北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

ずわいがに漁獲量ランキングトップ20:金沢港水揚げのある金沢は9位で,東京から最も速く着く街

金沢港など県内で水揚げされるずわいがに

今年もいよいよ,山陰から北陸のかに漁解禁の11月上旬が近づきました。2017年の解禁日は,11月6日。金沢港など近くで水揚げされたずわいがにが,スーパーにも並びます。日本でずわいがにと,それに似た紅ずわいがにが獲れるのは,おおむね日本海側と北海道に限られます。2017年度の漁期は,雌が12月29日,雄が翌年3月20日まで。

写真は,金沢駅前のホテルの日本料理店。石川県産のずわいがにを表す青のタグ付きで,水揚げが金沢港と記されたものです。

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ボイルする前の生のものを見せられてから料理されると,来たかいがあります*1。流通では,活きがにという扱い。

もちろん,料理店でこうしたプレゼンがあるのは,かにを丸ごと1杯さばくコースなどに限られます。実物を見るだけなら簡単で,金沢駅からバスで10分ほど,武蔵ヶ辻下車の近江町市場の中央に位置する,老舗の水産会社の店頭に並んでいます*2

かにの獲れる城下町・金沢

生のかにの甲羅や脚は,赤色ではなく,褐色です。産地から離れた売場で見かけるかにの甲羅や殻が赤いのは,ボイルによる発色で,その後の流通だから。ものによっては,長距離輸送のため冷凍し,解凍後に並べたものです*3

これは別日ですが,青タグを拡大すると,こういうもの。

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ホテルが集まる金沢駅は,水揚げのある金沢港まで車で15分ほど。お店によって仕入れは違いますが,卸売市場や水産会社も車で15分圏です。城下町の観光をイメージされる金沢は,冬には,かにの水揚げのある港町でもあります。

産地ではボイルか一部生が冷蔵で流通

生のかにがあって,はじめてできるのは,かにの刺身,かに刺し。もっとも,逆は真ならずで,生のかにを仕入れている料理店が,すべてかに刺しを出すわけではありません*4

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かに刺しの身は半透明で,氷水にさらすと,上のように花が咲いたような身の分かれ方をします。かに身が真っ白になるのも,ボイル後です。

産地へ行く価値:冷凍ものにない旨み

産地で食べるメリットは,冷凍ものでないこと。産地から遠い地域で,手頃な価格のかには,ほとんどがロシアやカナダ,アラスカで獲れた冷凍ものです。それとは違って,漁港から近い範囲では,ボイルしたものと,一部生のものが,冷蔵のまま流通します。

かに身は細胞膜が繊細で,冷凍と解凍による膨張・収縮で壊れ,旨み成分がドリップとなってしまいます*5。冷凍と冷蔵の旨みの差が,産地までかにを食べに行く価値です。

かにを食べに行く旅:Crab Tourism

関西では,冬になると,地物のかにを求めて旅する文化があります。かにツーリズム(Crab Tourism)と呼びたいところですが,カタカナでは,旅行会社の名前と同じになってしまい,使えません。

たとえば,JR西日本では,古くから,宿泊付きだけでなく,日帰りのツアーまで用意しています。

とくに,12月の週末と1月は連日,臨時特急「かにカニはまかぜ」を,大阪から三ノ宮・姫路経由で,兵庫県の日本海側の豊岡・城崎・香住・浜坂まで運行。後のデータのように,行先はずわいがにの日本最大の産地です。

このツアーでは,大阪・京都からサンダーバード金沢行で,芦原温泉・加賀温泉の旅館へも設定があります。

地物のかにが近い関西,遠い関東

こうした,かにツーリズム(crab tourism)は,関東ではあまり見当たりません。データを確認してわかるのは,地物のかには,関西では日帰りや1泊で楽に行けるところにあるのに,首都圏からは,はるかに遠いことです。

ずわいがにの漁獲量:市町村ランキング

ランキングは,かにの範囲によります。ずわいがにと,たらばがには,生物種では別物。たらばは脚が8本で,ヤドカリ上科に属するヤドカリの一種。脚が10本なのは,ずわいがにで,ケセンガニ科に属する狭義のかにです。

有名なかにには,松葉がにや越前がになどがありますが,それは,ずわいがにに産地が名付けるブランド。獲れた港が山陰なら松葉がに,福井県なら越前がに,石川県なら加能がにと呼ばれます。

また,ずわいがにの雌は,香箱がになど,別の名前になります。その話は過去記事へ。

では,ずわいがには,どこでよく獲れるのか。その漁獲量を市町村別に調べた統計が, 農林水産省にあります。海面漁業生産統計調査の市町村別データにある魚種別漁獲量では,直近の2015年分で, 以下の通り*6

ずわいがにの漁獲量ランキングとアクセス
順位 道府県 市町村 漁獲量
(トン)
大阪から
3時間圏
東京から
3時間圏
1 鳥取 岩美町 750  
2 兵庫 新温泉町 422  
3 北海道 紋別市 402    
4 兵庫 香美町 367  
5 福井 越前町 354  
6 兵庫 豊岡市 275  
7 北海道 森町 243  
8 鳥取 鳥取市 166
9 石川 金沢市 143 ○*
10 島根 隠岐の島町 106  
11 北海道 網走市 100  
12 新潟 佐渡市 98    
13 石川 輪島市 94  
14 北海道 八雲町 91    
15 福井 坂井市 86
16 石川 加賀市 76
17 新潟 村上市 63  
18 石川 珠洲市 60  
19 北海道 羅臼町 50    
20 京都 京丹後市 42  

アクセス欄で,○は鉄道,*は航空機で,中心駅などと空港間の所要時間に加え,セキュリティゲート15分前着を考慮しています。

この統計の漁獲量は,経営体のある市町村で集計されていて,大規模な水産会社で多数の漁船がある場合は,水揚げ港と離れる事例が出てきます。ただし,国内のずわいがに漁は,規模が小さい経営が多く,他地域にまで漁船をもつ例は限定的でしょう。

鳥取から兵庫・京都の日本海側まで切れ目なく

ずわいがにのトップ20地域には,山陰地方の鳥取から兵庫・京都の日本海側が並びます。西から鳥取,岩美,新温泉,香美,豊岡,京丹後の順に切れ目なく続き,そこが一大漁場。いずれも,京都・大阪・神戸から鉄道で3時間圏です。

北陸は福井・石川がランクイン

北陸では,福井の越前町が5位。そこから北上する方向で,大きな漁港のある,坂井(三国港),加賀(橋立港),金沢,輪島,珠洲(蛸島港など)がランクイン。ただし,山陰と違って,漁港のない市などに切れ目があります。

金沢は9位で,鳥取の次の位置。北陸では金沢まで,京阪神から鉄道で3時間圏です。

京阪神からは,鳥取から金沢まで3時間圏で競合

京阪神では,ずわいがにのトップ10のうち,鳥取から金沢まで7市町が,鉄道で3時間圏と,よりどりみどり。さらに,トップ20までで,10市町が入ります。

これだけあると,シーズンごとに観光スポット,料理店,温泉旅館などが選べ,うらやましい限りです。

東京から鉄道で最速なのは約2時間半の金沢

一方,東京を起点とすると,最も速く着けるのは,金沢の2時間28分。朝出れば昼に,昼過ぎに出ても夕食に,冒頭のかにが食べられます。そして,トップ10で鉄道3時間圏は金沢だけでした。

かにトップ20位中,新幹線の駅があるのは金沢だけ

よく見ると,以上のランキングの市や町で,新幹線の駅があるのは金沢だけ*7。飛行機なら,羽田から鳥取・小松・能登・函館・女満別空港へ飛んで,3時間で行ける街もありますが,便数は限られ,交通費も高くなります。

東京から北海道・山陰へは航空機が現実的

たとえば,漁獲量7位の森町は,北海道新幹線の終点・新函館北斗から,特急で28分で,東京から4時間40分台。現実的なのは,羽田・函館便で1時間20分,空港から車で約1時間です。空港アクセスとチェックインを考えると,3時間では辛く,函館市内で食べる場合で,3時間ぎりぎりです。

一方,日本最大のずわいがにの産地,山陰と近畿の日本海側へは,東京からだと鳥取空港の周辺しか3時間を切りません。関西からは,鉄道で3時間で行けるのにです。

こうしてみると,かにツーリズムが,関西では昔からあったのに,関東では普及していない理由がわかります。それは嗜好の差というよりは,地理的な条件です。

論より証拠:金沢のかに料理

データだけでは何なので,金沢のかに料理を,過去に食べたときの写真でご紹介。北陸から山陰では,雌のずわいがにも獲れているため,その内子,外子をうまくあわせた品もよく見ます。金沢では香箱がにと呼びますが,せいこがにやおやがにという呼び方の方が一般的です。

香箱がにの甲羅盛り,内子・外子添え

さまざまなお店で工夫されている香箱がにの盛り付け。内子と外子を甲羅に盛り込んで,針生姜を渡します。

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かには部位が多様で,盛り付けがいのある料理です。加えて,食べる場所が茶室などで,外がお庭だと,また趣があります。

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建物と庭,料理と器が響き合う,金沢らしさです。

かに身の銀餡をのせた茶碗蒸し

そして,かに身を散らして,銀餡を上のせした茶碗蒸し。

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かに身の雌雄競演をジュレがけで

かにの脚の身は,雄の方が大きく,雌の香箱がにと組み合わせた一品もよくあります。そのままなら,かに酢でというところですが,料理店では,ジュレがけで,生姜などの薬味,あしらいを添えます。もちろん,ジュレがお店の腕の見せ所です。

ずわいがにの雄と雌(香箱がに)のジュレがけ:金城樓(金沢市橋場町)

こちらでも,お庭を見通せるのが,かにの獲れる城下町ならでは。手前には,かに味噌です。

茶懐石の器・大樋焼にも

器に凝った例としては,茶懐石でよく使われる大樋焼の器に,かに味噌を添えた温かい仕上がりのものを。

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こちらの窯元は,この料亭のお隣で,歩ける範囲で街ができた城下町のなごりです。

炊き合わせの定番・具足煮

温かい料理で定番といえるのが,野菜や生麩と炊き合わせた具足煮。かには加熱してはじめて,鮮やかな赤色になります。

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金沢で,江戸時代から老舗が手がけている食材の一つは,麩。かにと食感が対照的なのは,もっちりした生麩です。そこに,はさみが美しく決まっていると,ほれぼれします。

麩で金沢独特のものは,凹凸に味を含みやすいすだれ麩で,それと合わせた品もよく見ます。治部煮やすき焼きでは,そちらが定番です。

炭火の焼きがにも街中で

そして,漁港近くではよくある直球勝負の料理,焼きがにです。金沢の街中でも,お店によっては,炭火のコンロなどで楽しめます。

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立ち上るかにの香りが,食欲をそそります。ところどころに焦げ目のある香ばしいかに身は,甲羅に盛ったかに味噌とあわせる趣向。繊細なかに身と,濃厚なかに味噌の割合の変化を,自由に楽しめます。

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かに身のにぎり鮨は味噌もあしらい進化

最近は全国でも,かに身のにぎり鮨を,よくみかけるようになりました。創作が得意な鮨店のある金沢では,こんな感じ。まずはかに身をほぐして,しゃりにかぶせ,かに味噌を添えます。

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内子・外子をしゃりと和え,かに身を握る

こちらは,雌の香箱がにの内子と外子を,しゃりにうまく和え,かに身を握りとしたもの。アクセントのごまとともに,旨みが口でほどけます。

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かに身とかに味噌をもっちりした蓮蒸しで

そして,金沢ならではの一品としては,蕪蒸しの蕪の代わりに,蓮根を使ったはす蒸し。蕪よりももっちりしていて,それがだし汁でふっくら蒸しあがります。

ふつうの蓮蒸しでは,中に鰻が入るところ,こちらはかに身の入ったもの。それも,かに味噌も合わせてで,独特のこくが出ます。

かに身とかに味噌の蓮蒸し(はすむし)

かに身とかに味噌を上のせしたご飯

最後に,かに身とかに味噌を薬味とともに上のせしたごはんと,止め椀。

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料理店では,副菜と合わせた炊き込みご飯などが期待できますが,丁寧に身とかに味噌をのせて,薬味をあしらった,シンプルなご飯にも,魅力があります。

一つの器に盛り込まれた海鮮丼に,あれだけ人気があるのですから,かに身と,かに味噌,ご飯に絞り込んだ,かにご飯ランチがあってもよいところ。じっさい,金沢から特急で30分ほどの加賀温泉では,地元の橋立漁港でかにの水揚げがあって,宿泊客に豪勢なかに料理のコースを揃えるほか,一膳だけのカニごはんも用意しています。

東京でなぜ,金沢のかにをあまり見ないのか

金沢では,毎年11月上旬から3月下旬の漁期の間,近海のずわいがにを使った上のような料理が食べられます。

ところが,トップ20の産地で東京から最も近い金沢のかにを,東京で見ることは,ほとんどありません。料理店も利用する水準の鮮魚店やデパ地下でもです。東京で,あえて金沢など石川県のかにが食べられるのは,石川県の水産会社と直に取引しているような,金沢に縁のある料理店などです。

東京で見かける冷蔵のずわいがにの産地は,量でまず北海道。高値でも料理店が買うブランドがにで,山陰から福井の松葉がにや越前がに,特別に高いところでは,海の京都・間人たいざのかにです。

東京へのかにの輸送コストでは,北海道や京都・兵庫の日本海側よりも,近い金沢の方が有利なのにです。

産地内の需要が多いと,産地外への供給は減る

その理由は,需給バランスを考えれば納得できます。金沢で水揚げされたかにが,金沢以外に供給されるのは,その漁獲量から金沢での需要量を引いたものです*8

かにの漁獲トップ20の市町で,域内の需要が最大の金沢

産地での需要は,その人口におおむね比例します。改めて,トップ20を眺めると,人口が突出して多いのが金沢(46万,都市圏として約74万)*9,次が鳥取(19万)です。飲食店数や宿泊者数でも,以上20の市町で金沢が最多で,かにのある冬でも1日約6000人の宿泊客がいます。

その時期の金沢の料理店は,地物のかにが売りで,コースだけでなく,かに身を使った手頃な一品も揃えます。たとえば,雌の香箱がにを使う,おでんの「かに面」などです。雄のかに1杯をすべて使えば,2,3人の食事でも高価ですが,一品の値段に応じたかに料理は上の写真のように作れます。それで,獲れたかにの多くは,地元客と観光客で食べ尽くされてしまいます。

域内需要の目安,人口は金沢46万,鳥取19万,坂井(福井)9万の順

ところが,トップ20の産地には,鳥取につづく人口規模の市というと,人口9万人台の坂井市(芦原温泉近く)まで該当がなく,そこに大きなギャップがあります。かにの漁獲量に比べて,地元の需要が小さくなるほど,大都市への出荷が増えていきます。

魚介類などの産地のイメージでは,東京など大都市の鮮魚店や料理店に揃う産地が,日本の産地の縮図のように思いがち。しかし,産地外の大都市で観察できるのは,産地の需要を引いた残りといえます。

金沢で食べ尽くされる,金沢のかに

かにの獲れる街で,かにが食べ尽くされる。地産地消としては理想的ですが,大都市圏で,金沢のずわいがにの知名度がそれほどなく,山陰や北海道の方が有名,という副作用もあります。

冬に金沢に行けば,地物のかにの存在がわかるのですが,それまでは,かにを食べる旅でも,金沢を思いつきにくい理由です。

加賀・能登からも金沢の市場と料理店へ

金沢港では,かにの水揚げが多いのに,地元の需要も多いので,金沢の料理店でかにを食べると,周辺の漁港のかにもよく使われます。たとえば,橋立,西海,輪島,蛸島などの漁港です。

いずれも,漁場の質や漁港からの輸送を考えると,金沢港水揚げよりおいしい場合もあって,これはもの次第。これらは,上のランキングに登場する加賀市,輪島市,珠洲市や,志賀町にある,定評のある漁場です。

*1:かにに詳しい方は,かには裏返して(仰向けに)置くのでは,とツッコミを入れるでしょう。甲羅の方が丈夫なため,仰向けの方が旨みが流出せず,長持ちするからです。店頭でも,長く並べるときは,見栄えよりも味を重視して,そう並べています。ボイルするときも,仰向けが基本です。
 この写真は,和服の仲居さんのプレゼンで,この後すぐさばくので,この向きでも支障はないのでしょう。

*2:近江町市場では中央の十字路に,大口大松だいまつ忠村ヤマカ各水産(あいうえお順)があって,そのあたりが,料亭や鮨店も含め,ミシュラン星付き店など上質な料理店にも納入している老舗です。以上は,近江町市場に一般人が買える小売部門をもっている会社で,この他に,卸専門の水産会社が,中央卸売市場などにあります。
 価格からして,こうした活きがには,ほとんどが飲食店向け。それで,近江町市場の水産会社の小売部門は,午後4時ごろから店仕舞いに入るのにご注意を。
 一杯を丸ごと盛り付ける必要がないのなら,漁の過程で「足折れ」したものが,安い価格で売られています。味に差はなく,それがお得。直近の市場価格は,流通経路の一つである,JFかなざわ総合市場でわかります。白紙の日は,悪天候も含め,漁がなかった日です。

*3:ただし,種類が少し違う紅ずわいがには,名前通り,生の状態でも,少し赤い色あい。サイズは小さいものの,味わいはまた別で,コスパなら紅ずわいの方が良好です。

*4:理由の一つは,かに刺しでは,加熱しない分,うまみの個体差がそのまま出てしまうため,すべての客をいつも満足させるのは難しい点にあります。また,かに刺しにある野趣味が,店のコースと合わない場合もあるでしょう。
 そういう事情で,かに刺しは出さない場合でも,ゆで方などに料理店独自の技術があれば,生で仕入れていることも多くあります。それで,かに刺しが無くても,生のかにを仕入れていないとは限りません。

*5:そのことを利用して,冷凍のかにをおいしく食べる裏技に,ドリップに,かに身を浸したり,かけたりする方法があります。このドリップは,薄いものの,だし汁のような効果があります。

*6:Excelファイルが,
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Xlsdl.do?sinfid=000031550119
にあります。なお,速報(第1報)は,都道府県ごとのデータだけで,市町村ごとの値は,2年後の確報ではじめて明らかになります。

*7:北陸新幹線は2022年度に金沢―敦賀が開業予定で,それ以降は加賀市(橋立港),坂井市(三国港)が東京から3時間圏に入ります。

*8:漁獲量が一定で,在庫や廃棄処分がない限り,次の関係が成立します。
ある地域の漁獲量=漁獲地域への供給量+漁獲地域外への供給量
漁獲地域への供給量=漁獲地域での需要量
したがって,
漁獲地域外への供給量=その地域の漁獲量ー漁獲地域での需要量
です。
 以上は,事後的に成立する関係で,現状で東京に金沢のかにがあまりないことの説明にはなります。
 ただし,各項の変動を考えるなら,それぞれを価格の関数として扱う分析が必要です。たとえば,ある産地のかにの需要は,そのかにの価格だけでなく,別の産地のかになどの価格の関数です。産地の違うかには代替財で,価格差が大きくなるほど,より安い産地のかにに需要が移ります。
 また,漁獲量も,その産地のかにの価格の関数であることを検討する必要があります。

*9:経済活動が一体とみなせる都市圏を客観的に判定する方法として,中心市への通勤率が10%以上という基準「都市雇用圏」が東京大学空間情報科学研究センターで提案されています。
 その基準によると,金沢市への通勤率が53.4%の内灘町を筆頭に,津幡町,野々市市,白山市,かほく市,川北町の順に,宝達志水町の14.2%までが金沢都市圏と判定されます。金沢市を含め,以上7市町の人口は,同センターによる2010年の国勢調査に基づく算定で74万人です。これは,仕事帰りや休日などに,ふだんから金沢の店で食事している人の範囲と,ほぼ一致します。
 金沢は,人口の割に飲食店や商業施設が多いと言われます。それは,金沢市の人口46万人に比べて,金沢都市圏の人口74万人が大きいからです。さらに,そのギャップの理由をいえば,他の同規模都市では,こうした都市圏の範囲を「平成の大合併」で相当合併してきたのに,金沢は1962年を最後に,周囲のどことも合併していないからです。