北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

桜が一年を教えてくれる

桜も見納めですが,今年は落ち着いて桜を撮れる機会がありました。1年に数日だけの桜が,この1年を教えてくれます。兼六園内はネット上に膨大な桜の写真があるので,あえてそれ以外の公園や公道からの撮影ポイントを。

2017年のために,参考情報を追加しました。

金沢城公園周辺

百間堀ひゃっけんぼり(お堀通り)から石川門・石川橋を望んで。

金沢城石川門の桜満開の様子を百間堀から

兼六園の蓮池門口の下で,真弓坂口からは石川門方向へ少し歩いたところです。21美からも徒歩5分くらいと手頃なアクセス。周遊バスも通る道路の両脇に桜が並ぶ開放的な風景で,もとはお堀です。桜並木が続く道路左側が金沢城公園で,桜の上に見えるのが石川門に続く石川櫓。

道路右側は兼六園の外周部で,こちらにも点々と桜があります。奥に石川櫓と石川橋,右上の桜がふわっとかぶる撮影ポイントを探すと,遠近感や立体感が引き出せます。

その百間堀を行く,周遊バスの右回りを,道路反対の金沢城側から。

桜満開の百間堀(お堀通り)を行く城下まち金沢周遊バス右回り

4月1日から大型バスになったもので,撮ってみました。画像を明るくすると,結構乗っていることがわかります。人出にもかかわらず,バス停にゆとりができたのは,大きな改善です。

このあたりの写真の定番で,重要文化財の石川門・石川櫓。

満開の桜をしたがえる金沢城石川門の石川櫓

この下が,花見のこれも定番である沈床園ちんしょうえんで,花見客がお昼からすでに,夜の場所取りをしています。

そして,兼六園桂坂口から石川橋を渡って石川門方向。

兼六園桂坂口から金沢城石川門を満開の桜の時期に

兼六園と金沢城をつなぐ唯一の歩道橋で,両方を行き来すると必ず通る道。平日昼下がりでもなかなかの人出です。あえて,人出がわかるような構図の一枚です。

その石川門の手前です。

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このあたりは,撮影が主目的の人が集中していました。工夫のしどころなのでしょう。

石川門を入り,城内から外の桜をのぞくと。

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まっすぐ前を撮ると,人の顔ばかりになるので,この上向きの構図が限界です。写真で切れている下を,見物客がずっと流れています。

本多の森・石川県立歴史博物館

咲き始めのころですが,1909年から連続して竣工した,赤煉瓦の洋館を背景に。こちらも重要文化財です。

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桜は正面と後ろ側の数本だけですが,赤煉瓦の建物を背景に,人物などを撮りたい方にとっては,季節を問わず穴場です。

重要文化財指定を受けているため,外面にはお店などを作っておらず,明治から現代の多様な設定で,さまざまなコスチュームに合うでしょう。路面も同系色の煉瓦と芝で違和感がなく,人や車がかぶらないのも,撮影には好都合です。

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釉薬による艶のある,金沢ならではの黒い屋根瓦が照り返します。並んで3棟あるのも,面白い構図が試せるかと。

浅野川河畔・ひがし茶屋街方向

ひがし茶屋街は浅野川から路地を奥へ入ったところですが,その手前の河畔の桜並木を浅野川大橋から写したもの。

金沢・浅野川大橋からひがし茶屋街方向の桜並木が満開

奥の梅ノ橋あたりまで,対岸に桜が並びます。その上流にはアーチ型の天神橋が望めます。ひがし茶屋街は路地の奥で,桜と組み合わせられないため,浅野川の川面と河原,上流の橋との構図を決めたいところ。

桜の右上あたり,卯辰山中腹には,日本料理の松魚亭,ステーキの六角堂の新館などが見えます。その上がやや陰になりますが日本料理店・卯辰かなざわです。

木造の欄杆で車が通れない梅ノ橋は,2時間ドラマなら何かが起こる場所で,映画・舞妓Haaan!!!のロケ地でも。

主計町かずえまち茶屋街は,桜,川,茶屋が揃う

こちらは,浅野川沿いに今なお続くお茶屋さんや,現代の営業に改めた新旧の料理店,さらにバーなどが並ぶところ。その前が桜並木です。

金沢・主計町茶屋街の浅野川沿いに咲く桜が満開(浅野川大橋方向)

考えてみると,金沢の三茶屋街で唯一,桜,川,茶屋が揃うところ。桜の写真としては,全国でも珍しい構成かも知れません。この花見の時期だけ設けられるぼんぼりには,お店か芸妓さんの名前が入ります。

その主計町茶屋街の街並みを,川下の方向に見通すと,こんな感じ。

金沢・主計町茶屋街の浅野川沿いに咲く桜が満開(浅野川大橋から中の橋方向)

夜の営業に備えて,日本料理の嗜季しきの前では,打ち水をされていたところです。この茶屋街は夜だけ営業の店がほとんどで,以前ならば平日昼の人通りはわずかだったのですが,今ではふつうに旅行や撮影目的の人々も行き交います。

1つ川下の橋である中の橋から,浅野川大橋方向の眺め。

金沢・主計町茶屋街の浅野川沿いに咲く桜が満開(中の橋から浅野川方向)

浅野川の左奥がひがし茶屋街で,右が主計町茶屋街,奥が卯辰山方向です。中の橋の上から,木造の欄杆も含めて,川の上流を見通す構図では,このように。

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浅野川の主計町茶屋街側は,中の橋から浅野川大橋まで,桜並木が続くのがわかります。浅野川大橋より上流は,桜並木が対岸のひがし茶屋街側に移ります。桜並木の奥行きがわかる構図で,ピントの置き場所や絞りも工夫のしどころ。手間をぼかしても面白いかも知れません。中の橋は歩行者と自転車専用で,前を人や車が横切らず,車の通行の邪魔にもならないため,じっくり試せるよい場所です。

浅野川大橋方向に戻って,主計町側から中の橋を背景に。

金沢・主計町茶屋街の浅野川沿いに咲く桜が満開(中の橋上から浅野川大橋方向)

最後に,主計町茶屋街の検番前にある照葉桜てりは・ざくら

金沢でもっとも早く咲くと言われる,主計町茶屋街の暗がり坂下・検番前にある照葉桜(てりは・ざくら)が満開から散り始め

泉鏡花の小説「照葉狂言」にちなんで植えられた桜です。金沢でも早く咲くそうで,同日回った上の金沢城では蕾もあったところ,ここはすでに散った花びらが路面にたくさん。

当時金沢で一番の繁華街だった尾張町から,大通りを通らず,この花街に向かう抜け道が,こちらの暗がり坂。名前通り,昼なお暗いのですが,両側を木造三階建,奥を階段に囲まれて,風が通らず桜には温かいのかも。

花街の路地の温もりに,ひっそりと咲いて散る桜です。