北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

近江町市場か金沢駅ナカで手頃なカウンター鮨なら,みつ川姉妹店の歴々

新幹線開業後の再訪で,近江町市場に進出した鮨歴々れきれき近江町店へ。ひがし茶屋街の鮨店みつ川さんが,近江町と駅ナカの金沢百番街あんとに出している,価格帯を抑えた姉妹店です。

後の鮨の写真は近江町店ですが,参考までに金沢駅店の入口写真はこちら。金沢百番街・あんとの,もっとも奥のレストランのエリアです。金沢駅店のみ昼から夜へ通し営業で,列ができていなければ,新幹線・在来線の乗り換えなど1時間のすき間でも,何とかなりそう。改札の外なので,途中下車できるきっぷに限ります。

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金沢駅店では,黒板のように,のどぐろを売りにした新しいメニューを増やしていて,近江町店とは少し違った展開のようです。もっとも,仕入れは同じとのことで,都合のよい方に行けばよろしいのかと。

こちらは,近江町店の入口とメニューです。以下では,近江町店での内容と写真を。

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近江町店の場所は,近江町市場内の十間町(じゅっけんまち)口を出る方向左手で,観光の流れで寄れる立地。土休日は人混みになってしまった近江町市場でも,平日は以前より人通りが増えたかなという程度に戻っています。

もちろん,わかりやすさで多数のメディアにとりあげられ,局所的に列ができている回転寿司と海鮮丼を別にしてです。

後で書くように,本拠であるひがし茶屋街みつ川さんは,このところ予約が取れませんが,こちらは平日の昼遅めの時間で,予約なしで入れました。駅ナカの百番街店も

こちらは営業時間は昼が長めであるものの,夜は午後8時入店までと,鮨店にしては早めの仕舞い。それでも,ホリデイインやリソルトリニティ,KKRホテルから徒歩数分で,夜歩いて帰れるために,有力な選択肢となる宿泊客は多そうです。

店内は,カウンターだけでなくテーブル席があり,手頃なおまかせの他,価格ごとのネタを木札で掲げているスタイル。百番街店同様に,値頃感があって安心して注文できる方向に振っています。

さて,別に頼んだお造りは,右上の繊細な旨味のある白えびと,右下のこりこりの赤西貝がポイント。お酒は,手取川の吉田蔵純米大吟醸を合わせました。吉田蔵はご子息を別ブランドで競わせている面白い事例。同じ白山市というより松任の,こくのある天狗舞などとは対照的に,白身の淡い味も引き立たせる,すっきりした飲み口です。

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さて,握り。こちらは,現代の江戸前流に,煮切りなどを刷毛で塗って,そのまま食べさせるタイプ。まずは,白身の平目。

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赤いかは薄く細く刻んで,しそを織り込んで。

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春が旬のさよりも,大葉を忍ばせ写真のように一仕事。

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甘えびを,づけで。

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たしかにこうすると,塩気が増して味が引き締まります。東京の鮨を理想と考えるお客さんには,甘えび本来の味,ねっとりした甘さが必ずしも受けないようで,それに応える仕事でしょうか。

比較のため,づけでない甘えびも,追加で握ってもらいました。色の違いが写真でもわかります。私にはこれが甘えびの味で,こちらの方がはまります。

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こはだも包丁が入るため,魚本来の旨味がわかる,ちょうどいい酢締め具合。

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北陸独特のばい貝を塩で。甘みのあるこりこり感。

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みつ川仕込みの本領は,要所で炙りが入ること。こちらは,さわらの炙り。脂がいい具合に溶けて,身に染みていき,ジューシーな握りに。皮目の変化が,ちょっとしたアクセント。ステーキと同じく,魚もレアのおいしさがあります。

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鮪の赤身のづけ。

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独特の貝類のある北陸では,むしろ煮蛤があまり出てこないネタだったもの。こちらでは江戸前の流儀で,甘辛い煮切りで。

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かわはぎは,肝を載せて。それでいてクリーミーなのは,裏ごしの仕事があってこそ。

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 そして,中トロも炙りで。

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一方であじは,素材本来の出し方。

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 のどぐろの炙りの手巻き。白身なのに上質の脂身があるので,多少火を入れた方がおいしいのどぐろは,各鮨店が仕事の仕方を競っているところ。うまく写せませんが,海苔に細工がしてあって,手巻きに底があるのがこちらのもう一つの工夫です。

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知られた店ほど予約が入りませんね‥

さて,新幹線開業で,金沢の鮨店で名前が広く知られた店は,予約が入りません。こちらでうかがっても,ひがし茶屋街のみつ川さんは,遅めの時間を除き,予約でほぼ一杯のようです。立地的に旅行客を集めにくいはずの,犀川より南の有力店3店も,電話してもまったくだめです。今どきネット検索すれば,土地勘がなくても訪問できますからね。

これまであげたデータから推測すると,少なく見積もっても,平日でも観光客が1日あたり千人単位で増えている一方,鮨店の新店などを聞かないので,需給バランスからいって当然です。

気がついたら有力鮨店のどこも満席だったという土日に,どうしても回らない鮨が食べたいなら,テーブル席(ホール席)や宴席用の座敷のあるところを探すのが一つの手。ネタや職人さんの不足ではなく,席がないのが制約の本質ですから。その場合,握ってからのタイムラグは甘受するしかありません。もちろん,ガイド本や検索の上位になりにくい,市内住宅街に多数ある鮨店という手もあります。

鮨でなくてもお魚に仕事をした料理でよいなら,お造りや焼き物の食べられる懐石料理店か,食事の予約の面倒のない温泉旅館,料亭旅館に行ってしまうかです。