北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

主計町やひがし茶屋街の行き帰りに,金沢美大・柳宗理記念デザイン研究所

戦後日本を代表するインダストリアル・デザイナー

どこかで見たことがありそうな,下のバタフライスツールが,柳宗理氏の代表作。

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ニューヨーク近代美術館MoMAとパリのルーブル美術館に所蔵という,当時の日本のインダストリアル・デザインのはしりです。現在もふつうに生産・販売されている商品のため,撮影ができます。

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蝶の羽の形状というのですが,思い出すのは中括弧 { 。これをπ/2だけ回転すると,この椅子の上面になります。包み込む形状で普遍的なものということでしょうか。

その柳氏が,金沢市立金沢美術工芸大学教授だったことから設立された記念施設。名称は,金沢美術工芸大学柳宗理記念デザイン研究所です。

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場所は後で書くように,ひがし茶屋街や主計町(かずえまち)茶屋街に最寄りのバス停のある橋場町交差点すぐ。

あれ,この外観はと気付かれた方は同世代の方で,ここはもと和菓子の森八本店。その本店は,徒歩3分ほどの,大樋美術館斜め向かいに移転・新築されています。新しい森八本店は,このような外観で,2階を和カフェと菓子木型美術館にしています。

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テーブルウェアをコンパクトに展示して,入場無料

元に戻って,柳宗理デザイン研究所ですが,1階左手のこぢんまりとしたスペースに,氏がデザインしたテーブルウェアなどを並べて展示。展示品の規模や,金沢美大の社会貢献も兼ねていることもあり,入場は無料で一般に公開しています。

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テーブルウェア全般に,安らぎを与える自然な丸み。

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バターナイフはふっくらと。

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いずれもシンプルなのに,存在感のある外観が特徴でしょう。

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個人的には,これでカフェ営業でもしたらよいのではと思うところ。テーブルウェアと食とは,互いを求めて成り立つものですから。

自動ドアの赤い手のサインは柳氏のデザインでした

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日本全国どこでもよく見かけた自動ドアの赤い手形と独特のロゴ。これも,柳氏の作品で,おそらく認知度のもっとも高いものかもしれません。こういう,誰もが知っている作品があるといいですね。

泉鏡花記念館に通り抜け可能

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この建物の裏側は,独特の幻想文学を築いた作家・泉鏡花の生家跡に設けられた泉鏡花記念館

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ここを出ると,父子像と長い椅子のある中庭へ。

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記念館内には,初版本や直筆原稿などが展示されています。

暗がり坂から主計町茶屋街へ

その泉鏡花記念館の裏手は,神社・久保市乙剣宮(くぼいちおとつるぎぐう)。その境内の右奥から,泉鏡花も小学校への通学に使ったという石段の坂・暗がり坂が続きます。

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なんだか尾道風ですが,より陰翳のある景観。下りたところは主計町茶屋街に。

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この風景を幼少期に眺めていれば,ロマンチシズムが芽生えるのもわからなくはないです。ここまで徒歩2分ほど。

主計町茶屋街はひがし茶屋街と違って,昼営業の飲食店があまりないために,ときおり街並みを撮影される方ぐらいで,ひっそりしています。

なお,上の写真正面の建物は,晩年を金沢で過ごした版画家・故クリフトン・カーフの旧自宅兼アトリエで,現ギャラリーです。

ここまでの位置関係は,こちらのマップの左下のあたり。

徒歩5分でひがし茶屋街にも

上の地図で,浅野川大橋を北側へ渡れば,下の写真でおなじみの,ひがし茶屋街へも徒歩5分ほど。

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こちらは,金箔ソフトからカフェ、レストランまで集積して,茶屋街にして昼から賑わいです。そちらの内容は,過去記事を。

南側に3分程で大樋美術館と寺島蔵人邸,森八本店と和カフェが

逆に,橋場町交差点を南側の兼六園方向に進むと,料亭・金城楼まで徒歩2分ほど

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末広がりの枝ぶりの槙を眺めつつ,この時期は蟹を温かいジュレがけで。手前の香箱蟹には内子と外子を下に忍ばせてます。

ずわい蟹と香箱がにの温かいジュレがけに内子・外子を忍ばせる(金城楼・金沢市)

その南隣は,茶道具で重用される大樋焼で,文化勲章受賞作家の窯元・大樋美術館。ここまでも徒歩2分。

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大通り向かいの小路を南下すると,徒歩3分ほどで,江戸時代建造の武家屋敷・寺島蔵人(くらんど)邸。武家屋敷というと長町の方が有名ですが,こちらは一棟だけでひっそりと。

金沢市の武家屋敷・寺島蔵人邸

庭の右上に見える明かりが,冒頭で写真を貼った森八本店の2階の和カフェで,こちらのお庭を借景にしています。疲れてもお茶には困りません。

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以上全部徒歩5分圏と,気ままに歩けるエリア。次の観光スポットへも好みに応じてどうぞ。