北陸新幹線で行く,はじめての金沢

お庭,お菓子,お魚,お酒が揃う城下町をまわるため,金沢出身・東京在住者が往復しながらヒントを書いていきます。

金沢のバスで使えるカードは? Suicaなどが使えるのは周遊バス・JRバス・まちバスだけ

まず,バスとカード・チケットの対応表です。

金沢のバスで使えるカードなど(2022年10月17日~)
ICカード
チケット
北陸鉄道バス JRバス まちバス
土休日
限定
ふらっと
バス
周遊バス その他
路線バス
小松空港
リムジン
ICa(アイカ) × × × *1
Suica, PASMO,
ICOCA
など
× ×*2 *3
PiTaPa
ポストペイ
× × × ×
1日乗車券
(紙・スマホ)
*4
中心部
× *5
中心部
× *6
Japan Rail Pass*7 × × × × ×

中心部:周遊バスのルート内側と周辺(兼六園・金沢城,21世紀美術館,ひがし・にし・主計町茶屋街,近江町市場,繁華街(香林坊・片町),本多の森ホール,金沢歌劇座など)

高速バス(加賀温泉能登富山五箇山・白川郷方面も含む),ライトアップバス*8では,上記すべて使えません。

周遊バスではSuicaなどが使えるように

金沢の観光で最も使われるのが周遊バスです。左回り・右回りとも15分ごとで,兼六園・21世紀美術館・ひがし・にし茶屋街などの主な観光地を回れます。バスの現在位置もわかります。

周遊バスでは,2022年10月17日からSuica, PASMO, ICOCAなど全国で相互利用できる交通系ICカードが使えるようになりました。1乗車200円の均一料金ですが,乗る時も降りる時もタッチが必要です。なお,増発時に一般路線バスの車両が充当される場合は利用できません。

北陸鉄道のその他路線バスはSuicaなどが使えない

金沢の主な観光地は周遊バスで回れますが,多くの区間は一般の路線バスも頻発していて,それも併用すると観光が早くできます。一般の路線バスは,多くが北陸鉄道バス,一部区間でJRバスが運行しています。

このうち,北陸鉄道の一般路線バスには,独自のICカードICaアイカがあります。しかし,Suica,PASMO,ICOCAなど全国の交通系ICカードは使えません*9。ICaを新規購入するメリットは,チャージごとの10%プレミアムぐらいでしょう。

一方,JRバスとまちバスでは,Suica,PASMO,ICOCA,PiTaPaなどが使えます。しかし,北鉄バスに比べれば,区間が限られて本数も少なく,それだけで観光するのは不便です。

3回以上乗るなら1日乗車券600円

結局,金沢ではSuicaやPASMO, ICOCAなどで乗れるバスが一部なので,観光では1日乗車券(600円)がおすすめ。多くの場合,3回乗車で元が取れます。スマホで買えて,見せるタイプのデジタル版・のりまっし金沢(600円)もできました。

紙とデジタル版の両方とも有効な区間は同じで,周遊バスはもちろん,それと同じ区間を含む市内中心部の路線バス(マップ)に,北陸鉄道・JRバスの両方とも乗れます。

1日乗車券なら北陸鉄道・JRバスどちらも乗れる

1日乗車券で北陸鉄道とJRバスどちらも乗れるようになったのは,2020年4月から。以前は北陸鉄道バスしか使えず,JRバスへの誤乗によるトラブルがあったのですが,解消されています。その後,2021年4月から,金沢市が運営するコミュニティバス・ふらっとバスにも有効に。

1日乗車券が使えないバスは,まちバスだけとなったので,乗るときに悩むこともほぼなくなりました。

金沢駅の乗り場後ろでの購入時だけSuicaなどが使える

紙の1日乗車券の購入は,金沢駅兼六園口(東口)7番バス乗り場後ろの窓口や,おもなホテルなどでできます。以前はあった車内売りは廃止されています。乗ってから気付いたら,現在はスマホでデジタル版を買えます。

金沢駅7番乗り場後ろの窓口での購入時にだけ,Suica,PASMO,ICOCAなど全国相互利用の交通系ICカードが使えます。これは物販と同じ扱いのため,方式が違うPiTaPaだけ使えません。買い方と特典などはこちら。

デジタル版はスマホで購入が完結

スマホとクレジットカードがあれば,窓口で買う必要がないデジタル版がおすすめです。以下のリンクから,ログインの後,チケットを買うボタンをタッチ,金沢市内1日フリー乗車券を選びます。クレジットカードで支払うと,スマホの券面で利用ができます。

複数人分もまとめて買えますが,券面はスマホ1つなので,別行動ができないことにご注意を。別行動する人は,各自のスマホで買いましょう。

利用開始時に,改めてスマホ上のチケットの利用開始ボタンを押して,その日1日に有効という仕組み。購入日を含んで4日以内の利用開始ができますが,それ以降は無効となります。

払い戻しには手数料100円がかかります。このシステムでは売り切れがないので,利用時に買うのがよいでしょう。

基本:後ろ乗り・前降り・後払い

金沢のバスは,(ドア1つのものを除き)後ろ乗り,前降り,後払いです。区間に応じて運賃が異なる路線がほとんどだからです*10

乗車時に整理券があればとり,前降り時に支払い

後ろから乗車時に,整理券があればとり,前から降りるときに,運賃表にある金額を支払います。周遊バスは均一運賃で,整理券がありません。

1日乗車券(デジタル版も含む)利用時でも,整理券がある路線バスの乗車時には,それをとります。降りるときには,整理券を料金箱へ入れて,1日乗車券を提示します。

両替は千円まで,ICカードは乗る時も降りる時もタッチ

降りるときの支払いは,おつりが出るのではなく,両替によるもので,千円札までの対応です。ICaやSuicaなどが使えるバスでは,乗る時タッチ降りる時タッチで済みます。乗るときのタッチを忘れやすいのでご注意を。これは200円均一の周遊バスでも同様です。

JRバスはSuica, PASMO, ICOCAなどが利用可

西日本JRバスでは,北陸新幹線開業日から,PiTaPa,ICOCA,Suica,PASMOなど,交通系ICカードの全国相互利用に対応しています。

JRバスは,金沢駅兼六園口4番乗り場から,10~30分間隔の発車。金沢駅発着分全便の時刻表はPDF1枚です(平日土休日)。

本数は少ないですが,全便が武蔵ヶ辻・近江町市場と橋場町・ひがし茶屋街を通ります。また,一部の香林坊経由のバスだけ,広坂・21世紀美術館,兼六園下にも停まります。詳細は別記事へ。

PiTaPaならポストペイとオートチャージに対応

西日本JRバスは,大阪本社のバス会社で,端末はPiTaPaです。そこで,関西の私鉄と同じく,PiTaPaに限って,ポストペイ方式とオートチャージにも対応

写真は,兼六園下に停車中の,橋場町(ひがし茶屋街最寄り)方面行のJRバス。その乗車口のカードリーダーです。PiTaPaをはじめ,使える主要カードのロゴが並びます。

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JRバスも,後ろ乗り,前降り,後払い。乗車時に整理券をとって,下車時に対応する運賃を支払います。

SuicaなどICカード利用時は,乗車バス停の記録のため,乗る時タッチ,降りる時もタッチです。JRバスでは,北陸鉄道のICaが使えないことも,各所に表示されています。

Japan Rail PassもJRバスには有効

金沢市内のJRバスは,外国人旅行客向けのJapan Rail Passでも乗ることができます。このパスはJR全線(のぞみなどを除く)と(高速バスを除く)JRバスに乗れるもので,かなりの割引が適用されています。このため,外国人観光客がJRバスを選んで乗ることもあります。

土休日限定まちバスもSuicaなどが利用可

さらに,繁華街と観光地の一部に行けるまちバス(土休日限定)でも,Suica,PASMO,ICOCA,PiTaPaなどの交通系ICカードの全国相互利用が可能になっています。これは,JRバスが運行受託しているからです。

まちバスも,JRバスと同じく,PiTaPaに限って,ポストペイとオートチャージ対応。100円均一のため,下車時だけタッチでの支払いです。

ルートは,金沢駅から繁華街だけを一方向にループして,駅に戻るラケット状。金沢駅兼六園口5番乗り場→武蔵ヶ辻・近江町市場→香林坊(長町武家屋敷最寄り)→広坂(21世紀美術館と兼六園真弓坂口最寄り)→香林坊で行きのルートに戻り,金沢駅まで帰ります。

茶屋街以外のおもな観光スポットはカバーします。ダイヤは20分ごとですが,多客時の行きと帰りの時間帯には,10分間隔になる増発便が出ます。

まちバスの専用車には無料のWi-Fiサービス

まちバスは,専用車にだけ,無料のWi-Fiサービスが付いています。

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これは,20分ごとの定期ダイヤに入る専用車だけなのにご注意を。増発便など,運用の都合でJRバスの一般車が代走するときは,このサービスはありません。

まちバスでは,Japan Rail Passは使えません。運用の都合で,受託するJRバスの車両が代走することもありますが,まちバスとして運行されるときは,使えないことにご注意を。

土休日は100円のまちバスが混雑

(周遊バスも含め)通常のバスでは,駅から市内中心部や多くの観光地までは,200円です。しかし,土曜・休日限定のまちバスは100円。

まちバスは,安いことを知っている,地元客や近隣からの買物客で混みます。詳細は別記事へ。

ICa購入のメリットは10%プレミアム

最後に,長期滞在などで北陸鉄道バスに何度も乗る場合,ここでしか使えないICaの購入を、どこで決断するかという問題です。

ICaのメリットは,1000円単位のチャージのたび,10%のプレミアムがつくことです。では,どれだけ乗るならICaの新規購入を考えればよいのでしょう。

ICaはデポジット500円込で2000円の販売。以降1000円単位のチャージごとに,10%のプレミアムがつきます。また,30分以内の乗継ぎなら,自動的に30円割引されます。

得なのは6000円以上乗る場合

窓口まで出向く面倒のある払戻しは考えず,デポジットを捨てる前提では,購入時の金額を含んで累積6000円目の支出ではじめて得になる計算*11。これが,ICaの購入で得をする「損益分岐点」です。

小松空港へのバスなら3往復目で得

北陸鉄道の金沢周辺のバスで6000円というと,相当のリピーターでしか届かない額です。住むのでなければ,金沢と小松空港をバスで頻繁に往復するときぐらいでしょう。

金沢駅から小松空港へのリムジンバス(1150円)では,3往復目で使い切って元が取れます。このバスを継続利用するなら,ICa購入を検討してもよいところ*12

小松空港リムジンは券売機の乗車券が得な場合も

なお,金沢駅と小松空港にある券売機では,Suica,PASMO,ICOCAなど全国交通系ICカードが使えるようになりました*13。他のバス停には券売機はなく,乗車券を買わずに車内で支払う場合には,現金かICaだけなのにご注意を。

このうち,小松空港の自動販売機と(金沢駅を除く)金沢市内の売場で売られる金沢市内-小松空港間1150円の乗車券には,金沢駅から200円区間の乗車券がセットされています*14。この200円券を使う機会があれば,その事前購入の方が得です。

金沢駅-小松空港のバスには,10枚綴り回数券(9500円)があったのですが,2021年6月末で発売を終えています。すでに発売されたものは,まだ有効です。

周遊バスや加賀温泉・能登へのバス,電車線では使えない

ICaは,同じ北陸鉄道の運行でも,観光利用の多い周遊バスや加賀温泉・能登方面を含む高速バスには使えません。また,北陸鉄道が運行する郊外への電車線(内灘・鶴来方面)でも使えません。この点でも,観光での新規購入はすすめにくいところです。

*1:ふらっとバスでは,ICaは北陸鉄道が運行受託する此花・菊川ルートのみで利用できます。

*2:小松空港と金沢駅金沢港口(西口)バス乗り場の券売機では,空港リムジンバスの乗車券の購入に,Suica,PASMO,ICOCAなどの全国交通系ICカードが使えます。
 この券売機は,他のバス停にはありません。また,物販扱いのため,その方式の違うPiTaPaは使えません。
 乗車券を買わず,車内で支払う場合は,現金かICaだけで,Suicaなどは利用できません。

*3:ふらっとバスでは,Suica, PASMO, ICOCAは,JRバスが運行受託する材木・長町ルートのみで利用できます。

*4:金沢市内1日フリー乗車券は,2020年4月から北陸鉄道とJRバスで共通化されました。市内中心部の両社路線バスに有効です。
 その範囲は周遊バスのルートと周辺をカバーした250円区間までで,マップの通り。
 有効区間外への乗り越しは,差額ではなく,境界バス停から初乗り時の運賃が必要です。

*5:金沢市内1日フリー乗車券は,2020年4月から北陸鉄道とJRバスで共通化されました。市内中心部の両社路線バスに有効です。
 その範囲は周遊バスのルートと周辺をカバーした区間で,マップの通り。JRバスでは,市内中心部の230円区間までの範囲に相当します。
 有効区間外への乗り越しは,差額ではなく,境界バス停から初乗り時の運賃が必要です。

*6:1日乗車券は,金沢市が運営するコミュニティバス・ふらっとバスでも,2021年4月から利用可能になりました。

*7:Japan Rail Passは,JR全線(のぞみなどを除く)とJRバス(高速バスを除く)が乗り放題になる,おもに外国人観光客向けのきっぷです。短期滞在資格の外国籍であることなどを条件に,海外の旅行会社や日本の主な国際空港と駅などで販売されています。エリア限定の外国人向けパス(Hokuriku Arch Passなど)には,この特典がありません。
 昼間の金沢のJRバスで,外国人客の割合が高いのは,Japan Rail Passの利用者が多いからです。同様に,JRバスがわずかに走る京都市でも,同じ傾向です。

*8:ライトアップバスは,土曜日と連休など特定日の夜のみ運行で,1乗車300円。ライトアップバス専用の1日乗車券500円がありますが,通常の1日乗車券とは別の扱いです。

*9:バスのカードリーダーには,Suicaが使えないことが書いてあります。誤ってSuicaなどをタッチすると,ふつうのピではなく,ピーと長音の警告音が鳴ります。なお,残高警告はピピピで,ICaなら乗ってから車内で,千円単位の現金チャージができます。

*10:後ろ乗り,前降り,後払いは,乗車区間に応じて運賃が変わる路線のほとんどで採用されている乗り方です。降りるときにはじめて運賃が確定するため,その後払いを,運転士の前で行う必要があるからです。
 一方,前乗り前払いなのは,均一運賃が基本の地域です。それができる東京の都バス(多摩地区を除く)や横浜・名古屋の市バスは前乗りです。しかし,長い路線もある札幌,仙台,京都,大阪,広島,福岡などは,大都市でも後ろ乗りです。
 そして,名古屋などは,市バスが前乗り,名鉄バスが後ろ乗りと,同じ区間でも会社で分かれます。実は,北陸鉄道は(連結対象ではありませんが)名鉄グループで,筆頭株主は名鉄です。そして,Suicaなどが使える周遊バスのカードリーダーも名鉄のもので,乗車後の履歴表示も名鉄バスになります。

*11:2000円で購入した時点で,デポジットに500円とられ,運賃として利用可能なのは(2000-500)*1.1=1650円。以降1000円チャージごとに,1100円分利用可能です。そこで,購入後に4000円チャージすると,支出総額6000円に対し,利用可能額が1650+4000*1.1=6050円となり,デポジット分を回収してはじめて利益が生じます。

*12:ICaの「損益分岐点」である6000円分の支払いで利用できる6050円分を,小松空港線で使い切れるのは,乗車6回分の運賃1150円×6=6900円を支払う時点。その先,継続利用なら,引き続きチャージで構いません。それ以上乗らない場合,不足額は現金で払えるので,ICaの残高をゼロにして,休眠状態としても得をします。
 さらに,窓口に出向く機会があれば,残額をゼロにしたICaを払戻すと,実質無手数料でデポジットの500円が戻ります。払戻し時の手数料は,残額の範囲で充当されるため,チャージ額を使い切っていれば,手数料充当額もゼロになるからです。これはSuicaなどの払戻しと同じで,使い切って払戻せば,実質無手数料でデポジットを回収できます。

*13:小松空港リムジンバスの乗車券を扱う北陸鉄道バスの自動販売機は,Suica,ICOCAなど交通系ICカードの全国相互利用の範囲のものが使えますが,物販扱いのため,決済方法が異なるPiTaPaは使えません。

*14:車内での発売はなく,空港で乗車前の購入が必要です。なお,2016年10月から,金沢駅-小松空港の一部のバスが,金沢駅-武蔵ヶ辻-香林坊を延長運転していて,その場合は別の用途で使えます。