北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

東京から軽井沢へ速いはくたか:えきねっとにトクだ値はないが,JR西日本のeきっぷは約1割引

消費税率改定にともなうご注意:

2019年10月1日から消費税率が8%から10%となります。鉄道のほとんどのきっぷも,値上げの認可申請中か届出予定で,10月以降の割引きっぷの価格は未公表です。

ただし,9月30日までに購入したきっぷで,10月1日以降も有効のものは,差額の必要なく,そのまま使えます。

契約の成立時期及び適用規定 旅客営業規則第5条|JR東日本

東京↔軽井沢にもあるJR西日本の割引きっぷ

首都圏から北陸新幹線で1時間のリゾート,軽井沢。その北陸新幹線がJR東日本と西日本にまたがることが生む,謎の現象があります。

東京・軽井沢間はJR東日本ですが,条件によってはJR西日本の割引きっぷの方が安くて,役に立つ,という裏技です。結論を先に:

  • JR東日本の割引きっぷ・えきねっとトクだ値は,軽井沢まではあさま限定で,はくたかに設定がない。発売は原則当日未明までで,直前には買えない。
  • JR西日本のeきっぷは,あさま・はくたかともに設定され,約1割引。当日の発車6分前まで購入と変更が可能。北陸新幹線停車駅と東京都区内駅でも受け取れる。
  • トクだ値のない列車(はくたか全てと,あさま完売後)は,紙のきっぷではJR西日本のeきっぷが最安になる。とくに,あさまのない時間帯で役立つ。
  • 発車6分前まで購入できる最安のきっぷに,モバイルSuica特急券があるが,1席に1端末が必要。

JR東日本と西日本の割引きっぷを比較すると

東京・軽井沢間はJR東日本で,割引きっぷなら,えきねっとのトクだ値を考えるのがふつう。しかし,割引きっぷは,JR西日本にもあります。それらを比較すると,こちら。

東京・軽井沢間の割引きっぷ(通常期:円)
割引きっぷの種類 対象 合計 特急券 乗車券
通常の運賃・料金 みどりの窓口・
指定席券売機など
5910 3320 2590
えきねっと
トクだ値10, 15
JR東日本
えきねっと会員
5310,
5020
あさま限定・席数限定
当日の午前1時40分までの購入
メンテ時は前日23時40分まで
お先に
トクだ値30, 35
4130,
3830
あさま限定・席数限定
13日前の午前1時40分までの購入
メンテ時は14日前23時40分まで
モバイルSuica
特急券
(モバトク)
JR東日本
モバイルSuica会員
5150 席ごとにモバイルSuicaが必要
eきっぷ JR西日本
J-WESTカード会員
5250 2660 2590

モバイルSuicaは当日までほぼ最安だが,1席1台

モバイルSuicaがあれば,発車6分前までモバイルSuica特急券(モバトク)が買えます。東京—軽井沢では,はくたか・あさまともに設定があります。トクだ値の高割引率のものがない限り,料金も最安です。

ただし,1席に1台が必要。グループ旅行で,まとめて買ってきっぷを渡す使い方ができません*1

ただし,東京―軽井沢にはスーパーモバトクがない

JR東日本の新幹線全般に最安の商品として,モバトクを,前日までの購入で大幅に割り引いた,スーパーモバトク(スーパーモバイルSuica特急券)があります。しかし,東京—軽井沢では設定がありません*2

JR西日本のeきっぷは全駅間・全列車に設定

知られていないのは,JR東日本で完結する東京―軽井沢にも,JR西日本のeきっぷの設定があることです。上の表のeきっぷのリンク先は,JR西日本のeきっぷの説明ページですが,そこには主な区間だけが乗っていて,見落とすところ。

ところが,金額のところにリンクを付けた,設定区間すべての料金表のpdfを見ると,北陸新幹線の全駅間に設定があることがわかります。また,eきっぷは席数限定でもなく,無割引の席と同じ残席です*3

トクだ値の東京↔軽井沢は,あさま限定

東京から軽井沢なら,まず調べる,えきねっと・トクだ値は,長野止まりのあさまに限られます。佐久平・上田・長野へも同じです。理由は,ほぼ各駅停車のあさまと,通過駅があって少し速いはくたかの乗車率を,平準化するためでしょう。はくたかにトクだ値の設定があるのは,飯山から先です。

JR東日本えきねっとでは,はくたかに割引なし

現在の北陸新幹線は,長野以北の乗車も好調で,あさまがなく,はくたかが続く時間が結構あります。たとえば,東京駅を平日の朝8時以降に出発し,昼前に軽井沢へ着こうとすると,こんな感じ。

f:id:KQX:20170521120700p:plain

たしかに,はくたかは灰色のーマークで,トクだ値が買えません。臨時列車のない平日は,あさまは午前7時24分発の次が9時44分。この2時間20分の間には,はくたかが3本続きますが,JR東日本のえきねっとでは割引がありません。

ようやく割引のあるあさまの普通車も,無割引のものは○マークですが,トクだ値は△マーク。理由は,トクだ値が席数限定だからで,そのうち完売の可能性が大です。

JR西日本e5489では約1割引のeきっぷが買える

同じ時間帯を,eきっぷが買えるJR西日本のe5489で見ると…

f:id:KQX:20170521121656p:plain

eきっぷが,はくたか・あさまとも○表示で,残っています。eきっぷは席数限定ではなく,無割引の特急券と同じ残席になります。乗車券込みで,無割引なら5910円のところ,5250円との表示です。

この時間帯,軽井沢まで最安はJR西日本のeきっぷ

平日朝8時から9時台に東京駅を出て,軽井沢にもっとも早く着く列車は,はくたか。それに乗れる紙のきっぷで最安なのは,JR東日本ではなくJR西日本のeきっぷです。

f:id:KQX:20170521141726j:plain

JR東日本なら紙の特急券では割引がなく3320円する列車が,JR西日本のeきっぷなら2660円。自社より他社の方が安くなる謎です。券面のように,JR西日本e5489によるeきっぷは,発売箇所はJR西日本の予約センター,しかし発券は東京駅のMV(指定席券売機)です。

購入はJ-WESTカード会員限定だが,使えば年会費無料

購入の条件は,JR西日本のクレジットカード,J-WESTカード会員で,事前に加入しておく必要があります。しかし,ベーシックタイプなら,前年に1回でもショッピング利用があれば年会費は無料

会員が購入する限り,複数人分でも買えます。ただし,発券と発券後の払戻しなどにはカードが必要。他人の分については,事前にきっぷを発券して渡せばよいですが,発券後に払戻す場合は,そのカードが必要で面倒なことになります。

発券は北陸新幹線の駅と東京都区内駅で可能

eきっぷはJR西日本のきっぷですが,乗車前の受取りは,北陸新幹線の駅すべて(JR東日本管内を含む)と東京都区内の駅の指定席券売機と窓口でできます。たとえば,東京,新宿,大宮,軽井沢などで受け取れます。気になる方には,JR東日本の指定席券売機の設置駅ページに,駅ごとにe5489のきっぷ(eきっぷなど)を受け取れるか表示があります。

また,吉祥寺や川崎など東京都区外の駅からJRに通して乗る場合は,東京など新幹線に乗る駅の乗り換え改札手前にある指定席券売機で発券できます。その場合,新幹線に乗り換える駅までは,いつものSuicaなどで乗車できます。

新幹線乗り換え改札では,券売機で発券したこのきっぷを投入後,乗ってきたSuicaをタッチで精算されます。発券と乗り換え改札通過の手順は,えきねっとトクだ値と同じです。

発券できない例外は,JR東日本と西日本以外の区間(たとえばJR東海)も含むきっぷで,東京―軽井沢の往復だけなら無関係です。その事情は過去記事に。

変更と払戻し:発券前ならネットで完結するが…

JR東日本の区間なのに,JR西日本のeきっぷが安い場合があるという話。注意点は発券後の払戻しです。eきっぷには,変更・払戻しの細かな説明がついています。

まず,発券前の変更や払戻しは,ネットで発車時刻6分前までできるので,無問題。変更は,eきっぷが発売されているすべての区間へ可能で,1か月先までの列車に変更できます。

払戻しも発券前ならネットで手続きが完結し,手数料330円が差し引かれてカードへ返金されます。

発券後の変更も,同日の違う列車へは,eきっぷ発券駅で可能

発券後の変更でも,同じ区間で,同じ日の違う列車に替える場合は,金額が変わらない限り,発券できる駅すべてで可能です*4。たとえば,1本早いとか遅い列車への変更なら,発券後でも東京駅,大宮駅,軽井沢駅などで可能です。もともと発券できない,吉祥寺,川崎,浦和などではだめです。

なお,特急券の変更全般に,遅い列車に替える場合も,券面の発車時刻までに窓口での手続きが必要です。

発券後の払戻しはJR西日本の駅だけ

面倒なのは,発券後の払戻しで,JR西日本のみどりの窓口だけです。首都圏からは最短で,糸魚川か米原。主要駅では,富山・金沢・京都・新大阪などです。

これら窓口に行けないときは,期限までにJR東日本の駅の窓口に行き,払戻しを申し出た証明をもらい,その1年後までにJR西日本の窓口に行って払い戻しを受けることになります。

払戻しは,購入したJ-WESTカードへの返金で,窓口にそのカードの持参が必要。それで,関西に行く人に払戻しを頼むこともできません。

そういうわけで,時間以外の変更がありえる用途では,乗車が確実な時点まで粘って発券が無難。むしろ,eきっぷは,発車時刻6分前まで,ネットで購入・変更・払戻しできる強みを活かすものといえます。

*1:モバイルSuica特急券をグループで利用するなら,席の分だけ各自がスマホなどを用意して,各アプリで出てくる座席表から,隣り合わせの席を選ぶ面倒があります。その間に希望の席が埋まれば,やり直しで,混雑時は大変です。
 また,変更や払戻しも,そうなる人の端末で個別に行うことになります。とくに減員で,席の真ん中の人がキャンセルする場合,その席に他の客が入らないようにするには,他の席の変更も必要となります。

*2:北陸新幹線でスーパーモバトクの設定があるのは,東京・上野・大宮—富山・新高岡・金沢だけです。

*3:JR西日本のネット予約で,席数限定となっているのは,早特タイプのWEB早特1とe早特1ですが,もともと東京・軽井沢間に設定がありません。

*4:eきっぷは,区間ごとに一律の料金体系なので,同一区間の列車変更だけで金額が変わる事態は,グランクラスでフルサービスからシートサービスに変わるか,その逆ぐらいでしょう。その変更ができずに困る事態は,まれと思われます。