北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

東京から京都や大阪往復で,帰りに金沢に寄ってもプラス数百円

乗車券を一周するように長く買うと割安に

JRの乗車券は,長い区間ほど1kmあたりの運賃が安くなります。ただし,乗車券を1枚にできるのは,交わらずに一筆書きできるところまで。同じ駅を2度目に通るところで乗車券は打ち切られます。

それで,大きく一周するルートがとれるほど有利なことを,東京から福井往復の記事で書きました。東京と北陸間は,ループする経路でも行きと帰りで所要時間があまり変わらない地域があり,これで交通費を節約する手法は,以前から使われていました。

2015年3月の北陸新幹線の開業で,東京・金沢間が大幅に時間短縮されたため,別ルートが考えにくかった東京から関西への用事でも,行きか帰りに北陸へ回るルートが現実的になってきました。

東京から京都・大阪往復で,北陸に寄り道でも効果絶大

その一つが,すでにいろいろ試されている,東京・関西の往復で,片道だけ金沢に寄っても,数百円の追加出費で済むことです。

たとえば,東京から京都往復で,帰りに金沢に寄る場合,位置関係は下の図のようです。

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このほぼ一周するルートでは,東京→山科(京都の1駅手前で東京方面と金沢方面の合流駅)→金沢→東京と一周する乗車券と,そこから飛び出る区間である山科・京都往復の乗車券とを合わせることで,通常期では以下の通り。

東京・京都間の運賃・料金(通常期:円)
東海道往復と片道北陸経由の比較
経路 乗車券
片道
特急券
片道
往復
合計
東海道新幹線 8210 5700 27820
行き東海道,帰り北陸に寄り道
東京→京都
東京都区内→山科→金沢→東京都区内13820
(上の区間の有効期間7日)
山科→京都190
京都→山科190
5700 28130
京都→金沢 2900/2
=1450
金沢→東京 6780

京都・金沢の特急券が半額になるのは,どちらかの新幹線との乗り継ぎ割引の適用です。適用条件は,

  • 新幹線→在来線は当日の乗り継ぎ列車のみ
  • 在来線→新幹線は翌日の乗り継ぎ列車まで

たとえば,北陸新幹線との乗り継ぎ割引を適用する場合には,金沢で1泊まで,この料金です。その場合,京都の宿泊は,一周する乗車券の有効期間7日の範囲なら制約なし。東海道新幹線との乗り継ぎ割引を適用するなら,京都は宿泊できないものの,金沢は7日の範囲で制約なし。逆回りは,京都と金沢の条件が入れ替わります。

同じ計算は,東京・大阪往復などでもできて,山科から先の料金が異なるだけです。まとめると,片道だけ金沢に寄ることで,追加で必要な金額は,

  • 東京から京都往復の場合,プラス310円
  • 東京から大阪往復の場合,プラス530円

です。これは通常期の計算で,繁忙期や閑散期でも,プラス幅が少し変わる程度。遠距離逓減制と乗り継ぎ割引,おそるべしです。

京都・大阪から東京往復で金沢に寄ると,6の字状に通算でき,さらに安い

反対に,京都から東京往復で帰りに金沢へ寄る場合,位置関係はこうなります。

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乗車券は,京都→東海道新幹線→東京→北陸新幹線→金沢→北陸本線・湖西線→山科,まで1枚にできる原則。ただし,着駅山科はすでに京都市内駅で,発着となる市内では経路を問わないため,京都市内→東京→金沢→京都市内の乗車券として発券可。これも同額13820円。京都市内着の乗車券であることが幸いして,山科から先の追加は不要で,安く済みます。

大阪からは6の字状の乗車券が山科まで成立。その先の山科→大阪だけ,片道の追加購入が必要です。なお,長距離の乗車券では,山科着は京都市内着として発券されるのに,この緑のルートの乗車券が京都市内着ではなく山科単駅指定になるのは,旅客営業規則第86条の但し書きによるもの。これは京都市外発の乗車券だから適用される,着駅を単駅指定するルールです。

京都・大阪からの東京往復で,片道だけ金沢に寄る場合もまとめると,通常期で,

  • 京都から東京往復で,マイナス70円
  • 大阪から東京往復で,プラス330円

です。京都発着は分岐駅の山科が京都市内であることが効いて,飛び出す区間が不要となり,特別に安いです。

なお,帰りに金沢で一泊すると,サンダーバードの乗り継ぎ割引が適用されなくなるので,一泊したい場合には,行きに金沢に寄る逆回りも一考です。

関西発の一周では山手線内などで途中下車可の利点も

関西発東京往復で北陸寄り道の隠れたメリットは,東京の山手線内を含む特定区間では,同じ駅を2度通らない経路なら自由に選べ,その間のどの駅でも途中下車できることです。つまり,東海道新幹線→北陸新幹線(逆方向も可)と進む乗車券は,ルートの取り方次第で,渋谷でも新宿でも秋葉原でも途中下車できます*1。この複雑な経路上の途中下車には,自動改札が対応しておらず,有人改札を通ることになります。そのたびに,乗車券に途中下車印を押され,その写真もよくネットで見かけます。

きっぷの買い方と有人改札の利用に注意

安くなるための必要条件は,できるだけ長い乗車券をつくることと,特急券の乗り継ぎ割引です。それで,東海道新幹線,大阪・京都→金沢の特急サンダーバード,北陸新幹線の乗車ごとに,きっぷを指定席券売機やみどりの窓口で買うと,上の金額よりかなり高くなります。

具体的な注意点はこちら。

  • 計画した経路・区間の乗車券を,事前に購入すること*2
  • 乗車券が指定席券売機やネット予約(えきねっと)で買えるのは,発着となる都区内駅や市内駅の中で,システムで弾かれないような別の発駅と着駅を設定できる地域だけで,それ以外の地域発では窓口での購入となること(下の表を参照)
  • 関西・金沢間の在来線特急券に,同日乗る方の新幹線(在来線から新幹線方向へは翌日でも可)との乗り継ぎ割引を適用させること
  • 乗り継ぎ割引適用の特急券は,ネットでは同日分のみ,券売機では最短乗り継ぎ列車などに限定され,それ以外は窓口での購入となること(下の表を参照)
  • 通常とは違う乗車券で下車することになる駅(京都駅・新大阪駅など)では,有人改札を通る必要があること
  • 在来線の入場時に自動改札が通れる場合でも,新幹線改札では,特急券の区間をカバーする乗車券の同時投入が必要なこと*3

慣れないうちは窓口での購入が無難

行き東海道,帰り北陸と一周する乗車券と,乗り継ぎ割引を適用する特急券は,事前にJRの駅や旅行会社で買う必要があります。券売機やネット予約(えきねっとなど)では購入できない区間もあり,慣れないうちは,みどりの窓口や旅行会社での購入をおすすめします。

券売機やネットは,すべてのきっぷの購入を保証するものではなく,購入可否は現状で以下の通り。

東京・山科・金沢・東京の一周経路について可能な購入方法
  窓口 券売機 えきねっと e5489
乗車券 東京都区内発,横浜市内発,名古屋市内発 △* △* ×
乗車券
だけの
購入機能
なし
京都市内発(周回経路上の市内駅が1駅だけ) × ×
大阪市内発→東京→金沢→山科など6の字状 × ×
その他市内制度がない地域発(大宮など) × ×
特急券乗り継ぎ割引 同日乗り継ぎ
最短の乗り継ぎ列車
同日乗り継ぎ
任意の時刻の乗り継ぎ列車
×
翌日乗り継ぎ
在来線→新幹線方向のみ
× × ×

*後の例のように,発着の都区内や市内駅の範囲で,交わらない経路ができる別の発着駅を入力。

窓口では,乗る経路をすべて伝え,「乗車券は一周する部分を一枚に」と確認するので十分です。経路や列車名は,メモを見せるのが確実。面倒なら,このページのような一周する乗車券の画像をプリントして,「これとはみ出す部分の乗車券を買いたい,乗る列車はこれ」でよいです。

乗車券では,回る向きも区別されることに注意。在来線→新幹線では,乗り継ぎ割引が翌日も適用されることの確認を。

乗車券:発着駅を工夫すると指定席券売機で買えるものも

とはいえ,窓口にいつも並ぶのは面倒です。指定席券売機やえきねっとなどでも買える区間はあって,まず乗車券からの説明を。

便利な指定席券売機やえきねっとでは,一周して発駅と着駅が同一となる乗車券について,ルール上は発売できるのに,システム上はじいて窓口に誘導するようです。ただし,その条件の詳細は中の人しかわかりません。

それでも,発着する都区内駅や市内駅で,交わらないような経路で発駅と違う着駅を仕立てられれば,券売機で買えるものがあります。ただし,どう工夫しても発着駅を別にとれない地域など,無理な場合もあります*4

例として,東京から一周するルートで,発駅を着駅以外と入力し,乗車駅・列車・降車駅などを入力していきます。

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この経路ですと,品川からしか新幹線に乗れないようですが,東京・品川間の在来線と新幹線は,運賃計算上同じ線路の扱いで,他に規定がない乗車券では,どちらでも選んで乗車できます。そこで,以下のような乗車券が発券されます。

東京都区内発,東海道新幹線,金沢,北陸新幹線経由,東京都区内行き大回り乗車券

購入の際,京都で途中下車するか,聞かれます。

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途中下車するを選ぶと,愚直に,東京都区内→京都市内と京都市内→金沢→東京都区内の連続乗車券が発券されてしまいます。それでは冒頭の計算より高くなります。そこであえて,京都で途中下車しないを選ぶと,上の乗車券が購入できます。

その注意の通り,上の大回り乗車券だけでは京都駅以西で途中下車できません。京都や大阪で降りるには,飛び出す区間である山科・京都190円や山科・大阪840円などの乗車券が往復分,別に必要です。それも,この指定席券売機で,別に買えます。この際,京都・大阪などで宿泊する場合,帰りの大阪→山科などの乗車券の乗車日の入力を誤りやすいので,ご注意を*5

なお,上の大回り乗車券は,発着の東京都区内以外の緑のルートのどこでも,途中下車できます。

東京都区内発着と同様に,横浜市内→横浜市内の乗車券を求める場合は,(一周でエラーとならないように)新横浜→京都→金沢→東京→鶴見などと工夫すればよいです。実際の発券は横浜市内発着となり,行きも帰りも,横浜市内駅のどこからどこまででも乗れます。

乗車券:同じ工夫で,えきねっとでも買える

指定席券売機での入力が面倒なら,えきねっとで確認しながら購入して,指定席券売機でも発券できます。

JR券申込み>乗車券と進むと,区間と経路の入力ボックスが現れます。そこで,例として,次のように入力。

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工夫はここでも,乗車駅と降車駅を別にすることです。先ほどのように,東京ではなく,新橋などあえて近隣の駅にします。東京→東京と入力すると,

乗車駅,降車駅の指定に誤りがあります。

というエラー表示で先へ進めません。これは,指定席券売機でのブロックと同じです。誤入力や大回り乗車券の誤用を避けるためと思います。

また,経由地を山科でなく,京都と入力しても,正しい乗車券が得られます。その理由は後述します。

入力後,金沢駅は,類似駅名などを確認させるダイアログボックスが出て,正しく金沢(JR)を選ぶと,以下の経路選択画面が現れます。選択肢は長いので,省略してます。

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選択するのは上のもの。すると,新橋→東京13820円の山科・北陸経由超大回り乗車券のできあがり。

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実際の発券は,先ほどの写真のように,東京都区内→東京都区内の乗車券になり,都区内のJR駅どこからでも,どこまででも有効です。先ほどの説明のように,東京・品川間は在来線・新幹線とも運賃計算上は同路線ですので,東京駅から新幹線に乗ることも可能です。

あとは,指定席券売機でえきねっと予約の発券を選び,決済に使ったクレジットカードを入れると,上と同様の乗車券が出てきます。

なお,横浜市内発着であれば,横浜→京都→金沢→東京→鶴見などと入力してください。実際の発券は,横浜市内→横浜市内になって,帰りも横浜市内駅どこまででも乗れます。

山科から先はどうなるのか:京都で途中下車しなければ乗り換えは可能

この大回り乗車券,えきねっとの表示では京都を通るように見えますが,実際は山科で東海道線から湖西線に移る経路で発券され,山科・京都間の効力は原則としてありません

ただし,京都で途中下車せず,東海道新幹線から湖西線方面へ乗り換えるだけの場合,山科には東海道新幹線が停まらないため,山科・京都の往復乗車を追加運賃なく認める特例があります。これは,東京都区内→大津京や堅田など,東京から湖西線各駅への移動でよくある経路で,この特例を知らなくても適用されるように,実態に合わせた入力形式にしてあるのでしょう。

京都や大阪で途中下車なら,山科からの乗車券が必要

しかし,京都や大阪での所用のついでに北陸へ寄るという,この記事の目的では,山科以西で途中下車ができないと困ります。

その場合,上記のリンクにあるJRの説明のように,山科以西・京都や大阪までの乗車券を別に買っておく必要があります。新幹線の自動改札では,特急券の区間に有効な乗車券が同時投入(または一枚になっている)されないと,区間不一致で扉が閉まるのが原則だからです*6

その区間も,みどりの窓口はもちろん,指定席券売機やえきねっとなどで,購入・発券しておけます。

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なお,東海道新幹線に山科駅はないので,この乗車券は新幹線に有効なのか,不思議に思われがちです。新幹線に山科駅がなくても有効な理由は,米原・京都間は,在来線と新幹線は運賃計算上同じ線の扱いだからです。実際,東海道新幹線京都乗り換え湖西線までの利用客は多数で,何も説明しなくても,この乗車券の経路で発券され,使われています。

そこで,在来線である東海道線の駅ごとに設定された乗車券は,対応する新幹線の同区間についても有効です。この買い方では,東京都区内→山科(→湖西線方面)と山科→京都の2枚の乗車券で,切れ目なく東京→京都をつないでいるので,同区間の新幹線でも有効です。

ただし,新幹線改札の出場や在来線の出口改札では,複数枚の乗車券の使用で,自動改札の入場記録がない乗車券については,はねられる場合があります。出発する東京駅などの改札で,先述の特例で投入しなくても入場できることになっている,山科→京都の乗車券を通していない場合などです。そういう場合は,有人改札へ回るのが無難です。京都駅や新大阪駅の在来線出口改札では,山科駅で途中下車した扱いとなり回収しない大回り乗車券について,山科まで使ったことを記録するために,「山科駅下車代・京都駅」といった途中下車印が押印されるのが正当です。

特急券:乗り継ぎ割引を適用する組合せは行程で決まる

次は,特急券についてです。特急券が安くなる条件は,乗り継ぎ割引で,新幹線との乗り継ぐ在来線の特急券が半額になるものです。その新幹線と在来線の特急券のペアは,同時に買っておく必要があります。ばらばらに買うと,乗り継ぎ割引が適用されません。

この行程では,乗り継ぐ新幹線は2つあり,行程次第でどちらの組に適用するかが変わります。新幹線→在来線は同日乗り継ぎのみ,在来線→新幹線は同日と翌日乗り継ぎに適用されます。それで,宿泊地と方向次第で,乗り継ぎのペアが消去法で決まります。

たとえば,京都に先行し宿泊する行程なら,東京→京都→金沢のペアで乗り継ぎ割引を適用するのは不可能です。京都→金沢→東京のペアは,金沢一泊まで乗り継ぎ割引が適用されます。逆回りでは,金沢と京都を入れ替えた結論になります。また,新大阪まで乗車の場合は,京都を新大阪と読み替えを。

なお,新幹線・新大阪駅と在来線・大阪駅の乗り継ぎは認められているので,関西・北陸間のサンダーバードは,新大阪駅だけでなく,大阪駅でも乗降できます。

特急券:指定席券売機では,乗り継ぎ割引で最短の列車しか選べない仕様

乗り継ぎ割引が適用になる特急券の組は,指定席券売機でも買える機能があります。ただし,乗り継ぐ列車として,最短の乗り換えとなる部分しか選択肢に出てきません。そのため,乗り換え駅で所用や観光で時間をとろうという今回のプランには不向きです。

特急券:ネットでは,同日乗り継ぎなら列車の指定が可能

ネットでの購入では少し条件が緩やかです。まず,えきねっとでは,同日乗り継ぎなら乗り継ぎ列車を選んで購入でき,指定席券売機で発券できます。

京都・金沢は2時間10分,金沢・東京は2時間30分程度。京都を午前に出れば,蟹でも食べて東京へ帰るのに十分な行程。たしかに,サンダーバードとかがやきで,割り引かれた特急券の合計は8230円との表示です。

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ただし,えきねっとでは,同日の乗り継ぎしか,乗り継ぎ割引の適用をしない仕様です。在来線から新幹線への方向に限り,翌日でも適用される乗り継ぎ割引は,みどりの窓口で発券せよとの説明です。

なお,e5489でも,同日乗り継ぎなら同様に購入ができます。詳細な検索方法>乗り換え指定>乗り換えせず利用する区間を指定して検索で,京都→金沢,金沢→東京の2区間を指定すると,以下のように,eきっぷで7320円とさらに安い価格が出ます。

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e5489では説明がないのですが,こちらもeきっぷを使った翌日乗り継ぎは,出せないようです。なお,eきっぷは,J-WESTカード会員だけのもので,会員以外は,通常の乗り継ぎ割引の適用です。

在来線→新幹線でだけ翌日も適用される乗り継ぎ割引の今後は‥

在来線から新幹線方向だけ,翌日でも乗り継ぎ割引が適用される規則がある理由は,夜行列車で新幹線駅への到着が乗車日の翌日になる事例や,夜遅くの到着で深夜に乗り継ぐ新幹線がない事態を救済するためだったのでしょう。そういう在来線の夜行や,宿泊乗り継ぎが避けられないほど長距離の在来線特急など,もうほとんどありません。この面倒な条件は隠しておいて,気づかれないうちに廃止したいのかもしれません。

ただし,現行のルール上できることが,券売機やネット予約のシステムでブロックされているのは,知らない人が損をする仕組みで,このルールがある限りは,改良してほしいものです。

サンダーバードはD席が琵琶湖の眺め

最後に,席と電源などの注意点を。湖西線では,高架線からのどかな琵琶湖の眺めが続きます。それは,北陸方面に向かって右側で,サンダーバードでは普通車D席,グリーン車C席です。あいにく,大阪・京都から金沢まで,日本海はほとんど見えません。

電源があるのは,普通車は(わずかに残るリニューアル前の編成を除き)最前列・最後列だけで,1車両8席(一部は車端がバリアフリー席で7席)のみ。グリーン車は全席です。指定席券売機とネット予約では,座席表を見て指定できます。窓口ではそのリクエストを。ただし,リニューアル前の編成もわずかにあって,確実ではありません。また,車端のため,揺れやすく,人の出入りが気になるところです。

電波はトンネル内がだめです。途切れず通信できる目安は,京都から50分ほどの湖西線内のほか,福井周辺で武生・芦原温泉間,石川県に入って加賀温泉・金沢間です。なお,車内販売がないのにも注意を。

北陸新幹線は電源全席完備

北陸新幹線は立山連峰側がE席(グリーンはD席,グランクラスはC席)です。とはいえ,晴れ以外では雲に隠れます。反対側のA席は日本海側ですが,糸魚川駅周辺で近くに数分見えるほか,富山から黒部宇奈月温泉の間で,数キロ先の遠望になります。

こちらの電源は,普通席も含め全席1つ完備です。ただし,トンネル部分では電波がない区間がほとんどで,確実に長く通じるのは,東京よりの約1時間。2017年春をめどに,金沢から富山・新潟県境のトンネル内基地局を工事中で,それは過去記事を。

付録:運賃・料金計算の根拠

乗車券

  • 東京都区内→東海道線(新幹線も乗車可)→山科→湖西線・北陸本線→金沢→北陸新幹線→東京都区内
    運賃計算キロ 1177.9km,13820円
  • 山科→京都
    運賃計算キロ 5.5km,190円,往復で380円

以上の乗車券の合計14200円。

東京・京都の往復乗車券16420円より,かなり長い距離を乗っているのに,逆に安くなっていることに気付きます。

特急券(通常期での計算)

  • のぞみ(東京→京都):5700円
  • サンダーバード(京都→金沢):2900円→1450円
    かがやきとの乗り継ぎ割引なら金沢1泊まで
    のぞみとの乗り継ぎ割引なら京都同日乗り継ぎのみ
    (逆回りだと,条件が入れ替わることに注意を)
  • かがやき(金沢→東京):6780円

乗り継ぎ割引に関係しない特急券は別の割引の検討も

安さを究めるなら,乗り継ぎ割引に関係しない特急券については,乗車券部分のない割引きっぷ(特急券)を使ってもよいです。たとえば,サンダーバードをかがやきとの乗り継ぎ割引とするなら,のぞみは,エクスプレス予約のe特急券(東京・京都4820円)にすると,さらに安くなります。

*1:長いルートの例としては,東海道新幹線・品川下車→新橋→有楽町→東京→新日本橋→錦糸町→両国→秋葉原→御茶ノ水→水道橋→飯田橋→四ツ谷→新宿→池袋→埼京線→大宮から北陸新幹線乗車などが考えられます。この経路上,戻らない限りは,好きな駅で途中下車して,また同じ乗車券で乗っていけます。
 なお,通常の東京都区内発着の乗車券でこういうことができないのは,発着となる都区内では途中下車前途無効のルールがあるから。そのルールは,東京都区内を通過する乗車券では適用されません。

*2:乗車後の行き先や経路の変更では,変更前の乗車券が100km超のものの場合,(差額精算ではなく)乗り越した区間を別に購入した場合の金額が徴収されるルールです。そこで,東京から関西までの乗車券を買って,改札を通った後の変更では,図の安さになりません。
 乗車券の購入後に気づいた場合には,乗車前(入場前)なら無手数料で1回だけ変更ができます。

*3:新幹線改札では,新幹線の特急券の区間に有効な乗車券がないと,区間の不一致で自動改札が閉まります。たとえば,東京駅の新幹線改札で新大阪までの特急券を投入するときには,東京→山科→北陸方面と山科→新大阪以遠に有効な乗車券の同時投入が必要。
 ただし,例外もあって,東京→京都の特急券では,上のような山科で湖西線方面へ折り返す乗車券だけと特急券の投入でも,乗れてしまいます。それは,後で本文に書くように,京都駅で途中下車(在来線改札の外まで出ること)さえしなければ,この乗車券だけで京都駅で湖西線に乗り換えて,大津京・堅田方面へ行くことが認められているからです。

*4:具体的には,京都市内のように周回経路に市内駅が1つだけの場合や,6の字状になる場合,長距離の乗車券でも市内発着という表示にならない地域の場合(大宮,高崎など)です。

*5:飛び出す部分の乗車券を窓口で買うと,連続乗車券という扱いで,一周と飛び出す部分の乗車券が一体の扱いで発売され,有効期間も揃えられます。

*6:ただし,新幹線の自動改札で,東京・新横浜方面から京都までの特急券に,山科で折り返す乗車券の同時投入なら,上の脚注3に書いた特例で,入場はできます。