Googleストリートビューで,建物の中を見られるインドアビュー。そこに,金沢市営の観光施設が3つ新しく公開されました。検索のために,3館を別の記事に。建物の前で撮った写真から。
松の左側に見える枝は,右側の枝がガラスに反射しているのに,1本の木に見える不思議なコリドー。透けて見えているのではありません。偶然と思いますが,面白い写真が撮れます。
21世紀美術館前の施設でバスは多い
場所は,観光客の集まる金沢21世紀美術館と同じ敷地で,しいのき迎賓館の向かい側。金沢駅兼六園口(東口)の6番(または3番)バス乗り場から,兼六園シャトルを含むすべてのバスで11分ほど。広坂バス停下車すぐです。
このほか,7番乗り場の周遊バスも広坂バス停に止まりますが,金沢駅からは上のバスより大回りで,数分長くかかります。市内の他の観光施設からは,周遊バスの方がわかりやすく,それがおすすめ。
21美には入口が複数あって,降りたバス停によっては見落としがちなところ。しいのき迎賓館対面の大通りから,この通路が見えます。通路の奥,松の先に見えているのが21世紀美術館です。能楽美術館は下の通路の左側。
通路右側はふだん使いもできる工芸品の展示販売
写真の通路の右側は,金沢の伝統工芸品を展示・販売する金沢クラフト広坂です。食器や身の回り品が主体。若手から中堅作家の作品に重点を置いているので,普段使いのできる品揃えで,おみやげにも役立ちます。
他にない能装束の着用体験が無料
能楽美術館は,謡曲を嗜む人が多かった金沢で,能楽関連の装束等を展示する施設。なかでも面白いのは,能の装束を着られるところ。10時から16時まで,下のスペースで能装束を着せてもらえます。
とくに追加料金なし。画像の衣装を上にまとうだけで,手間のかかる着付けはいらないので,10~20分程度で完了とされています。また,この部分は,自分のカメラで撮影も可能です。
こういう企画の雰囲気が簡単にリンクできるようになったのは,インドアビュー公開の成果。外から想像できないけれど,実は面白い展示がある施設ほど,お客さんが増える可能性があります。
2階は能面と能装束の展示
2階の展示室では,能装束のほか能面などを展示。
能舞台に見立てたコーナーに,能装束が展示されています。振り返ると能面各種。なお,実際の能舞台を見たいなら,徒歩6分ほどの石川県立能楽堂で,催し物がない日に,無料で見学ができます。
右手に,KYOGENという,おそらく外国向けに作られたポスターが見えます。そういえば,狂言とか仕手とか,大人の戦略的な行動を表す現代用語も,語源はこの分野でした。
和食が認定されたユネスコの無形文化遺産では
ところで,もう数年前,ユネスコの無形文化遺産に和食が選ばれたことが,大きなニュースになりました。世界遺産の無形文化財版です。確認してみると,それは2014年。関係者が膨大なので,日本の世界遺産で無形文化遺産というと,今なお和食のイメージが圧倒的です。
和食は21件目で,1件目は能楽
とはいえ,和食は,日本に関する無形文化遺産認定で21件目。それより前に,日本で20件も認められていたことは,あまり報道されませんでした。
では,ユネスコの無形文化遺産日本第1号は何かというと,これを書くので調べてわかったことですが,能楽でした*1。
能面を付けることをはじめ,人物がかなり抽象化されたステージは,たしかに特異。観衆に予備知識があってはじめて成立する芸能です。あまり本筋とは関係ありませんが,能楽がどういう位置づけか,とくに外国人向けの説明にはよいかも知れません。
チケットは21美とのセットもあるが21美の企画展は別
入館料は大人300円,65歳以上200円。21美の大型企画展以外のコレクション展(期間により変動して,360円から)とのセット券510円があります。通常は,このコレクション展のチケットで,写真をよく見るレアンドロのプールの下まで到達できます。
ただし,21美で入場者が多く集まるのは大型の企画展で,それは1000円以上のことが多いもの。そういう企画展との共通券はなく,見たいもので判断を。
他の市営施設も回るならパスポート1日券も
なお,21美を除く市営の文化施設16館をすべて回れるパスポートもあって,1日券510円,3日券820円,年間2050円です。1日券では,21美以外の市営有料施設を2館回るなら,もう得になります。
クレジットとSuicaなどが利用可
すでに,金沢市営の観光施設では,入館料の支払いにクレジットやSuicaなどが使えます。1日券からの共通パスポートの購入でも大丈夫。詳細は過去記事を。
高校生以下は無料で,学習の一環にも
高校生以下なら追加負担がないので,修学旅行などのワンポイントにもおすすめです。団体への内容の説明も予約により可能で,別に研修室の利用料がかかります。実は,お隣の21美も,上述の企画展以外のコレクション展は,窓口で手続きがいるものの,高校生以下を無料にしています。
現在の学習指導要領では,高校の音楽教育で,歌舞伎や能楽などの学習を求めています。グローバル化が進む現代では,海外の文化の理解とともに,日本固有の文化の海外への説明も重要だからです。とはいえ,能楽堂のある大都市部と古い都市以外では,能面や能装束の現物を見る場所がないという学校がほとんどでしょう。高校生以下の見学無料については,そういう活用法も期待されます。
*1:正確には,2008年に無形文化遺産に認定されたのは,能楽,人形浄瑠璃文楽,歌舞伎の3つ。しかしこれは,2001年から3回にわたる「人類の口承及び無形遺産に関する傑作の宣言」で選定されたものを継承しています。その3つの中で最初に認定されていたのは,2001年の能楽ということで,3者の中でもはじめの選定でした。