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北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

ふわりとした握りで,魚介本来の味を堪能できる鮨・志の助

食事・カフェ

卵をまとう甘えびが,漁場が近い金沢の鮨を語る

北陸新幹線が開業して困ったことの一つに,すでに全国区となっている鮨店の予約がとりにくくなったことがあります。志の助さんもその一つ。ネット評価サイトでも,金沢の鮨店上位を続けていて,全国順位でもバナーがつくお店。

金沢の鮨の定番の一つは,水揚げの期間が比較的長い,地物の甘えび。

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尻尾をとった2尾を互い違いに握り,青い卵を載せる仕事。長くは持たない卵が添えられるのも,漁場が近いからできるもので,金沢を含め北陸に特徴的な一品。

定番の組みあわせといえるAKBの他の2つ,かに,ぶりは,晩秋からが漁期です。たとえば,香箱がには11月6日からの解禁。この他,のどぐろは後で写真を。

2015年11月で閉店となるレジェンド・小松弥助さんで修行された店のうち,金沢にある店としても知られています。なお,報道による追記ですが,小松弥助さんは2017年3月14日から,加賀屋グループが金沢駅兼六園口正面にもつ旅館・金沢茶屋別館で営業を再開するとのこと。当面は紹介客に限った予約と報道されています。

アクセスは金沢駅金沢港口(西口)からタクシーが現実的

お店は繁華街から離れた住宅地で,アクセスとして現実的なのはタクシー。金沢駅なら金沢港口(西口)の乗り場からの方が近く,駅からは10分ほどです。土曜の昼の帰りに金沢駅に向かう場合だけ,駅周辺で渋滞ができている場合があるので,もう少し余裕が必要かも。なお,日祝日は定休です。

バスなら金沢駅兼六園口(東口)11番乗り場から51,54,56番で米丸学校前か米丸住宅前下車。ただし,あわせて毎時2本程度で,繁華街を回るので21~23分。

金沢駅東口発の時刻表:平日土曜休日(このうち82番では行けません)

武蔵ヶ辻(いちば館前)や香林坊(アトリオ前)からは,同じバスが,それぞれ5分後,9分後の発車です。

お店は大通り沿いではなく,はじめての方は,スマホの現在位置情報を使った方が安心でしょう。

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お酒を飲むので,つまみから。北陸独特の万寿貝の焼き物。

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厚みのある身で適度な歯ごたえ。お酒は,冷酒なら,天狗舞,神泉,獅子の里と,お店のルーツである加賀地域の銘柄で,神泉があるのが小松だなと思わせる選定。それならと,天狗舞の純米大吟醸から。お米の味を感じるお酒。一方で,手取川を常温で提供と,白身の淡泊な旨みを引き立たせたい好みにも,合わせています。

お造りの一品目は,締め鯖,赤いかの耳,がすえび。

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がすえびは,北陸独特のもの。鮮度が必要で,他地域では見かけません。

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赤色の甘えびに比べて,色は褐色になるのですが,一方で,甘味というか旨味がやや強くなるもの。見かけは甘えび,味ならがすえびという使い分けもできそうです。最近では,金沢の鮨店の定番。

海老はもともと丸まっているもので,何かに乗せて背側を丸めると,おいしく見えますね。このブログでは,PCやタブレット用のトップページの写真に,別の日本料理店で食べた甘えびのお造りを載せているのですが,そちらは山芋の短冊切りに乗せています。

冷酒のグラスは,石川県の九谷焼に江戸硝子を合わせたもので,鏑木商舗などが扱うもの。現代の伝統工芸でのおもてなしです。

あわびも地物だけに,お造りから

つまみの二品目は,あわびもお造りで。すだちの下に,あわびの「足」も添えられています。

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しっかりした歯ごたえと,噛みしめるほどに広がる独特の旨味。同じくあわびで作られた肝酢を少しつけることで,香りとこくが増します。

そして甘鯛の昆布締め。

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白身は日本酒とよく合います。これがあるから日本酒を選ぶことになる,優しい味わい。ワインだと,白身の昆布締めの味などは,わからなくなるので,日本酒でいきたいところ。

もちろん,この水準の鮨店ではワインもありますので,お魚に応じてワインが好きな方もどうぞ。赤身なり青魚の強い味なら,ワインにも負けません。

包丁仕事の赤いかから,のどぐろ,甘えびへと地物中心に

たっぷり飲んでしまったので,ここから握りに。赤いかには,限界のような細かさで包丁を入れて。小松弥助流の包丁仕事が受け継がれています。

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にぎりも小松弥助流にふわりとしていて,ほっとするひととき。これだけ包丁を入れても,崩れないのが,近海物の赤いかで,歯ごたえもうまみも濃厚です。

定番となった,のどぐろを。

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白身なのに適度な脂身が,口の中でほどけてゆきます。淡泊なおいしさが,また食べたくなる,よい頃合い。

そして,冒頭の写真に挙げた,青い卵を載せた甘えび。これは別日で,広く写した写真を。

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適度な熟成でしっとり甘めのねたに,ふわりとしたにぎり。酸味とは違う方向性の旨みです。入荷状況によらずに提供するために,最近は甘えびを「づけ」にする鮨店も出てきていますが,出せない日があったとしても,この天然の甘味の方がおいしいです。

こちらも北陸特有のばい貝。 

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こりこりの食感にあっさりした旨味で,万寿貝とは対照的。

そして,まぐろの赤身。

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冷酒は,獅子の里へと。冷酒グラスも二杯目で,九谷の色使い。

うにはお茶漬け風の一品として

さて,甘味が濃厚な,えぞばふんうに。

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しゃりの色あいでわかるように,しゃりも含めた一品。にぎりというよりは,ふわりとお茶漬け風に食べるもので,このふんわり感が小松弥助流でしょう。

まぐろのとろを炙りで。

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変化のある味わいに,細かな包丁仕事。続くあじも,ていねいな仕事。

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地物のあじは新鮮で,青魚でも本来の甘味が生きます。

甘鯛の昆布締め。

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あっさりとしたやや甘めの旨みが続きます。しゃりも含めて,酸っぱくない,くどくないのが,こちらの鮨店のおいしさです。

先ほどのあわびも,蒸しあわびで握りで。

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穴子はふんわりした握りで,ゆずと塩でいただきます。

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あっさりとした仕上がりで,くどさがありません。

こちらも,小松弥助ゆずりというか,赤いかの足の部分を柔らかい仕立てで。

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とけゆく甘いおいしさ。さらに,こはだ。

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がすえびも握りで。

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甘えびよりも,こくのある仕上がり。見た目は甘えびですけれど。

小鯛を,大根おろしとともに。

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細工がしてあって,引き締まったうまみです。

もう一度,あわびを塩で。

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どちらかといえば,しゃりも酢締めも酢はあっさり,しゃりは程よい柔らかさで,堅いわけではありません。握りはふわっとしたところで止めています。とがった味ではなく,おだやかな味を好まれる方向けでしょう。

もうしばらくすると香箱蟹が解禁になり,ぶりの大きいものが入ります。あとは,他に変わる味のない,ぷりぷりとろとろの白子かな。行かなくてはです。

全国区となった店で席数が少ない名店は,新幹線の開通で,予約をとるのが大変になりました。酢締めよりも魚介本来の味を求める志向では,なかなかないお店。

タクシーで住宅街へというアクセスと,もう一軒飲みにいく場合,帰りもタクシーで10分ほどの繁華街・片町か金沢駅兼六園口側に戻ってになる,という問題さえ納得すれば,満足度は高いです。