横顔や後ろ姿では,背景も服と調和したものを入れてぼかすと,美しい絵になります。

たとえば,こちらの邸宅にも縁側があって,庭と合わせた構図も撮れます。

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雨戸にあたる部分も,大正ロマンを感じさせる格子入りのガラス戸。室内から庭を広く眺められるようにした,当時の贅沢です。立ち姿のほか,縁側に座って横からなど,工夫のしどころ。

その縁側からは,庭に出られ,建物の一角も入れた構図を試せます。

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ここでも振り返ると,最初に掘りごたつ式の座卓があった広間を,奥に見通せます。

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踏み石を和服で歩けば,そのまま着物の宣材写真となりそうな背景。庭と数寄屋造りが,和の装いを引き立てます。

ちなみに,貸切は,事前の予約により,8畳の和室1つで1時間200円,最初の掘りごたつのある広間で1時間510円と,細かく設定されています。写真のような景観の和室としては,貸切利用でもリーズナブルです。

観光向けの紹介の少ない穴場

以上2棟が,絵になる庭付きの和室に,無料で入れる公共施設。どちらも,そこに料理があれば,料亭や旅館の離れとして成立するレベルです。しかし,観光客よりも地元客に,茶会や個展などで利用されることが多いため,ガイドブックなどにはほとんど載っていません。

金沢を着物で街歩きするとき,和の室内や庭を背景にした写真を残すなら,無料で試せる穴場です。