読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

Googleストリートビューで比べる日本三名園プラス栗林公園,番外・浜離宮

日本三名園はストリートビューが揃う

庭好きなので,一度は書いてみたかった記事。お寺や神社,公家の造る庭は,京都に素晴らしいものが集中していますが,武家の造る広大な大名庭園は,江戸時代の有力な藩に散在しています。

幸い,大名庭園のうち代表的な日本三名園には,Googleストリートビューが用意されています。また,日本で最大規模の大名庭園で,三名園より美しいとの評価もある栗林りつりん公園*1にも,お茶室まで入れる凝ったストリートビューがあります。

最後に,超高層ビルが奥に建て込んで,江戸幕府の大名庭園が現代の庭園になってしまった東京の浜離宮も加えてみました。それらをコメントとともにどうぞ。

三名園は大名庭園の範囲で選ばれたもの

なお,日本三名園とは,江戸時代の大名がつくった庭のうち,代表的なもの3つという意味。当然この他にも美しい庭が多数あります。

究極の美は皇室の庭だが,ほぼ完全予約制

日本庭園の美しさで頂点に立つのは,当然ながら,皇室の庭。桂離宮修学院離宮が別格の美しさです。しかし,現在も宮内庁管理で,職員がガイドする予約制。そこに最近,当日の整理券配布による入場枠ができて,かなり前に並べば事前の予約なしでも入れるようになりました。

皇室の庭は,名勝・特別名勝などの国の文化財の指定がなく,それを参照した名園のガイドで外されやすいのですが,それは管轄が文化庁ではなく,宮内庁だからです*2。三名園を兼六園から回った者としても,桂離宮は格別の趣きと技巧に感銘します。それが維持できるのは,予約制で観覧者を絞り込んでいるからです。

寺院の庭は京都・奈良に集中

民間の庭で日本庭園の最上級といえる特別名勝指定のものとしては,やはり寺の庭が多く,それも京都に集中。鹿苑寺(金閣寺),慈照寺(銀閣寺),龍安寺天龍寺など挙げていけばきりがなく,いずれも知名度が高いところ。そして,これらは世界遺産です。

現代の庭なら足立美術館が傑出

また,現代の日本庭園では,公開されているものとして,島根県の足立美術館が頂点と見ます。歴史的な価値がまだないため,名勝指定の基準に該当しないのが残念です。

それでは,三名園のストリートビューを。

1.偕楽園

国指定名勝・水戸市・110,500m2

江戸時代に作庭された部分は池を持たない平庭ですが,戦後に増設された拡張部には池を配し,そこもあわせると約3,000,000m2と広大で現代的な公園に。平地に築山の形状ながら,梅の木を集積させた景観に特徴。

2.兼六園

国指定特別名勝・金沢市・108,725m2

台地の端の自然の高低差を利用した眺望が大名庭園では珍しく,鬱蒼とした部分と眺めのある部分をあわせもちます。積雪に耐えるための雪吊りが特徴的で,ストリートビューの一部箇所にその映像が見つけられます。

3.後楽園

国指定特別名勝・岡山市・113,930m2

岡山城の天守を遠くに見上げて,平地の芝が続く広大な庭。池を大きくとり,その中の島に築山を設けていて,明るく澄んだ景観。晴れの国・岡山で,Googleの撮影日が曇りなのは残念ですが,本当はもっと明るく開放的。

4.栗林公園

国指定特別名勝・高松市・748,748m2

こちらは別格で,過去に何度か行ったので,自分で撮った写真を。

f:id:KQX:20160419021959j:plain

背後に建物のない山を借景とする理想的な立地で,この方向に江戸時代の作庭時のままの壮大な景観が広がります。面積には背景の山を含んでいますが,作庭時の広さとしては,大名庭園で突出して日本一。

上の写真で遠望している掬月亭では,お抹茶とお菓子をいただけます。ストリートビューでは,回り込みながらその室内まで進める凝りようです。

番外:浜離宮恩賜庭園

国指定特別名勝・東京都港区・250,216m2

名前からは皇室の庭に見えますが,江戸幕府の鴨場に由来して,当時から整えられていた大名庭園。大政奉還でまず皇室の所有となり,その後一般に開放されたため,恩賜の名が入ります。

海水を引き込んで園内の池とする潮入の庭は,大名庭園だけでなく世界の庭でも珍しい構造。背景が汐留の超高層ビル群に変貌したため,完全に現代の景観です。

渋い庭から入ると,明るく広大な庭がうらやましい

最初に見た日本庭園が兼六園だったものとしても,日本の大名庭園の頂点は栗林公園だと思います。

栗林公園は、作庭時の面積が大名庭園中で群を抜いてトップ。背後の山までの木の連なりに圧倒され,築山から見下ろす池と見上げる自然の山の立体感は,なかなか言葉で説明できません。1/1スケールのジオラマが,目の前にあるという感じです。そういう喩えになるほど,その方向には現代の建物がありません。これが日本庭園の理想です。

また,園内の掬月亭が池のほとりに三方開けていて,そこに張り出すようにした眺めでお茶をいただくのは格別な雰囲気です。さらに,お隣ですが,城を遠望して開放感ある池の広がりに心が和むのが岡山後楽園です。どちらも,瀬戸内の明るさを印象づけるお庭です。

それら明るい大名庭園と比べると,兼六園は,むしろ渋さと山登りによる景観の変化を味わってほしいところ。お城側の入口・桂坂口からは全貌が見えず,山道を登って霞ヶ池で視界が開ける変化が,それら明るい庭にはない特徴で,それが兼六園の味と思えます。

なお,岡山・高松は,瀬戸大橋を渡るマリンライナーで約1時間。雪国育ちとしては,海を渡って晴れの国を回るのが,何度行っても楽しみです。

*1:多く引用されていますが,日本三名園(当時は三公園)の認識が広まったのは,明治43年(1910年)の高等小学校の教科書『高等小学読本』のようです。「我ガ国ニテ風致ノ美ヲ以テ世ニ聞エタルハ、水戸ノ偕楽園、金沢ノ兼六園、岡山ノ後楽園ニシテ、之ヲ日本ノ三公園ト称ス。」ただしそこには,追加の論評があって,「然レドモ高松ノ栗林公園ハ木石ノ雅趣却ツテ批ノ三公園ニ優レリ」と,栗林公園が「木石ノ雅趣」でそれを凌駕するものと評価されています。

*2:宮内庁管理にある古墳(たとえば,敷地面積はピラミッドより広く世界最大の古墳といえる大阪・堺市の仁徳天皇陵(大仙古墳))や各御所の建造物,祭具等も,その歴史的価値によらず,すべてが国宝・重要文化財・名勝指定の対象外です。