この記事は,2019年10月からの運賃に改定済みです。
ルートが増えた福井へはどう買うと安いのか
北陸新幹線が金沢まで開業し,東京から福井へは東海道新幹線米原乗り換えと北陸新幹線金沢乗り換えが選べるようになりました。それら料金の比較と買い方の紹介です。
片道なら東海道経由が最速・最安だが
東京から福井間の片道を誰でも駅で買えるきっぷで比べると,今まで通り東海道新幹線米原乗り換えが最速・最安です。この区間の距離では乗車券に往復割引はなく(適用は600km超),単純な往復では倍額になるだけ*1。各種乗り換え案内サイトでは,その答です。
しかし,片道東海道新幹線,片道北陸新幹線と一周するルートはさらに安く,以下のようです。東京から福井往復で最安なのは一周ルートです。
経路 所要時間例(乗換を含む) |
乗車券 (片道) |
特急券 (片道) |
合計 (往復) |
---|---|---|---|
東海道新幹線・米原経由 3時間26分, 545.8km |
8910 | 6010 | 29840 (29640)*3 |
北陸新幹線・金沢経由 3時間30分, 527.2km |
8580 | 7760 | 32680 |
東京→米原→福井 →金沢→東京,1073km |
13200 | 13770 | 26970 |
結局,よくある東海道往復より2870円安い,26970円で一周できます。ポイントは,片道の乗車券2枚を,一周する通し乗車券とすると,片道2枚の合計よりも,4290円も安くなることです。
割引きっぷなら北陸が安くなるが,それでも最安は一周ルート
割引きっぷもルートに応じてありますが,年齢制限がないものでは,一周が最安です。
経路 会員・きっぷの種類 |
乗車券 (片道) |
特急券 (片道) |
合計 (往復) |
|
---|---|---|---|---|
東海道新幹線・米原経由 | ||||
EX予約*4 | e特急券 | 8910 | 5880 | 29580 (29380)*5 |
参考:東京往復割引きっぷ(東京発は設定なし) | 26060 | |||
北陸新幹線・金沢経由(下3つの比較) | ||||
e5489会員 | WEB早特1 | 14790 | 29580 | |
J-WESTカード | eきっぷ | 8580 | 6850 | 30860 |
e早特1 | 13900 | 27800 | ||
50歳以上: 大人の休日倶楽部北陸フリーきっぷ | 22410 | |||
東京→米原→福井→金沢→東京(逆回りも基本的に同額) | ||||
EX予約 | e特急券 | 13200 | 13640 | 26840 |
J-WESTカード | eきっぷ | 13200 | 12860 | 26060 |
上の両会員*6 | 13200 | 12200 | 25400 |
e5489はネットですぐ会員登録でき,多くのクレジットカードで買えるもの。J-WESTカードはJR西日本のクレカです。早特1は,前日23時30分までの購入で,変更に制限があります。いずれも発券は,JR西日本の主要駅と北陸新幹線各駅でできます*7。
EX予約は東海道・山陽新幹線の会員割引で,提携のクレカが必要です。EX予約の発券は,JR東海・JR西日本の主要駅でできますが,JR東日本ではできません。
乗車券は長距離ほど割安で,一周ルートが得に
JRの乗車券には,遠距離になるほど1kmあたりの運賃が安くなる遠距離逓減制が仕組まれています。そこで,乗車券を長い距離で作れるほど,割安になります。
1枚の乗車券を作れるのは,一度通った駅をもう一度通るところまで。すると,交わらず一周する乗車券は,1枚にできます*8。上の一周するコースの乗車券は,東京都区内→東海道新幹線→米原→福井→金沢→北陸新幹線→東京都区内の1枚になります。
この一周の乗車券は7日間有効で,(東京都区内以外では)途中下車可能なもの。そこで,福井でも金沢でも途中下車でき,所用のほか観光や食事も,都合のよい所でできます。
これに加えて,乗る特急ごとに特急券が必要です。このルートの,米原―福井と福井―金沢の特急券には,新幹線との乗継割引が適用されます。乗り継ぐ特急券のペアは,同時に購入する必要があります*9。乗継割引の適用は,新幹線→在来線は当日限り,在来線→新幹線は翌日までです*10。
乗換案内アプリ等では一周すると安くなることがわからない
行きと帰りで一周する乗車券も考慮した料金比較は,各種乗り換え案内アプリではできません。行きと帰りで異なるルートを探し,料金を計算する手順が複雑だからです。
そこで,東京から福井の運賃計算をいくらアプリで行っても,この記事の内容は出てきません。他のルートに応用する場合も,個別に計算するしかありません*11。
米原で新幹線に乗るか降りるか:降りる方が楽
以上の一周ルートは,逆回りでも乗車券は同じ金額です。特急券も,ふつうの同日乗り換えなら,逆回りでも同額です。時間に制約のある出張などでは,ダイヤで決めた方がよいでしょう。
両方向のダイヤのどちらでもよければ,東海道先回り・北陸後回りをおすすめします。理由は,東海道新幹線よりも北陸新幹線の方が空いていて,乗り換える金沢が始発だからです。
金沢から乗る北陸新幹線は,大型連休や帰省シーズンでなければ,指定席も楽にとれます。また,520円安く済ませるなら,自由席のある「はくたか」があり,時間は30分ほど長くなりますが,金沢が始発で,まず座れます*12。
一方,米原から乗る東京行「ひかり」は新大阪始発で,指定席は金土休日を中心に満席に近くなります。その自由席では,新大阪・京都からの乗客がすでに座っている中で,残る空席を探して歩く面倒があります*13。
慣れないうちの購入は窓口へ:券売機に難あり
一周するような乗車券は,指定席券売機での発券には工夫が必要で,どうしても窓口へ誘導される区間もあります。慣れないうちは,みどりの窓口や旅行会社での購入をおすすめします。
経路をすべて伝えて,一周で一枚になることを確認する
窓口では,乗る経路をすべて伝えて,「乗車券は一周する一枚になりますよね」と念を押せば十分。東京周辺の主要駅や北陸では,よくある要望なので,慣れた対応です。
それ以外の駅やツアーの販売がメインの旅行会社では,この経路が一枚の乗車券になると,窓口氏が気付いていない場合があります。そういう場合は,1枚になるはずと付け加えましょう。
経路や列車名は長くなるので,メモを見せた方が早いです。面倒な場合は,よくある乗車券の画像をプリントして,こういうのを買いたい,列車はこれ,でよいです。回る向きと乗車日にはご注意を。
特急券は後で券売機で買える:時間のあるときに乗車券だけ買っておける
乗る列車が決まっていないときは,一周する乗車券だけを先に買って,特急券は後で券売機や窓口で買うこともできます。特急券に,別のネット割引を適用したい場合(EX予約のe特急券やJR西日本のeきっぷ等)もそれでよいです。
もちろん,その窓口で発券できるネット割引の特急券などの場合は,(先にネットで予約しておけば)窓口での乗車券の購入と同時に発券してもらえます。
ただし,乗車券と特急券一体の割引(東海道のEX-ICやスマートEX等)とは併用できません。それよりも,一周乗車券が安くなるということです。
一周経路の一部だけ乗車券を買ってしまうと割高に
予習がなく,東京から福井までの列車だけを購入したいというと,窓口氏もその先の行程がわからないので,通常の東京都区内から福井までの片道の乗車券・特急券を出して終わりです。
もちろん,その場で求めるものと違うことを伝えれば,希望の乗車券に変えてくれます。
購入後に,一周するルートの方が安いことに気付いた場合,乗車券は乗車前1回限り無手数料で,別の乗車券に変更ができます。窓口で,東京都区内から福井までのふつうの乗車券を出して,一周する乗車券に変更を頼めばよいです。差額が無手数料で精算され,損はしません*14。
(無割引ですが)往復乗車券の形式になっている場合は,(ゆき・かえり)2枚を1組とみなし,一周する乗車券1枚に変更するルールです*15。
指定席券売機での購入は発駅と着駅をかえる工夫
券売機やえきねっとの仕様がわかってくると,一周乗車券を券売機やネットでも購入できるようになります。
トラップは,指定席券売機やえきねっとの場合,発駅と着駅が同じ経路は,誤入力や誤用防止のためか,窓口への誘導やエラー表示になることです。
発駅と着駅を発着の都市内で別に用意
都区内駅や市内駅発着となる乗車券では,一周する乗車券を券売機やネットでも買える工夫があります。
乗車券だけ別の購入とし,発駅と着駅として,発着となる同じ都区内や同じ市内の中で(経路が交わらないような)別の駅を入力するのです。
たとえば,東京都区内から東京都区内まで一周する乗車券を買うなら,発駅を東京でなく近隣駅・品川などとし,特急に乗ることを選択します。その先を,
品川→東海道新幹線(ひかり)→米原→北陸本線(しらさぎ)→金沢→北陸新幹線(かがやき)→東京
と入力します。
ここで,福井でしらさぎを降りる,と入力してしまうと,4列車以上の乗車券となり,窓口誘導となって買えません。券売機で買えるのは,3列車の経路までで,以下のような選択を仕立てます。
この経路は201km以上なので,発着駅の品川や東京は,東京都区内に置き換えられます。すると,東京都区内発→米原→金沢→東京都区内着13200円の乗車券が発券されます。それが先の写真のもので,念のため再掲します。
購入した乗車券では,入力した駅とは関係なく,券面の内容が適用されます。東京都区内どの駅からでも乗れ,どの駅で乗り終えても構いません。つまり,品川も東京も,この乗車券を買うための「ダミー」なのです*16。
そして,券面のように,東京都区内の駅以外なら途中下車できます。たとえば,福井や金沢です。それら駅で降りてもこの乗車券は回収されず,自動改札機から出てきます。乗車ごとに必要なのは特急券だけです。
乗る新幹線駅は選べる:ただし特急券はその駅から必要
なお,在来線と新幹線が並走する上野―東京―品川は,運賃計算上,新幹線は在来線と同一の線区の扱いです。それで,この乗車券では,東京からでも品川からでも東海道新幹線に乗れます。北陸方面でも東京乗車・上野乗車ともに使えます。
もちろん,特急券は,実際の乗車駅から降車駅までのものが必要です。
同じ都区内・市内に一周を回避できる駅がないと券売機やえきねっとでの購入は無理
発着の都区内または市内駅で,「ダミーの発着駅」を工夫できないところでは,券売機やえきねっとでの購入は無理で,窓口に並ぶしかありません。工夫できないのは,都市制度がない地域の駅が発着の場合(大宮,高崎,金沢,福井など)や,都市内駅の発着でも,京都市内のように周回経路の駅(山科)が市内駅の端で1駅だけある場合です。
えきねっとPC版の乗車券単独購入ボタンからも買える
えきねっとで買うなら,乗車券だけを買う機能が使えます。この機能はPC版だけにあるので,スマホならブラウザでPC版の表示をさせます。
すると,以下のような発着駅と経由する途中駅の指定画面が現れます。そこで,乗車駅:品川,降車駅:東京,経路指定の途中駅:米原,福井などと入力してください。
乗る経路を選択肢から選ぶと,以下の乗車券が確定します。
画面では品川→東京が13200円と出ますが,実際には東京都区内→米原→金沢→東京都区内の乗車券が発券されます。
あとは,登録してあるクレジットカードを持参して,指定席券売機で発券するだけです。その際,クレカの暗証番号が必要で,それがないプリペイドカードや,クレカの紛失時などは,窓口対応となります。
福井から東京往復は東海道経由の割引きっぷが安い
ところで,逆方向の福井からの東京往復はどうでしょうか。
福井からの東京往復では,J-WESTカードでEX予約もできる会員なら,専用のe特急券とeきっぷをすべて適用することで,上の一周ルートが最安になります。会員限定の割引きっぷの表の最下行です。
それ以外の一般向けには,福井周辺から東海道経由での東京往復用に,東京往復割引きっぷが26060円で発売されています。ゴールデン・ウイークやお盆と年末年始を除いた販売ですが,誰でも買えるものでは最安値です。
逆方向の首都圏→福井方面は発売なし
しかし,逆方向になる,首都圏発の東海道経由での福井方面では,発売されていません。福井周辺発を発売できるのはJR西日本,東京・新横浜発を発売できるのはJR東海で,両社の考え方の差です。
前者だけで発売される理由は,このルートでの割引が,自社管内(北陸本線か東海道新幹線か)の収益をどの程度高めるか,判断の違いによるものでしょう。
羽田―小松便も新幹線に連れて大幅値下げ
ところで,東京―福井の出張だと,羽田―小松便を使える企業も多そうです。たとえば,前日まで購入できる日本航空の特便割引は,曜日や時間帯によって差がありますが,平日13000円台から設定があります。
これに空港アクセスの交通費が加わりますが,時間短縮のメリットもあわせると,いいところを突いています。前日まで買える割引運賃でも,北陸新幹線開業以前は17000円前後の水準で,驚くほどの値下げです。
よく,福井には北陸新幹線開業の効果はあまりないと言われますが,一つだけ確実に見える効果はありました。それは,羽田―小松便を大幅に割引させたこと。飛行機なら,新幹線開業前に比べて,往復で8千円ほどの値下げとなり,出張費用の削減に効いてくるはずです。
50歳以上の会員限定割引きっぷ22410円
最後に,割引率が破格となるのが,50歳以上の会員限定割引きっぷです。JR東日本では大人の休日倶楽部,JR西日本ではおとなびと呼ばれ,その会員限定で,北陸フリーきっぷ,首都圏往復フリーきっぷがあります。
東京からはこれだけで福井まで特急で
東京発の北陸フリーきっぷは,東京から金沢までの北陸新幹線往復(普通車指定席)と,金沢から福井を含むフリー区間の特急の自由席を含んで22410円。金沢から福井が自由席でよければ,これだけで東京から福井まで行けます。
金沢から福井までの特急は,金沢始発が毎時2~3本ほど。逆方向も大阪・名古屋・米原始発の特急から福井下車がごっそりあって,空席ができる区間です。週末の特定時間や大型連休,帰省期間でなければ,ほぼ座れます。
この価格,一周ルートの工夫も大きく下回り,航空機もかなり前の購入でないとかないません。気が向けば金沢,富山,和倉温泉などフリー区間各所で,何度も途中下車でき,その間も特急の自由席で移動できます。詳細は別記事に。
一方,北陸からの首都圏往復フリーきっぷには福井発がなく,加賀温泉発が23430円で,そこから金沢まで在来線特急の自由席が使えます。福井・加賀温泉間は乗車券590円,自由席特急券760円で,往復分追加すると26130円。先述の東京往復割引きっぷを上回ってしまいます。
福井からは,東京周辺のフリーエリア(鎌倉や高尾などもカバー)をある程度乗る場合だけ,買う価値があります。その詳細も,上の記事へ。
*1:究めるなら,次のような工夫はできます。往復割引(1割引)の適用を受けるため,600km超になるまで延ばした乗車券をつくった方が,かえって安くなる,という昔からのアイディアです。
東京都区内→米原→福井の乗車券は545.8kmで8910円,往復では割引なく倍額で17820円です。その乗車券をあえて600km超に伸ばすように,東京都区内→米原→福井→小舞子・金沢間各駅とすると,602.9kmから622.5kmで片道9790円。往復では1割引で17620円となり,往復では200円安くなります。福井から先は,乗らずに捨てても安くなります。帰りも,途中の福井から乗車できます。
以上は,よく紹介される乗車券,東京都区内→大阪市内(片道8910円・往復17820円)を,より遠くの東京都区内→明石や東京都区内→和歌山(片道9790円・往復17620円)まで買った方が安くなる現象と,金額も同じです。
ただし,指定席券売機で発行される領収書の区間表示は,目的の駅より先になるため,それが経費の精算などに求められる場合は,注意が必要です。
*2:繁忙期は,特急料金が通常期プラス200円,閑散期は同じく通常期マイナス200円となるため,通常期以外でも各ルートの料金の大小関係は不変です。
*3:600km超に適用される往復割引を受けられるように,乗車券を東京都区内→米原→福井→小舞子から金沢の各駅などと延長したときの計算です。
すると,乗車券は片道9790円と高くなりますが,往復では1割引されて17620円となり,福井までの無割引のものよりも200円安くなります。
この場合,行きの乗車券は福井から先,乗らずに捨てて構いません。帰りの乗車券も,途中の福井から乗ることができます。
なお,東京都区内→米原→福井の片道乗車券(8910円)を,東京都区内→川崎(310円)と横浜市内→米原→福井(8360円)に分割すると,計8670円で,240円安くなります。これは階段状に上がる運賃計算の切れ目で起こる偶然で,川崎が乗車券の規則上は横浜市内駅になるのに,横浜以西の運賃計算は横浜駅起点で行われることも効いています。以上は,乗車券の分割で安くなるまれな事例の一つで,細かい話になるので,事実の指摘にとどめます。
*4:東海道新幹線のEX予約では,新幹線駅間だけの乗車券と特急券をセットで割り引くEX-ICが最安で,ほかに特急券だけを割引くe特急券があります。
東京から米原乗り換えで福井まで乗る場合は,EX-ICだと,在来線の米原―福井の乗車券を別に買うことになり,東京都区内→福井まで通しの乗車券が使えるe特急券の場合より,かえって高くつきます。この記事のように,乗車券は遠距離逓減制の運賃で計算され,通し計算できるところを分割すると,割高になるからです。
そのため,新幹線から乗り継ぐ在来線区間が長くなるほど,EX-ICよりも,通し乗車券+e特急券が安くなっていく傾向です。どちらが安いかは,EX予約運賃ナビで判定できます。
なお,東海道新幹線をe特急券にすると,米原―福井の特急には乗り継ぎ割引が適用できません。それでも,e特急券の割引額が在来線特急の乗継割引額を上回るため,東京→福井では,e特急券の利用がわずかに有利となります。e特急券を買うのと,通常の特急券で乗継割引を適用させるのと,どちらが有利になるかは,区間によります。
なお,EX予約のような割引を,手元のICカードで実現するスマートEXも,EX-ICと同様に,乗車券と特急券セットの割引で,在来線区間が長くなる福井までは不利です。
*5:乗車券に往復割引を適用させるため,距離が600km超となるように,東京都区内→米原→福井→小舞子から金沢などの各駅と延長して,福井から先を捨てるときです。
*6:特急券の内訳は,東京―米原EX予約e特急券4150円,米原―福井eきっぷ(他社のため乗継割引の適用不可)1180円,福井―金沢eきっぷ(乗継用)590円,金沢―東京eきっぷ6140円です。
*7:e5489の発券は,JR西日本,JR九州,JR四国の主要駅と北陸新幹線各駅および東京都区内各駅でできます。
ただし,例外的にできないきっぷが,JR東海区間(東海道新幹線)を含むものです。ここで紹介したe5489のきっぷでは,北陸新幹線金沢乗り換えの場合は,JR東海区間を含まず,原則通り東京を含む北陸新幹線各駅と福井駅で発券できます。
一周ルートの場合は,JR東海区間となる東海道新幹線部分はEX予約を使うため,福井・金沢などJR西日本主要駅でも発券できます。
むしろ,EX予約の発券ではまりやすいのは,JR東日本の券売機では,発券できないことです。
*8:このルールによって,6の字状の乗車券は作れますが,書き順通りの9の字状は作れません。関西から東海道・北陸を回るルートを考えると,そのことが問題になります。
*9:乗車券は別に買っておいてもよいです。ルール上は,乗り継ぎ割引となる特急券を窓口で購入する時には,乗車券もあわせて買うか,その区間に有効な乗車券を提示する必要があります(旅客営業規則第57条の2第3号)。
しかし,対面でない指定席券売機で,特急券だけの購入や,ネットで予約した特急券の発券ができる現在では,この規定は厳格には守られていません。
*10:たとえば,福井→金沢の特急券に乗継割引が適用されるのは,福井→金沢の翌日までに,金沢から北陸新幹線に乗る場合です。しかし,逆回りでは,北陸新幹線を金沢で降りた当日中に金沢→福井の特急に乗る場合だけになります。
*11:一周すると安くなり,実用性もあるルートと目的地としては,以下の例があります:
・東京都区内→あずさ→松本→しなの→長野→北陸新幹線→東京都区内
・名古屋市内→しなの→長野→北陸新幹線→軽井沢→北陸新幹線→東京→東海道新幹線→名古屋市内
・京都市内→サンダーバード→金沢→北陸新幹線→長野→しなの→名古屋→東海道新幹線→京都市内
最後のルートを大阪方面からと延長すると,湖西線と東海道本線が分岐する山科まで一周する部分と,山科から大阪方面まで重複する部分の片道2枚の乗車券になります:
・大阪市内→サンダーバード→金沢→北陸新幹線→長野→しなの→名古屋→山科
・山科→大阪市内の目的の駅
以上を2枚の乗車券(あわせて買えば連続乗車券)とすれば,金沢経由か名古屋経由で同じルートを往復する場合よりも,安くなります。
*12:かがやきは全車指定で自由席がありません。自由席特急券で乗ってしまうと,指定席との差額分(通常期で520円)が徴収されます。
現在のシステムでは,車掌の端末に通信機能があり,区間ごとに,指定席の発売記録のある席とない席が区別できます。発売記録のない席に誰かが座っている場合だけ,車内改札が行われ,必要なきっぷがなければ,追加料金が徴収されます。一見,車掌は巡回しているだけのように見えますが,手元の発売記録と着席状況が照合されています。
*13:新幹線の自由席が最後に埋まるのは,3人掛けの真ん中席です。途中駅乗車では,空席のようでもトイレに行っているだけかわかりにくく,さらに通路側の客が寝ていたりすると,声をかけにくいものです。結果として,真ん中席が空席のまま放置されるのをよく見ます。
*14:実は,乗車後でも乗車券の変更は無手数料で,それがよくある乗り越し精算の位置づけです。
ただし,変更前の乗車券が100km超のもので乗り越すと,(差額精算ではなく)乗り越した区間を別に購入した場合の金額が徴収されるルールです。それで,福井に着いてから,その先同じ方向を進んで東京まで乗り越そうとすると,結局,東海道経由と北陸経由の片道乗車券を1枚づつ買った金額を求められます。それでは,運賃の遠距離逓減の効果は得られません。そのため,こうした長い経路への変更は,乗車前に済ませる必要があります。
*15:行き帰り別の乗車券2枚を買ってしまった場合は,1枚が変更の対象にならず余ります。余った1枚は,窓口に出向いた時点で発売されている,1か月先までに乗る任意の区間(新宿→渋谷などJR線ならどこでも可)に変更して使うのが得です。
一般に,不要になった乗車券は,払戻しなら手数料が220円かかりますが,変更なら,どんな短い区間への変更でも無手数料です。まったく無関係な区間への変更でも,構いません。たとえば,東京都区内→大阪市内を新宿→渋谷に変更しても,乗車前なら無手数料なのです。
*16:このダミーは,同駅発着を窓口誘導とするような「システムの要件」を回避するためのものです。購入された乗車券は,乗車券のルールである旅客営業規則上有効なもので,窓口でふつうに買えるものです。
券売機のシステムは,ルールの範囲内で現実的な要件でつくるしかなく,誤用や複雑な条件分岐などを回避するため,こうした乗車券を除外しているものと考えられます。
しかし,乗車券の効力は,システムではなく,ルールである旅客営業規則で決まるもので、それを理解して利用すれば,問題ありません。