北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

北陸新幹線での携帯は,飯山ー上越妙高(かがやき号で約6分で通過)を除く全線で通信可能に

使える区間(2019年10月26日~)

トンネル内の工事は,東京と金沢両側から進み,現在使える区間は以下の通り:

北陸新幹線で携帯で連続通信できる区間:東京ー長野ー飯山と上越妙高ー富山ー金沢

通信不可能なのは飯山ー上越妙高の約6分だけに

2019年10月26日からは,通信可能区間が糸魚川ー上越妙高に延長 しています。通信が不可能なのは,長野・新潟県境の飯山ー上越妙高だけ。ここを通過するかがやき号では,約6分の辛抱で済みます。

2018年度末の大きな進展は,東京側から連続通信できる区間が,乗降の多い長野を越えたこと。かがやき号では,その先の飯山まで含めて,東京から約95分は安心して通信ができます。

金沢着の約50分前からは切れない

金沢側は,上越妙高―富山―金沢が連続して使えるようになりました。金沢行きでは,右に日本海が見える前から終点・金沢まで。時刻の目安は,金沢着の約50分前,富山着の約30分前です。

結局,東京ー金沢のかがやき号では,乗車時間の約94%で通信可能な状況まで改善されています。残るは,飯山ー上越妙高間のトンネル区間だけで,そこも2019年度末までに完成の予定です。

携帯の回線を使った無料Wi-Fiも全編成に

携帯での通信が可能な区間では,その回線を利用した無料のWi-Fiサービスが,2018年7月からはじまっています。そして,2019年10月に全編成に完備となりました。その詳細は,別記事へ。

現在もトンネル内工事が進展中

トンネル内の工事は,2016年6月に高崎—安中榛名,2017年12月に富山—金沢,2018年3月5日に黒部宇奈月温泉—富山,3月31日に安中榛名―軽井沢―上田(手前)が完成。

2019年に入っても,2月22日に糸魚川—黒部宇奈月温泉,3月15日に糸魚川―上越妙高の手前,3月31日に上田(東京側)―長野―飯山までと,地道に進んでいます。

工事の進展は,総務省北陸総合通信局の資料にあります。

出典:北陸新幹線トンネルの携帯電話不感地帯の解消に向けた取り組み

以下の記事は,2019年10月26日以降の状況に改めています。

高崎以西のトンネル内に基地局はなかったが‥

北陸新幹線には,長野まで開通時代からずっと、(大宮までの東北新幹線との重複区間を除き)トンネル内の基地局がまったくありませんでした。これは上越新幹線や,他の整備新幹線のほとんどの区間(東北の盛岡以北や九州の新鳥栖以南)と同じです。現在は,国の補助が付いた区間ごとに工事中で,前述のように逐次完成しています。

それで,スマホがだめとよく言われますが,地上を走る明かり区間はほとんどが圏内です。トンネル外なのに電波が通じないところは,下の計測ではありませんでした。

何度も往復して,どこなら通信できるかわかってきたので,マップとともに記事にしておきます。なお,キャリアはauですが,他のキャリアも状況は同様でしょう。

このGoogleマップは,かがやき523号で,窓ガラスにスマホをあて,山旅ロガーのGPSと電波記録機能を使って実測したもの。計測間隔はアプリ任せの最短です。便利なツールを無料で提供されている作者の方に感謝します。

時刻は,東京駅発車時刻からの経過時間:分:秒に換算してあります。オレンジの点が,GPSで位置が特定できて,電波が確認できたところ。電波の確認は,山旅ロガーの仕様で,AndroidのNetworkInfo#isAvailable()を基準としています。

かがやき523号は,東京駅から金沢駅まで2時間33分のダイヤ。かがやき号の中でも,時間帯により到達時間に数分ほどの差があるので,実際に乗車する列車がその点を通る時刻は,最寄りの停車駅の時刻表をもとに補正してください。

また,Googleマップは,拡大して周囲の地形との関係がわかるように,航空写真モードにしてあります。

東京駅から金沢駅までで携帯・スマホが使える区間

時間は,上野・大宮・長野・富山のみ停車のかがやき号が基準です。

現在は軽井沢を過ぎても安定通信が続き…

東京から大宮までは東北新幹線と共用で,わずかなトンネルも中に基地局があって通信可能です。地下ホームに潜る上野駅の周辺と,都県境手前の赤羽台トンネルも連続して通信できます。

その後,大宮で東北新幹線と分かれた後は,関東平野をほとんど高架で北西に進むため,トンネルがまったくありません。通勤利用も多い高崎までは,開業時から確実に通信できていました。

高崎駅通過後,上越新幹線との分岐器通過のために160km/hまで減速して,景色が次第に山がちになります。そこから,全国の新幹線で最大の登り勾配に向かって,モーター音が大きくなります。

以前はこのあたりで,通信を断念したものですが,この先のトンネルは基地局工事が2016年6月に安中榛名駅まで完成。さらに,軽井沢を越えた佐久平の先まで,2018年3月31日から基地局の運用が開始されました。

そこで,現在では軽井沢を越えても,安定して通信できます。

東京から長野を超え,飯山まで約95分通信可能

軽井沢駅を過ぎて,右側に浅間山が遠く見通せる雄大な景観。

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以前は,ここまで通信が途切れていましたが,現在は東京から連続通信です。

なお,軽井沢駅前後で大きく減速するのは,軽井沢の観光需要に応えるために,在来線駅併設のルートに変更され,勾配とカーブがきつくなったからです。しかし,今となっては,かがやき号は全列車通過。経緯がわかる記事をリンクしておきます。

北陸新幹線の高崎−軽井沢間の線路選定

この先のトンネル内工事は,総務省のプレスリリースのように段階的に進み,2018年3月31日に飯山駅までが完成しています。

富山駅到着30分前から連続通信区間へ

そこから先は,2017年12月に富山―金沢間,2018年3月に黒部宇奈月温泉―富山,2019年2月に糸魚川―黒部宇奈月温泉間と工事が進みました。

2019年3月には糸魚川からさらに東側へ,10月で金沢―上越妙高までの工事が完成しています。

結局,連続して使えるのは,上越妙高駅手前から,金沢までです。目安としては,富山駅到着30分前,金沢駅到着50分前からです。

終着・金沢まで50分は連続通信可能

以前は,通信が途切れた富山・石川県境も,現在は工事が完了。連続して通信ができます。石川県内の短いトンネルをいくつか越え,はるか右奥に金沢医科大学とサンセットブリッジ内灘,手前にイオン金沢店が見えてきたら,金沢平野です。到着まで5分あまりです。

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到着後はホームのテーブル付き椅子が使える

幸い,金沢駅の新幹線ホームには,下の写真のように,サイドテーブルのある,ゆったりした椅子があります。この椅子は富山駅など,延伸したJR西日本区間で同じ。終着駅で,到着ホームの椅子は空いていますから,送り損ねたものはそこで改めてどうぞ。

金沢駅・新幹線ホームのサイド・テーブル付きの椅子

また,ホーム下になる新幹線改札内中2階にあるセブンイレブンには,イートイン用のカウンター席が数席あります。ただし,乗る前に使う人が多く,帰り客の多い午後から,満席ぎみです。

駅ナカ・カフェはRinto,あんと西に複数,あんとに1店

テーブルで作業を続けたいなら,新幹線改札を出ると,駅ビルのモール・金沢百番街にカフェが複数(リスト)。

カフェが多いのは,改札正面のRinto奥で,タリーズを含むカフェが4店。また,金沢港口側・あんと西には,和カフェを含んで4店。

一方,改札を出て左へUターンすると入口のある,あんとは,デパ地下タイプのおみやげもの売場と奥のレストランがメイン。手頃なカフェは,1店だけです。

実は,兼六園口を出て正面のエスカレータで地下へ下りた広場右側にも,無料で使えるテーブルと椅子があります。ただしそこは,冷暖房がありません。

一部に電源のあるスターバックスは兼六園口出て左すぐ

最寄りのスターバックスは,兼六園口(東口)を出てすぐ左。バス乗り場の2番乗り場付近に入口のある金沢フォーラス1階と6階に,2店舗です。

1階の店は窓側カウンター席に,6階の店は中央テーブル席などに電源があります。詳しくは別記事へ。

駅近にマクドナルドはなく,ファミレスが2店

意外にも,マクドナルドは,駅徒歩圏にありません。手頃なファミレスなら,近い順に,サイゼリヤ金沢駅西口店が駅金沢港口出て左すぐ,ABホテルのビル2階。

ガスト金沢駅前店が兼六園口を出て右に進み,ANAクラウンプラザホテルを越して,東横インの手前,駅から徒歩5分ほどです。

今後の工事はトンネル内に新たな回線が必要

トンネル内で携帯がつながるためには,そこに電波を届けられる位置に基地局が必要です。これはWi-Fiでも同じで,かりにルーターを列車に設置しても,トンネル外とつながる上流の回線が必要です。

では,乗務員はトンネル内でどうして指令所と交信できるのかといえば,列車無線という業務用の回線があるから。しかしそれは,運行に必要な各種信号と交信の音声用の規格で,多数の乗客の通信をのせるには,容量が圧倒的に足りません*1

短いトンネルには,電波を外から中へ飛ばす基地局を

工事で比較的簡単なのは,数百m程度のトンネルです。そこでは,指向性の強い基地局をトンネルの入口に置いて,トンネル内部の可能なところまで電波を飛ばす改良が,早い段階から進められています。下のKDDIの記事にあるトンネルは,上の写真の金沢駅周辺より少し東京寄りの,丘陵を抜けるものです。

上のGoogleマップの航空写真で,トンネル内のように見えるのに,電波の記録があるところは,そういう工事が効いています。そうしたトンネル出入口付近の基地局の増強は,現在までに完了しています。

長大トンネルには光回線の引込みとトンネル内基地局

一方、外から電波を飛ばすことに限界のある,長大トンネルでは,内部まで通信ケーブル(新幹線では光ファイバー)を引き込み,トンネル上部に数多くの基地局を敷設する工事が必要です。それは,電波を管轄する総務省の外郭団体が,億円単位の公的資金を投入して,はじめて進められる事業です。

2020年度に全国の新幹線全線完成が目標で,北陸でも最後の工事中

今後の大目標としては,2020年の東京オリンピックまでに,全国の新幹線全線で携帯・スマホの通信を可能とする方針と報じられています。

それまで,年単位の時間がかかる理由は,トンネル内では,新幹線が走らない午前1時ごろから5時ごろまでしか工事ができないことが大きいでしょう。しかも,現場の多くは深い山間部で,そこに人と資材を運ぶ必要があります。

トンネル内の工事概要と予算規模については,総務省で電波を管轄する地方部局である,関東(群馬),信越(長野・新潟),北陸(石川・富山)各総合通信局ごとに,以下で公式の発表がされています。

総務省関東総合通信局信越総合通信局北陸総合通信局

残るは,上越妙高駅周辺だけで,それも2019年度末までに完成の予定です。

*1:運転上の信号や指令所と乗務員の通話に使われる列車無線は,もともと全線で通信可能です。これは,トンネル内を含め全線に敷設されている,電波を漏洩する仕様の同軸ケーブルを利用しています。しかしそれは,音声と制御用の信号をやりとりする通信速度しかありません。
 それで,新幹線のトンネル内で乗客が持ち込む多数の携帯電話をふつうに通信させるには,大容量の光ファイバー回線を新たにトンネル内へ引き込んで,トンネル上部に,基地局を短い間隔で設置していく,面倒な工事が必要です。