兼六園に隣接する金沢城公園内に,
香林坊(中央公園前)バス停からのルート
場所は,兼六園に隣接する金沢城公園内でも,繁華街の香林坊に近い方。香林坊(中央公園前)バス停からのルートは,中央公園を斜めに突っ切って下記の通りで,徒歩6分。下の地図のゴールの位置に,金沢城公園・玉泉院丸口が整備されました。
ほかの香林坊バス停(アトリオ前)などからでも,デパート・大和の中を中央公園側に抜けて,徒歩6分くらい。新設まもない間は,Googleの地図でもブランクのままでしたが,現在は内部の散策路も描かれています(2016年追記)。
周辺には観光スポットが多く,地図の右下,しいのき迎賓館からも徒歩5分,その向かいの21世紀美術館からも徒歩10分あれば十分。
兼六園からは桂坂口,石川門を抜け金沢城公園内へ
一方,兼六園桂坂口からは,下のように,金沢城・石川門を通り,金沢城公園をずっと歩いて行けます。兼六園とあわせて1時間は歩き通せる日本庭園と現代の公園の広がりです。石川県作成の持ち歩き用のマップはこちら。
庭歩きは無料,庭を眺められるお茶席だけ有料
売りは,お庭観賞だけなら無料の点。後で書く,お菓子とお抹茶をいただく場合にだけ,料金がかかります。それで,有料の兼六園をゆっくり見る余裕がないとき,香林坊や広坂・21世紀美術館から30分くらいのすき間時間でも,手軽に庭園を観賞できるスポットとして使えそうです。
なお,開放された公園と違って,下の写真にあるように基本的に午後6時(冬期は午後5時)で閉園。ライトアップして夜間も開園する日は週末などに限られ,ホームページで確認が必要です。ライトアップ時は,後で書くお茶席はありません。
その玉泉院丸口の案内。
兼六園とは趣が異なり,岡山の後楽園を小さくしたような,城壁と城の構造物を見上げて芝が続く,現代風の明るい庭。城内の地形のため,かなり高低差があります。
右上に見えているのは,1858年に建造された重要文化財の三十間長屋(これは復元ではなく現存)。
池が曲線状なので,違う場所から見るとまた違う景観に。現在,中の島には渡れず,外周だけ歩ける池泉回遊式です。
日本庭園の遠景は,スケールがわかりにくいのですが,一番左の雪吊りの左側を散策中の方を参考にしてください。
左に移動すると,中央奥の茶色いところに段落ちの滝が見えてきます。
もっと左から見ると高低差がよくわかります。奥が,広坂のしいのき迎賓館,21世紀美術館,そしてはるか白山連峰の方向です。
お茶席はガラス張りで庭を眺める数寄屋造の玉泉庵
上の写真右側の建物が玉泉庵で,新築ながら柿葺きの数寄屋造。
お抹茶と上生菓子がいただけます。720円,茶屋街の凝ったお店よりは安いですね。
ここを入って,中の受付で支払いを済ませると,
広間ながら和室で和服でのおもてなし
奥の畳敷きの広間へ通されます。こちらは別のお客さまへのおもてなし中で,きちんと和服です。
床の間には,軸と生け花がしつらえられていて,
先ほどのお庭と三十間長屋を見通せる,前面ガラス張りの現代の茶室。下の写真に写る奥まで,12畳+8畳の広々とした畳敷きです。
三方に青の毛氈が敷かれていて,そのどこでも座ってよいとのこと。試してみたところ,入口から見て奥の,床の間側の方が,この写真のように三十間長屋が正面に遠望できて気持ちよいです。
しばらくすると,水屋で点てられたお抹茶とお菓子が,上の写真の右奥のように,ご挨拶をされてもてなされます。いただく側は,自由にどうぞとのことで,正座が苦手な方には椅子が用意されていました。
お菓子は柴舟の小出製で,季節によって変わるもの。このときは,春の宴という菓銘のきんとんです。なお,小出は上生菓子は予約制で,金沢百番街を含むお店に行っても買えません。
県営施設だけあって,器は両方とも九谷焼。お菓子の器は,こちらも上出長右衛門窯でした。金沢の多くの料理屋さんで見ますから,現代の九谷焼の定番なのでしょう。抹茶椀はグラデーションが美しく,彩釉の九谷のはずですが,あいにく落款が読めませんでした。
開放感のある和室から,お城の遺産を眺めてほっこりできるひとときでした。
兼六園でこのような公設(県営)のお茶席は,時雨亭なのですが,そちらは園内に後で設けられた建物のため,高低差のないお庭だけの眺め。しかも,広間の内側にもお客さんを入れるため,お庭向きになるとは限りません。それで,作庭時に設計されているこちらの方が,眺めの奥行きや立体感では上回りますし,内向きの席がないのもよいことです。
香林坊徒歩圏で,城と庭を眺めながらお茶をいただきたいなら,ここですね。ただし,コーヒーとか食事はありません。よくある飲み物の自販機とベンチが外にありますので,好みによりどうぞ。
ご注意:かなざわ玉泉邸(玉泉園)とは違うお庭です
以前,江戸時代の庭を眺めながら会席料理が食べられるお店,かなざわ玉泉邸のことを書きました。
名前が「玉泉」まで同じですが,違う場所,違う庭です。
- 玉泉院丸庭園・玉泉庵
金沢城公園内に2015年3月に新設された日本庭園
玉泉庵で上生菓子と抹茶をいただける(午後4時受付終了で,昼清掃と貸切時を除く) - かなざわ玉泉邸・玉泉園
兼六園の近くにある,前田家の家臣脇田家が江戸時代に作庭した日本庭園。その邸宅を改装して,2014年4月に日本料理店が開業したもの。昼・夜とも懐石料理がいただけるほか,その間の時間帯に,お茶かコーヒーとお菓子セットでの庭園観賞ができる。2016年刊行のミシュラン富山・石川(金沢)特別版では,1つ星を獲得。
そのミシュランの件は,下の別記事へ。
これ,ガイドブックに両方が整うまで,混同する人が続出すると思うので,気をつけてください。タクシーも,住所か地図を見せないと危ないかも。両方とも,それぞれの写真にあげたように,上出長右衛門窯の九谷焼が出てきたのはびっくりしましたが,いずれも石川県の美を伝えるおもてなしです。
困ったときのために,2つの庭の位置関係の地図を貼り付けておきます。
なお,玉泉とは織田信長の四女で,加賀藩二代藩主・前田利長の正室・玉泉院に由来する命名です。